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2015
06月29日

ギリシア銀行営業停止を受けて〜狼狽売りは大損失への第一歩

ギリシア銀行営業停止を受けて〜狼狽売りは大損失への第一歩

2015年6月29日

ギリシャで、週末に行われていた債権団との金融支援延期交渉が物別れに終わり、2015年6月29日月曜から銀行の営業が停止され、資本移動規制が導入されることになりました。
Greece said it would temporarily close banks on Monday 
本日29日の東京市場では、一時500円安、前場は368円安で引けるなど、動揺が広がっていますが、長期投資家の皆さんは、ここの局面で、動揺せず、狼狽せず、平常心を保ることが大切です。
世界の大物投資家や民間銀行は、2011年のギリシャ債務危機で学んでおり、ギリシャのデフォルト可能性はとっくに織り込み済みです。また、長いことくすぶっている問題なので、ユーロ圏においてもセーフティーネット等対応が進んでおり、国民投票となったことはサプライズではありましたが、今回のギリシアの問題が世界の金融市場や欧州経済全般に対する影響は限定的との見方がアナリスト、エコノミストの間では大勢を占めています。
日本株に関して言えば、ファンダメンタルズは強く、むしろ、買いの好機とする見方も多くあります。
ドルコスト平均法で投資信託やETFに毎月一定額を投資に振り向けている方は、逆にこの下げ局面で量を稼ぐことができますので、怖くなって今月は資金投入を辞める、という「反応」もせず、淡々といつもと同じ運用を行うことが大切かと思います。
とだけ言っても、不安かと思いますので、まず、現状を把握したいと思います。

現状

・6月27日、ギリシアが求めていた金融支援の延長をEU財務省会合が拒否し、支援協議は決裂。
・6月28日、ECBは電話による緊急理事会を開き、ギリシアの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)の追加支援の見送りを決定。
・ギリシャ金融当局は、預金の大量流出に歯止めをかけるため、29日月曜にも資本規制に踏み切り、銀行は営業停止となる。営業停止は7月6日まで、資本規制の期間は不明。数ヶ月続く可能性も。
・ギリシャ議会は28日、EUの財政改革案を受け入れるかどうか、7月5日に国民投票を実施することを承認。
・ユーロ圏18カ国の政府・中央銀行は、金融市場の混乱を避けるためにあらゆる措置を取る準備があると発表。
首相は「市民が銀行に預けているお金は保証される」と語り、国民に平静を保つよう呼びかけていますが、すでにATMには長蛇の列ができ、月曜には銀行窓口にも長蛇の列ができることは必至とみられています。
次に、こうなった背景を見てみましょう。

背景

ギリシャは、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)と(3者合わせてトロイカと呼ばれています)、色々な所からお金を借りているのですが、その内の一つ、ECBが、現在緊急流動性支援という形で貸している分の、ギリシャからの借入れ上限額引き上げ要請には応じないと、決めたのです。
なぜなら、これに先駆けて、EUがギリシアに、国の財政をこのような方法で改善してくださいという、財政改革案を提示したのですが、それをギリシャは拒否したんですね。自分たちで打ち出した財政債権政策があったからです。EU側は支出を抑えて改善するよう提案していたのですが、ギリシャ側は税収を増やして改善することを主張し、双方折り合わなかったのです。
交渉は物別れに終わり、ECBは上限引き上げを断りました。
ギリシャは、IMFからもお金を借りていて、その返済期限が6月30日に迫っているのですが、ECBから更にお金を借りないと、IMFに返せないのです。つまり、デフォルトする可能性が一気に高まってしまいました。
それでも、ギリシャはEUの改革案を受け入れたくなかったのですね。
EUの改革案は、年金カット、増税、一段の財政緊縮などを要求するもので、これをギリシャのチプラス首相は、「ギリシャ国民への侮辱だ。」と語っていたそうなので、感情で重要な決断をしてしまった感があります。
侮辱だろうが何だろうが、借金の返済期限が迫っていてそのお金を他から借りなければ返せないという状況下、受け入れる以外選択肢はないのですが、ギリシャはそうはしませんでした。
その代わり、首相は、7月5日に国民投票を実施して、EUの財政改革案を受け入れるかどうかを国民に問うと決めたのです。
そして、ギリシャ国会は同28日に素早くこれを承認しました。
ですが、7月5日以前に、返済期限の6月30日は来てしまうのです。なので、首相は債権団に、国民投票まで、支払いを延期して欲しいとの要請もしっかり出しました。
国民投票で改革案を受け入れるとの結果が出た場合、債権団は支援を再開する方針と伝えられています。
そうすれば、一応、事なきを得ます。
逆に、国民投票で提案を拒否との結果になれば、IMFなどの国際機関にお金を返せないばかりか、ギリシア国債を買っている民間の投資家への返済もできなくなり(7月20日に国債の償還日が迫っています)、ギリシャの債務不履行(デフォルト)、ひいては、ユーロ圏離脱が現実味を帯びて来ます。
そうなると、銀行は破綻、恐らく整理、国有化され、政府の紙幣印刷に基づいて資金を賄うということになると思われます。
もし銀行破綻が生じたら、政府が既存の債権者と一部の預金者にも損失の負担を求める手法しか、選択肢はありません。
そうすると、とばっちりを食うのは、銀行に預金を預けている国民そのものということになります。
国民投票では、改革案を受け入れる方が、ギリシャ国民としても賢明なわけです。というか、それしか選択肢はない状況です。選択肢が現実問題一つしかないのに、国民に問うというギリシャ政府の決断には、債権関係者、市場関係者もびっくりです。
地元紙の緊急世論調査によると、改革案を受け入れるとする声は57%で、反対は29%だった模様。別のメディアでは賛成は47%、反対は33%。多分賛成ということに落ち着くというのが一般的な見方です。
さて、それでは、次に、銀行の営業停止と資本規制の影響に話を進めたいと思います。

銀行の営業停止と資本規制の影響

交渉が物別れに終わり、IMFへの返済が滞る可能性が高まったことで、ギリシャの財政破綻のリスク、国内の金融システム破綻リスクも高まったことは上述の通りです。そこで、これ以上、ギリシャの銀行システムからの資金流出を防ぐために、銀行休業や資本規制に乗り出しました。
首相は、期間や具体的手法には触れませんでしたが、地元メディアによると、銀行休業は国民投票翌日の7月6日まで続けられ、ATMの利用は、30日以降は可能となるものの、一日の引き出し上限額は60ユーロ(約8000円)になると報道されています。
また、資本規制が敷かれますので、現金の国外持ち出しや送金にも制限がかかります。こちらはいつ終わるかは不明で、長引けば数か月に及ぶ可能性もあります。
お金を引き出せないのですから、国民生活に影響が出ますし、小売りなども売り上げ低下、経済全般が打撃を受けるのは確実です。ちなみに、29日の外国為替市場では、ユーロは幅広い通貨に対して売られています。
EU側はなおギリシャの歩み寄りに期待を寄せています。つまりは、国民投票はやめて、交渉のテーブルに戻り、改革案を受け入れることを期待しています。かつ、EUは28日「ギリシャ国民の情報のため」、財政改革案の内容を公表しました。これは、異例なことです。
モスコビシ欧州委員(経済・財務担当)は「対話の窓口は常に開かれている」と述べ、ギリシャに交渉のテーブルに戻るよう促しました。お金を貸している方が大人の対応をしているように見えます。
まあ、ギリシャがデフォルトしてしまうと、貸したお金は焦付き、困るのは自分たちなので、なんとかデフォルトは防ぎたい所なので、当然といえば、当然です。
ここからは、今後の展開の見通しを、海外のメディアを参考に、立ててみたいと思います。

今後の見通し

■ 銀行が破綻した場合、誰が責任を負うのか?
ギリシャの国家銀行破綻処理当局が責任を持ちます。ギリシャはまだ問題銀行を扱う新たな枠組みを定めた銀行再建・破綻処理に関するEU法を可決していないためです。
■ ギリシャの銀行整理の資金を負担するのは誰か?
ギリシャには、国家の銀行破綻処理基金というものがありますが、ここにも殆どおカネが残っていないため、上述の通り、もし銀行破綻が生じたら、政府が既存の債権者と一部の預金者にも損失の負担を求める手法しか、選択肢はありません。
ここには大口預金者のほか、ギリシャの銀行に賭けた北米のヘッジファンドが含まれる可能性があるとも伝えられており、米国を始めとする他地域への影響が懸念されますが、実際には、ヘッジファンドや大物投資家は、デフォルト懸念のある国にそうそう裸でエクスポージャーを持っているわけはなく、逆にボラティリティのオプション等を買っているので喜んでいる可能性の方が高いでしょう。大半の民間投資家はギリシアから撤退しており、米国などへの波及効果は限定的との見方の方に軍配が上がると思います。
■国境を越えた金融の余波は生じるのか?
上述の通り、ギリシャの金融システムに対するEUの銀行のエクスポージャー(投融資残高)は、すでに限られています。ギリシャの銀行は、アルバニア、ブルガリア、キプロス、ルーマニア、セルビア、トルコ、マケドニアに子会社や支店を多少持っていますが、これらの国の当局はすでに、不測の事態に備えた緊急措置をある程度講じているため、影響は限定的と見られています。ただし、デフォルトした場合の波及効果が実際どうなるかは未知数なので、市場の警戒心は高まっています。
■資本規制や銀行破綻で最も大きな打撃を受けるのは誰か?
ギリシャでは、2010年以降、1000億ユーロ以上の預金が引き出され、残っているのは1300億ユーロ足らずと、10年ぶりの低水準に落ち込んでいます。
銀行によれば、大金持ち、大手投資家はとうの昔に資金を引き出し、残っている預金者は、消費者と中小企業で構成されているそうで、何らかの制限が課されることになれば、最も大きな打撃を受けるのは、我々を含む海外の投資家ではなく、ギリシャ国以外に何の選択肢も持たない国民ということになります。
破綻の瀬戸際に立たされたギリシャの銀行

日本の投資家として

日銀は、
・現段階では日本の金融市場が流動性逼迫等に直面するとは見ておらず、大規模な資金供給も必要ない、
・仮に、ギリシャがデフォルトとなったとしても、ギリシャ国債を保有しているのは、ECBなどの金融当局であるため、欧州民間金融機関への影響は大きくない
と判断していると伝えられています。
日銀、現段階でギリシャ問題に大量資金供給は不要と判断=関係筋
今日の為替相場では、ドル円は円高が進行しましたが、足元122円台で留まっており、株式市場では、日経平均は前日比400-450円安の水準で取引されており、ここから更にリスクオフの動きが加速するようには見えません。
今後は、ギリシア情勢を見極めながらの値動きとなりそうで、一時的にボラティリティは高まると思います。
が、企業のファンダメンタルズに基づいた値付けではないので、この騒ぎが収束すれば、ここからはファンダメンタルズ相場に戻ってきます。長期投資家としては、冒頭で述べました通り、ここは動揺せず、狼狽せず、我慢の時、しっかりとドルコスト平均法での買い入れを続ける局面かと思います。
自己責任で個別銘柄を売買している方も、このような局面でこそ、平常心を保ちましょう。
*本記事は、情報提供を目的とするもので、いかなる投資或いは投資商品をお勧めするものではありません。投資は自己責任にてお願いいたします。

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