こんにちは! (株)ミッション・ミッケ人生デザイン研究所の高衣紗彩です。
昨年暮れあたりから新聞などで目にするようになった「高圧経済」という言葉。今日は、これについて見ていきたいと思います。
これは、昨年10月にFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が語ってメディアが使うようになった言葉ですが、一言で言うと、FRBが経済の若干の過熱状態を容認することです。
経済の過熱とは、簡単に言うと、景気の好循環が行き過ぎることです。景気の好循環とは、経済活動が活発に行われ、雇用環境も良好で、賃金も上昇し、その結果、モノも良く売れて、企業業績も上向きとなり、国の生産高の伸びを示すGDP成長率も堅調になる、という状態です。
これは、一見、良さそうですが、放っておくと、インフレ圧力が高まって、国民の生活に支障をきたします。
今は、日本を始め、先進国はデフレの脅威にさらされているため、インフレを懸念すると言ってもピンと来ないかもしれませんが、行きすぎたインフレは、お金の価値がどんどん低くなっていってしまうので、デフレと同じように経済にマイナスの影響をもたらします。
消費者にとっては、毎年昇級してもモノの値段がそれ以上に上がっては、減給と同じです。企業にとっては、賃金の上昇率が企業が売上を上げる以上に高くなると、企業収益は減益になってしまいます。そうなると、企業業績の成長が経済成長を支えますから、経済全体の成長率も早晩下がる方向に向かいます。下がる時というのは、常に急激です。政府や中央銀行が手を打っても下落のモメンタム(勢い)を止めることは難しく、景気後退、不況に陥ってしまいます。なので、過熱し過ぎは決して喜ぶべきことではないのです。
こういった理由から、日米欧の主要先進国は、インフレ目標を2%と、「穏やかな水準」に掲げています。
従来であれば、中央銀行は、インフレ目標が2%に達するか達しないかの頃にタイミングよく政策金利を上げたいところです。実際に2%台になってからでは、遅きに失する可能性があります。ですが、それを知った上で、利上げをわざと遅らせ、2%を上回っても緩和的な金融政策を保って、意図的に経済の過熱を許す、それが「高圧経済」です。
このやり方は、従来、金融危機後などに経済の長期停滞が陥るのを防ぐために行われるもの。景気の回復局面、つまり金利を上げるべきところで行うと(低金利を続けると)、インフレが3%、4%とどんどん高くなっていくリスクがあります。
トランプ次期大統領は、根っからの「ビジネスマン」ですから、ビジネスにとってプラスの「高圧経済」政策は喜んで受け入れるかもしれません。そうなると、「過熱」のリスクはもっと高まります。ここで、注意したいのは、米国経済は、現在「景気回復の後期」にあり、景気のサイクル的には、今後景気後退に入っていくタイミングにあるということです。
景気後退に向かうサイクルの時に高圧経済政策を行うと、冒頭に挙げたからくりでインフレ圧力が高まるけれども、それが「企業と経済の成長に結びつかない」ということが起こる確率が高くなります。
モノの値段が上がっているのに不況、になることを、『スタグフレーション』と言います。これだけは、何が何でも避けたいところです。
FRBの政策とトランプ次期大統領の政策、この二つの政策が、2017年の米国経済の姿がどうなるか、の鍵を握っています。米国経済が世界経済に与える影響は甚大なので、2017年の世界経済の行方はFRBとトランプ次期大統領の政策が握っていると言っても過言ではありません。
今後も、この二つをウオッチしていきたいと思います。
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