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2016
12月14日

長期・国際分散投資家の投資戦略

長期・国際分散投資家の投資戦略

こんにちは。(株)ミッション・ミッケ人生デザイン研究所の高衣紗彩です。
トランプ氏が当選して以来、日米共に「トランプ銘柄」と呼ばれる銘柄やセクターが大きく上昇し、市場全体の上昇をけん引しています。トランプ銘柄とは、トランプ氏が掲げる経済政策がうまく行けば恩恵を受ける銘柄です。どういったセクターや銘柄なのかは、大統領選当日にお送りした動画で、お伝えした通りです。(=>米大統領選トランプ氏勝利を受けて長期安定投資家がすべきこと)

トランプラリー、トランプ銘柄

例えば、金融銘柄であったり、インフラ関連銘柄ですね。特に、インフラ投資の乗数効果(投資を1単位したときに経済全体を何単位押し上げるか)が高いと言われており、経済成長への効果が期待されています。
実際、米国の橋や道路、交通システムはかなり老朽化が進み、空港などは、新興国の方が立派なくらいです。その背景には、1) 連邦政府の債務が19兆ドルというとんでもない額になっており、なかなかコストがかかるインフラ整備にお金を回せなかったということ、そして、2) リーマンショック後は経済浮揚を財政政策ではなく金融政策により頼っていたこと、などが挙げられます。
なので、米国は、経済効果云々以前に、物理的にインフラ整備が「必要」な状況にあります。ですが、連邦債務を増やすことは、やっぱり避けたいので、米国債を発行するのではなく、別の財源を確保する案が色々と出されています。
商務長官に任命された、著名投資家のウイルパー・ロス氏は、税額控除を増やして民間のプロジェクトを後押しするなどの案を出していますし、財務長官に任命されたゴールドマン・サックス出身のスティーブン・ムニューチン氏は、クリントン候補が提案したインフラ銀行の案を支持しています。

期待先行から実体経済反映への転換点

これらのうちどの案が議会に承認されて実際に実行に移されるのか、そして実行されたとして、それはうまく経済成長を後押ししていけるのか、その辺が明らかになって来た時が、足元の『期待先行相場』から『実体経済を反映した相場』に戻る時だと考えます。
例えば、市場が高評価をしているインフラプロジェクトは、本当に経済を押し上げる効果があるのかを深堀りして見てみると、メディアも市場もちょっと楽観的過ぎかもと言う姿が見えてきます。プロジェクト案のひとつとして、民間に税控除を与えてインフラプロジェクトを請け負わせる、というものがあります。これは、控除で減った分の税収を、雇用増と企業の収益増からの税収増で賄うという、一見すると素敵に見える案ですが、官民協働のプロジェクトでは、採算が取れない橋や水道といったプロジェクトは、経済基盤として一番必要なプロジェクトでも扱わないことが多く、スムーズに実行されるのかは未知数です。
そういう未知数が、現段階では他にも沢山あるので、最近ずっとお伝えしている通り、現在は見通しの「不透明性」が高く、足元の堅調な展開は、表面的な期待という脆弱な土台の上に成り立っていると言えます。

足元のチャンスは?

一方で、この局面では、新たなチャンスが生まれているのも事実です。例えば、セクターや銘柄間のパフォーマンス格差(リターンの差)が、トランプ政権の元、今後ますます広がっていくと考えられます。
リターン格差が拡大するということは、ファンド運用においては何を意味するかというと、セクター選択、銘柄選択の巧拙がファンドのパフォーマンスを大きく左右するということです。ここ数年、ファンドマネージャーが銘柄選択をするアクティブ運用は、インデックスに連動することを目指すパッシブ運用(インデックス運用)に負けていました。
セクター・銘柄間格差が拡大するということは、ファンドマネージャーの腕次第で、アクティブ運用はパッシブ運用より高いリターンを出せるチャンスが高くなる、ということです。今後アクティブが挽回する方向に向かって行くかもしれません。この数年、パフォーマンスが低迷していたヘッジファンドにも、再びインデックスファンドに勝つチャンスが出てくるでしょう。

この局面で長期投資家が取れる投資戦略

このような局面では、長期安定投資家の私たちも、ポートフォリオの一部をアクティブに振り向けたり、少し慣れて上級者になってきた方々は、アクティブの中でも中短期的にリターンが取れる戦略に一定割合を配分するなど、市場に芽生えた足元のチャンスを取りに行く戦略をとることが可能です。ただし、これは、売買タイミングを取りに行くことになるので、初心者にはおすすめしません。
アクティブ運用にこそ、自分の価値観や投資哲学が反映できるわけですから、ある程度『段階的国際分散投資メソッド*』で運用をされてきた方は、この局面でそういった楽しみを増やすというのも、一つの選択肢ですね。ただし、そのときにも、いえ、その時にこそ、自分のリスク許容度の中にしっかり収まるかどうかは見なければなりませんし、選んだものが本当に分散が効く組み合わせになっているかもしっかりチェックしましょう。
*) 段階的国際分散投資メソッド: 人生デザイン構築学校でお教えしている、長期投資家のための投資手法です。
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