自分の弱い部分を人に知られたくない、自分でも見たくない、と思い、それを人知れず恥じている方は、多いと思います。
本当の強さ、は、どこから来るのでしょうか。
結論を先に言うと、本当の強さ、それは、『弱さを認めること』『弱さを知っていること』 そして、『それを恥ずかしいと思わず、隠さないこと』にある、と思っています。
先日、とある会社の経営方針発表会に招待され、出席してきました。
彼は、人生デザイン構築学校®︎で学ばれた2世経営者さんで、世の中の2世経営者の方の例にもれず、好きではない親から継いだお酒の卸販売会社の経営に思い悩んでいました。
彼はお酒が飲めないばかりか、好きではなく、継いでは見たものの、その仕事に馴染めず、精神的に疲弊してしまい、一度社長の椅子を弟に明け渡したことがあります。
社員の2/3に、辞表を叩きつけられたこともありました。
それが、昨年、抜本的な事業改革を行い、方向性を見直し、今ではその同じ会社の経営者として、生き生きと仕事をしています。
社員と一丸となって、毎日現場にも出て、クライアントさんの所にも顔を出す毎日です。
それに伴い、今年度の売り上げは、前年比120%で推移しています。
そんな矢先の経営方針発表会、私は、来賓挨拶を仰せつかっていて、実は、どこまで話そうかと思いあぐねていました。
変容ですから、ビフォーの姿をお伝えする必要があるわけですが、それが『社長』としての尊厳を傷つけることにはならないかな、と懸念しました。
経営方針発表会や、株主総会、などでは、陰の部分は隠し、陽の部分(上げた功績、実績、伸びた売上、それらに繋がった施策、改善点など)だけをピックアップして発表することが殆どです。
彼もそのようにするのだろうと勝手に想像して、私なりに陰の部分(ビフォーの部分)をいかに軽くし、陽の部分をいかに語るか、を考えていました。
ですが、なんと!
彼が行なった発表では、陰の部分の方が長かった!!のです。
これには、びっくりしました。ご本人も、「赤裸々に語らせていただきました。」と言っていましたが、本当に「それも話すのか」ということまで、話されていたんです。
「一度経営が傾きかけた」といった事実のみならず、経営が傾きかけたときの
「自信がなかった自分」
「自己肯定感が低かった自分」
「自分の弱いところを見たくなくて、逃げていた自分」
というところまで、すべて、話されていました。
しかも、彼は、堂々としていました。
凛とした佇まいで、前をまっすぐ見つめ、「威風堂々」がBGMで聞こえるくらい、どっしりと、そこにいました。
彼の経営方針発表会は、弱かった自分を認め、それをステークホルダーの皆さんの前で包み隠さず発表し、今はこういう経過を辿ってこのように自分が変容したので、これからは、この変容した自分が、このミッションで経営をしていく、なのでこの方針でやっていく、ということを発表する会でした。
私は前職がら、経営方針発表会やそれに準じる会には多く出席していますが、そのような経営方針発表会は、初めてでした。
ビフォーの「自信がなかった」と言った、自分の『内面的な弱さ』を語ることは、相当の勇気がないとできないことです。
しかも、相手は、親しい友人ではなく、ステークホルダーの皆さんです。
取引先はもちろんのこと、資金を提供してくれている銀行さんもいます。
そのような方の中で、普通は、自分の個人的な弱い部分は、隠そうとします。
すべてをされけ出して語る彼は、逆に、とても強く見えました。
そこには、以前の、迷っている姿はありませんでした。
他人にどう思われるか? など、全く気にしていない姿がそこにありました。
「それは、事実なんだから、そして、それがあったからこそ、昨年の事業改革があり、今日の経営方針がある。
それをすべて知っていただいた上で、みなさんと、真に「心から繋がって」仕事をしていきたい。だから、すべて話しました。」
会のあと、彼は、そう話してくれました。
実際、ステークホルダーの皆さんに、どう思われたかと言うと、その後の交流会では、「とても感動しました。」と言う声が多く聞かれました。
こんな弱い部分を知られたら、社長として尊厳がなくなるのではないか、銀行は、この社長大丈夫か、とお金を貸してくれなくなるのではないか、取引先は、この会社大丈夫か、と去っていくのではないか・・・。
普通はそう考えます。
ですが、実際には、逆、なんです。
世間は、自分の弱さを認め、そこからスタートしようとする人を見たとき、「弱いなー、大丈夫か。」とは、思わないのです。
私たちは、誰でも、程度の差こそあれ、自分の中で「嫌だな」と思う部分を持っています。
自分の弱い部分を、自分がどう扱うか。
それが、他人が自分の弱い部分をどう扱うかを決めるのです。
自分がそれを恥じ、隠そうとすると、周りもそのように扱います。
自分が堂々とそれを認めれば、周りは逆に、そこに強さを見出します。
恐れることは、何もないのです。
自分の弱い部分を、自分がどう扱うか。
それは、人生を決める重要な要素だと、今回の彼の事例は、改めて教えてくれました。
弱い部分を認める。
弱い自分を知っている。
それを隠さない。
そんな自分も使って、人生を創っていく。
だから、自分だけの人生デザインになる。
人生をデザインする、とは、「今の自分」から「望む自分」への『内側の変容の物語』を紡ぐことなんです。
そして、その物語の脚本、演出、主演が、あなた。
『(会社から逃げている)自分が変われば会社の業績は良くなる。
それはわかっていたので、(内側から確立する)人生デザイン構築学校®︎に入学を決めた』
帰りに送っていただく車の中で、彼は、そう話してくれました。
変わる、と言うのは、自分でない誰かに変わる、自分に欠けているものを補うことではありません。
自分本来の自分の本質に戻る。
それが、変容です。これを進化成長と呼ぶ人もいれば、自己実現と呼ぶ人もいます。
その旅の始まりが、今の自分の現在地を認めること。
それが、弱さであれ、怖がりであれ、ブザマさであれ。
自分自身の内面をデザインすることが、人生の目に見える側面ーキャリアであったり、資産形成であったり、人間関係であったりーをデザインすることに先行するのです。
本当の強さは、弱さを認めること。
最後に、彼の交流会での締めの言葉を送って今日のシェアを閉めたいと思います。
「人は、いつからでも、どんなところからでも、変わることができる。」
今日も、あなた自身が最高に輝く1日を!