タカ派、ハト派って何? 

2016年5月17日

今日からは、金融市場の話をしていきたいと思います。
先週の株式市場の状況を見てみましょう。
資本市場の動きを日本からではなく世界から見る眼を養うために、まずは米国市場を見て見たいと思います。
先週、米株式市場は、下落しました。その背景にあったのは、米企業の冴えない四半期業績発表と、週初に発表された米中の製造業指標でした。
世界経済の減速懸念から、エネルギーや素材株など、「景気敏感株」と言われる銘柄が主に売られました。
米ドルは軟調に推移しました。ドル安は米企業にとっては海外売り上げ比率の高い企業に有利なため、株式市場は、通常好感して上昇するのですが、一方で、『ドル安は米国経済の弱さの表れ』とも解釈されることがあり、
市場の大半がその解釈に流れると、ドル安と米株高が同時に起こります。それが先週の米株式市場では起こりました。
第1四半期決算の減益がエネルギー企業だけにとどまらなかったことも下落要因となりました。S&P500指数に採用されている企業の87%が決算発表を終え、現時点で減益幅は▲7.1%になると見込まれています。
米国株式は現在割高感が強いので、減益となると益々割高感が強まってしまいますね。
決算発表シーズンも終わりに近づいており、投資家の焦点は、目下6月15~16日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)です。
市場(のアナリストたち)もまだどちらとも判断できかねており、その手がかりとなるFRB高官の発言が注目されています。


今日の日経新聞に、米リッチモンド連銀のラッカー総裁という人の発言が掲載されています。
『ラッカー総裁は、米紙ワシントン・ポスト(電子版)に16日掲載されたインタビューで、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げに関し「6月(の米連邦公開市場委員会=FOMC)の利上げには強い論拠がある」と述べた。
また、「物価上昇率は明らかに(目標の)2%に向かっており、労働市場も引き締まっている。
今年初めにみられた下振れリスクも消えた」と指摘。「指標は今ごろまで数回利上げして
おくべきことを示しており、遅れを取り戻すことを考える必要がある」と述べた。』
-本日の日経新聞電子版より-
要は、6月利上げ、をほのめかしています。
物価上昇率がなぜ重要かというと、FRBの存在目的の一つが物価の安定にあるためです。
物価は下がっていっても(デフレ)、上がり過ぎても経済によくないとされていて
『穏やかなインフレ』が望ましい
とされているので、物価が上昇している、ということは、利上げを正当化する
理由になるのです。
利上げは、経済活動を不活発にする方向に働きますから、慎重にしないとなりません。
経済が十分に元気ではない時に利上げすると景気後退をもたらしてしまう可能性もあるためです。
なので、それなりの明白な理由がないと利上げはできないのです。ですが、
FRBは、早く政策金利を1%にまで持っていきたいと思っています。なぜなら、現在はサイクル的に景気後退に向かっており、そうなった時に、「利下げ」というカードを使いたいからです。
今の金利では、利下げの余地がなく、量的緩和に逆戻りするか、日欧のようにマイナス金利を導入せざるを得なくなってしまいます。
物価上昇率、いわゆるインフレ率は、かくして、FRBの政策を左右する重要なファクターとなっています。
ですが、インフレ率は高すぎても、経済に良い影響を与えません。
インフレとは物の値段が上がること、つまり通貨の価値が下がるということです。
通貨価値はその国の経済力を示しますから、国としては下げたくないのです。
ただし、輸出企業にとっては、円高は自国通貨建ての売上を下げることになるので、自国通貨高は諸手を上げて歓迎できるものでもありません。
新聞等で、円高は企業業績にマイナス要因という主張をよく目にするので、
通貨安が良く、通貨高は良くないとの認識を持ってしまいがちですが、必ずしもそうではないことを、覚えておいてください。
強い通貨は強い国の表れなので、本来はそれは歓迎されるべきものなのです。
米国の高官が「強いドルは米国の国益」と折に触れて口にすることがありますが、これはそういうことを言っています。
話をインフレに戻して、インフレ率が高くなることは、通貨の価値を下げる他にも、マイナス面があります。
それは、金融資産の価値が目減りすることです。
日本の個人はGDPの3倍近くの金融資産を保有しています。
それを全て現金で保有していた場合、GDPを3%増加させたとしても、物価が1%上昇してしまえば、実質富は増加しないことになります。
こういったことから、中央銀行の高官は、どの国でも、「インフレが高くなること」を嫌うマインドセットを持っています。
足元ではインフレの心配より各国ともデフレの心配に追われていますが、長い歴史から見たら、人類を苦しめてきたのはむしろインフレの方なので、
(教科書などで、パンを買うのに札束を高く積み上げている写真を見たことがあるでしょう。)
経済の舵取りをしている中央銀行員は、「インフレと戦うDNA」を持っているのです。
この「インフレと戦うDNA」が強い人を『タカ派』、そうでもない人を『ハト派
と呼んでいます。
つまり、
タカ派は利上げに積極的
ハト派は消極的

ということになります。
先に紹介したラッカー総裁は、利上げに積極的な「タカ派」として知られています。
今年は投票権は持っていないので、実際に政策に影響力を持ちませんが、「どっちかわからない」状況の時には、そのような人の発言も、このように注目されるのですね。
米国が6月に利上げをするかどうか、その決定よりも以前に、それまでの期間市場の予測がどう動くかで資本市場の動きが変わってきますので、注意深く見守っていきましょう。
ただし、それによってポジションを即座に動かすという話ではありませんのでくれぐれも誤解なきよう。
こういった金融情勢の動きを理解しておくことで、
今後の大きな流れとリスク要因を見極め、必要に応じてポートフォリオのリバランス(配分調整)をし、
自分のリスク許容度に合った
ポートフォリオ運用に生かす

ことが目的です。
市場の乱高下に備えて、乱高下するとプラスのリターンが出るファンドの組み入れを考慮すること等も賢いポートフォリオ運用の選択肢の一つです。
この辺の話も、6月の人生デザイン構築学校®︎公開講座:投資戦略会議でさせていただいています。
みなさんに、自分のリスク許容度に合ったポートフォリオを作成するだけでなく、その定期的なリバランスの仕方もぜひマスターして頂ければと思います。


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資産形成デザイン戦略

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