新聞、書籍、ラジオ、テレビ、ネットニュース、SNS……
世の中には情報が溢れています。
この情報を自分の知恵として使うにはどうしたらいいか。
佐々木俊尚著「読む力最新スキル大全」(東洋経済新報社 2022年1月発行)を参考に、「情報の集め方と使い方」をまとめました。
前半では情報源の判別方法についてお伝えしました。
今回は後半をお届けします。
ネット社会になって、かつては専門誌などにしか発信しなかった専門家がSNSでも意見を発信するようになりました。
数々の情報に裏付けられた専門家からの情報が手軽に入手できるのですから、これは大いに活用するといいでしょう。
しかしひとつ注意しておくことがあります。
それは、発言の質が劣化していく事例がある事です。
最初はデータ分析に基づく意見を述べていた専門家が、メディアに露出するようになると発言が変わってくることがあります。
無名の専門家の時には信頼できる意見を出していても、大手メディアやテレビに露出するようになると人気が気になり、視聴者や番組制作が求める発言をしたくなるものです。
特にテレビのワイドショーに多く出演するようになると危険です。
またSNSでも、どんな記事に「いいね」がつくかわかってくるとそのことに流され始めます。
人間は弱いものです。
大手メディア、テレビに出て世間の注目を浴びだした専門家の発言は、変質していないか注意しておく必要があります。
たくさん集めた情報をみなさんはどのように活用していますか?
苦労して集めても目の前に積んでいるだけでは役に立ちません。
気になったとき、必要な時にすぐに取り出せるようにしておくと良いですね。
佐々木氏のおすすめはエバーノート(Evernote)やグーグルキープ(Google Keep)などのタグづけができるメモアプリです。
収集した情報はクラウドを使ってタグをつけて保存しておくと、気になったときにはどこからでも検索できます。
でも、全部情報はコンピューターに保存すればいいというわけではありません。
コンピューターに保存しない方がいい情報もあるのです。
なぜでしょうか。
人間の脳は、パソコンなどすぐ利用できる場所に保存すると
「その情報はもう忘れていい」勝手に判断するのです。
携帯電話がなかった頃、固定電話で連絡を取り合うことが主流だった時代は
電話番号を30個くらいは覚えているのが普通でした。
自分がよくかける電話番号は脳が勝手に記憶していたのです。
今は誰も電話番号を覚えようとはしません。
メルアドも覚えていないでしょう。
覚えていなくてもスマホやP Cですぐに取り出して連絡が取ることができるから
覚える必要がありません。
人は覚える必要ないと判断した情報は、すぐに忘れてしまうのです。
ですから頭の中に残しておく必要のある情報はコンピューターではなく、
頭の中にインプットしようとした方が良いのです。
では、頭の中に保存する情報とは何でしょうか。
それは集めた情報から自分で考えて、理解した情報です。
佐々木氏はこれを「概念」と呼んでいます。
たとえば佐々木氏は、ドストエフスキーの『罪と罰』から
・人間は単純に「善か悪か」と分けられるのではなく、「善でも悪でもある」という二面性を持っている。
という概念を読み取ったと書いています。
さあや学長の発信をチェックしておられる方はこの話から
「モノゴトはプラスでもマイナスでもなく、ニュートラルであり、プラスとマイナスの両方が同時に発生している」
という概念を連想されるのではないでしょうか。
そんな方にはドストエフスキーが『罪と罰』で描いた「人間とは善と悪をあわせ持っている。それが人間の本質だ。だから善前と悪の対立は絶対的なものではない」という世界観がしっくりと腑に落ちると思います。
このように概念は別のところで得た概念を結びつけてさらに理解を深める事ができます。「概念」は、自分自身の世界観を作っていくための材料になるので、コンピューターに保存しておしまいではなく、頭の中に刻み込んでいきましょう。
保存するのではなく、理解することで頭の中に定着させるのです。
そう言われても、そんなに長い間覚えていられない、すぐに忘れてしまう、と思うかもしれません。
忘れてもいいのです。
忘れていても一度覚えようとしたものは「反記憶 」という領域に保存されます。
反記憶領域に保存されたものは通常「記憶している」ことに気づくこともありません。しかし、この領域の記憶は、概念が共通している他の情報と一緒になると、突然アイデアになって舞い降りてくるのです。
これが、インスピレーションが湧く瞬間です。
ですからたくさん情報を集めて勉強してもすぐ忘れるから無駄だとか
こんなに勉強したのに忘れたらどうしようと不安を感じる必要はありません。
あなたが勉強して理解して、概念として獲得した情報は、無意識の領域にちゃんと保存されていて、必要な時にインスピレーションになって舞い降りてくるのです。
これからの時代、特に経営者やリーダーには、必要な時に質の良いインスピレーションが舞い降りてくるようなスキルが必要になります。質の良いインスピレーションによって示された方針は、言語化されていない部分の概念も周囲に伝えるだけのエネルギーを持っているからです。
しかしインスピレーションで舞い降りたものはひらめきなので、多くの場合根拠が言語化されていません。左脳では説明できないものなのです。これからの経営者やリーダーは「この人のインスピレーションは正確だ」と周囲に受け止められるような精神性の高さを持つ必要があります。
低い精神性、すなわち動物的な欲望や本能——楽しみを求めたいという欲望や、痛みから逃げたいという本能——から生まれたインスピレーションは人を惹きつけることができません。人を惹きつける事ができないので、成果も上げることはできません。
ベートーベンやモーツアルトは自分が作曲したものは自分が作ったのではなくて天から音楽が降りてきた、と言います。
でも誰にでも天から音楽が降りてくる訳ではなく、彼らにそれまでの音楽に対する見識や理解があるからこそ、天からの音楽が受け取れるのです。
受け取れる準備ができている人のところにインスピレーションは降りてくるのです。
素晴らしいインスピレーションが湧く人は、素晴らしい量の情報をインプットしています。
質の良いインスピレーションを生み出すために、専門的な知識を収集し、自分の頭の中の反記憶領域にひとつずつ概念を蓄積していきましょう。
今回ご紹介した記事はポッドキャストにて音声にもなっております。
ご興味がある方はこちらからご視聴ください。
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