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2022
12月26日

論破せずに相手を説得する

論破せずに相手を説得する

お互いの立場を理解して、円滑に、協調して仕事を進める。会社で働くみなさんは、これを常に心がけておられると思います。ですが、仕事を進める上では、お互いの主張が対立する事案が発生することもあります。

どう考えても自分の意見の方が正しい。ここは絶対譲れない!——そう考えた時、あなたはどのようにして相手を説得しているでしょうか。

今回は「意見が対立した時、相手を説得する方法」について考えてみます。

論破で相手を納得させることができるのか

「相手の考え方が間違っていることを、理論的にひとつずつ説明していく。そしてこちらの意見が正しいことを納得させる」


会社ではこのように論理的な思考力が求められており、論理的に話がができることは有能な社員の証。そのように考えている人も多いかもしれません。 

ですが、理論で論破したのだから納得しているはず、と思っていても、相手が本当に納得しているかどうかはわかりません。

「あれこれ言われてうるさいからもう議論するのはやめた。どうせ責任取るのはアイツだし。自分には関係ない」

「彼の方が立場は上だから反論しても仕方ない。黙って従うしかないな」

このように、表面的には賛成していても、心の中ではあなたの意見に背を向けているのかもしれません。その場合、その後の仕事で力を十分に発揮してもらえなかったり、ここぞというときに協力が得られなかったりする恐れがあります。

相手が身を乗り出してこちらの意見を聞き、ぜひその案を実行しましょうと言ってくる——そんな説得の仕方ならば、その後の仕事の進み具合が違ってきます。

説得する時の目的は、相手をねじ伏せることではありません。相手を、こちらのプランに協力する、力を貸そうという気持ちにさせること。それが説得する時に大切な心の在り方です。

休日にかかってしまう出張に行ってもらいたい

効果的な説得の方法について、例をあげて考えてみましょう。

あなたは販売機器の技術支援チームのリーダーです。今週末に地方の顧客から、新機種の試運転をするのでサポートしてほしいと連絡が来ました。

この案件ならば、試運転立ち合いの適任者はAさんだとあなたは考えます。

しかし試運転は終了時間が読めないので、その日のうちに帰ってくることができない可能性が高い。さらに、次の日は土曜日。この予定だと、休日を半日帰宅に使ってしまうことになります。

Aさんは家族と過ごす時間を何より大切にする人です。会社のデスクに家族の写真を飾り、平日も7時には家に帰って家族と夕食を取っています。土日はまだ小さい子供たちと遊ぶ貴重な時間です。

Aさんに「仕事なのだから休みを半日返上するくらい仕方ない」と出張を命令することは可能かもしれません。ですが、家族との時間が犠牲になることで、Aさんの仕事に対するモチベーションは下がります。表向きは出張を了解するかもしれませんが、はたしてAさんは出張で成果を上げることができるでしょうか。

チームリーダであるあなたのタスクは、試運転を成功させて、顧客と今後も良い関係を継続することです。出張に不満を抱えたAさんのポカミスによって、顧客との関係性が悪化する事態は避けたいものです。

そのためには、Aさんにやる気になって出張してもらいたい。では、どうすれば良いでしょうか。
ここに、価値観と言う概念が出てきます。

Aさんの価値観を満足させるような依頼をすることです。

会社の仕事に個人の価値観を優先させるのか?と思うかもしれません。ですが、仕事を遂行するのは人間です。人間には心があります。心が動かない状態で取り組んでも、良い成果は望めません。

これは、素晴らしい仕事だ、と個人個人がその仕事に価値を感じて、犠牲感なく100%心を入れて取り組める、そんな状態にすることが、最終的に会社の業績を伸ばすことに繋がるのです。

この場合、Aさんにとって「家族と過ごす時間」が大切だということがわかっています。そうであれば、この出張を遂行して、なおかつ家族との時間を大切にすることができれば、Aさんのベストパフォーマンスを引き出せることになります。

そのためには、どんなオファーをしたら良いでしょうか。それを考えます。そのヒントは、Aさんが無意識にとっている行動にあります。

たとえば、Aさんの机に置いてある写真に、ウサギを抱えたお子さんが写っていたとします。その場合、Aさんのお子さんは動物に興味がある可能性があります。出張する地域の近くに個性的な動物園や牧場などはないでしょうか。

家族の旅費は出せないけれど、Aさんの交通費は会社持ちになります。Aさんの出張にあわせて、土日で家族で旅行する提案をしてみるのはどうでしょう。月曜日は休暇を取ってもいいよと言ってあげれば、ゆっくりと週末の旅行を楽しむことができます。

また、Aさんが旅好きで、旅先でいろいろな乗り物に乗ることが趣味だとすれば、金曜深夜に寝台列車で帰宅してみてはどうかとか、土曜日に周囲に足を伸ばして、ローカル線の電車に乗るのはどうか、などの提案をしてもよいでしょう。

Aさんにこのような提案をすれば、週末の出張に対する向き合い方が変わってくるでしょう。上司の命令で、家族を犠牲にして出かける出張と、自分の大切なものー個人としての価値観ーを大切にできる機会が与えられたと思って出かける出張では、仕事への向き合い方が変わり、得られる成果も変わっています。

相手の個人としての価値観を知ることが大切

仕事にはプライベートを持ち込んではいけないという考え方が、長年日本では主流でした。ですが、仕事のパフォーマンスは、理想とする根性論や精神論では上げることはできません。

仕事で成果を上げることが目的なのであれば、もっと柔軟な発想が必要になります。
人間は、仕事であっても、

・自分が大切にしたいことー個人としての価値観ーを大切にできることであれば、前向きに取り組む、そうでなければ、イヤイヤ渋々になる。

これは、人間行動学が明らかにしていることで、人間であれば誰でもそうなります。これを利用する方が、格段に成果を上げることができます。

仕事だから嫌なことでもやるべき、と言う根性論で説き伏せるより、人間の習性を理解し利用することで、よりスムーズにYESを引き出すことができます。

さらには、喜んで取り組めるので、自主性が生まれ、自分で考えて取り組むようになり、仕事のクオリティが上がります。そして、何よりも、双方が幸せを感じながら、成果を上げることができるのです。

少し出張旅費が増えたとしても、自分の裁量の範囲ならば、それでメンバーがやる気を持って幸せに仕事をして成果が上がるのであれば、それは必要な投資と考えることができるでしょう。

もし、Aさんが自身の技術に誇りを持っている人ならば、説得の方法も変わります。今回の試運転にAさんが最適である理由、今回立ち会いでしっかり技術的な説明をして、顧客を安心させることがいかに大切であるか説明することが、説得のポイントになります。

個人の価値観を大切にして、その人が価値を感じているものを満たすようなオファーをすることで、論破や命令ではなく、相手に自ら動いてもらえるようになるのです。

会議で意見が対立した場合

会議で相手と意見が対立したときも同じです。対立する相手が一番価値を感じるものを提供することで、相手を説得することができます。

自分はプランAがいいと思っている。でも相手はプランBを主張している——この時、どれだけロジカルに自分のプランの素晴らしさが説明できるかを争い出すと、議論の目的は「相手に言い負かされないこと」になってしまいます。

互いに相手の言葉に耳を塞ぎ、自分の主張を繰り返す。議論は平行線で会議は長引き、他のメンバーも疲れて、真剣にそのプロジェクトのことを考える人がいなくなる、そんな状態になってしまいます。

この場合も説得する相手の価値観を考えましょう。なぜプランAが良いのか。

相手が営業担当者で、顧客へのアピール力を一番に考えているのであれば、プランAの顧客へのインパクト、他社品と差別化するための戦略や売りやすさなども一緒に提案すると良いと思います。

相手が技術者である場合は、品質や性能の良さ、既存の設備が使えるとか従来の技術を生かすことができるなど、プランAの技術的優位性を説明することで、プランBを主張していた相手もプランAの利点に耳を傾けるようになります。

体験で納得できる価値観に沿ったオファーの力

そんなにうまくいくものだろうかと訝しく思うかもしれませんが、これはさあや学長が実際に、会社員時代に使って成果を上げてきた手法です。

そして、人生デザイン構築学校(JDS)の授業でも、受講生同士でペアになり、自分の価値感に合わないオファーをされた時と、自分の価値観に沿ったオファーをされた時で、自分の気持ちがどれほど変わるかという体験をしています。

受講生は価値観に沿ったオファーをされることで心が動くことを実体験し、実際に自分の周りの人に対してこの手法を使ってみています。小さな頼み事から重要な会議まで、色々なシチュエーションで想定以上の結果が出せたと多くの受講生、そして卒業生が報告してくれています。

具体的には、社内異動を通知する際に、社員の価値観を満たすように伝えた事例があります。その社員は今の仕事が大好きで、異動することには懸念を抱いていました。

そのため、その社員が大切にしている「挑戦する」「仲間をつくる」という価値観に沿って、異動することで「何に挑戦できる」のか、「どんな仲間をつくれる機会になるのか?」を相手に伝えることで、無事に快諾いただきました。

こんな事例がJDSの中にはたくさんあります。

もちろん、受講生たちは、実際に自分の仕事の現場でこの、「価値観ベースのコミュニケーション」を活用し、成果を上げていることは、言うまでもありません。

自分の周りの人たちの「個人としての価値観ー個人として価値を感じているもの、大切に思っているものー」は何か。

日常のその人の言動を観察したりコミュニケーションの中からそれを読み取っておくと、相手を説得したい時に活用することができます。

価値観を知るための手法についてはJDSでさらに詳しく学ぶことができます。興味を持たれた方は、「個別相談会」に参加してみてください。

人生デザイン構築学校では、個人が幸せな人生を自分自身でデザインできるようになるために、Dr.ディマティーニ開発の『価値観ミッケワーク』(正式名:バリュー・ディターミネーション)を行っています。このワークによって、これからの人生を幸せに生きるためのあなた自身の『最高の価値観』と『人生のミッション』が明らかになるのです。
『価値観ミッケワーク』の無料解説動画とワークシートはこちらから入手いただけます。
https://mmjdi.com/p/r/kAvYgCm2

自身の価値観についてさらに深堀りしたい方には、公認ファシリテーター(人生デザインコーチ®︎)があなたの『最高の価値観』の言語化をお手伝いします。マンツーマンでコーチの問いかけに答えることで、潜在意識に隠れているあなた自身の価値観、そして天才性が明らかになります。
https://jinsei-design.com/curriculum/

 

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