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2015
06月30日

ギリシャ債務問題に見るリーダーの資質

ギリシャ債務問題に見るリーダーの資質

2015年6月30日

ギリシア債務問題がいよいよ大詰めを迎えています。
EU(欧州連合)とギリシャ政府のギリギリの交渉劇、のようにも見えますが、
よくよく状況を分析してみると、チプラス首相の冷静な分析の欠如、見通しの甘さが見え隠れします。

チプラス首相に欠けていたリーダーの資質

元々それらが不足しているリーダーだったのか、今回キャパ越えしてしまったのかは、より詳しく彼の経歴や発言などを調べてみないとわかりませんが、一つ言えることは、今回に限って言えば、
”合理的判断より感情に左右されて判断してしまった”
ということです。
今回の支援交渉決裂の発端は、ギリシャのチプラス首相がEUから提示された財政改革案の受け入れを『われわれギリシャ人は、欧州に横行する脅迫と不正に対抗して尊厳を守る。』と拒否したことにあります。
この「脅迫と不正に対抗する」という言葉で、既に、感情に思考が支配されてしまっていることがわかります。
実際、事がここまで大きくなる前の6月17日に、チプラス首相は、IMFとECBを公然と非難しています。
(非難は、偏った視点から来る感情の現れです。合理的な非難はありません。)
”チプラス首相は、ギリシャを苦境に陥れた犯罪の責任はIMFにあると非難、ECBについてもギリシャを窒息させようとしていると責め、債権団との対決する姿勢を鮮明にしている。” ーKlug 2015/06/17
確かに、過去には、アジア危機の際などに、IMFの指導で財政再建に取り組んだ国が、再建案が厳しすぎ、財政再建は成功したものの、経済成長が犠牲になったという例があることはあります。
今回のEUからの改革案も、確かに、年金のカットや増税など、ギリシャ国民にとって厳しいものにはなっています。
ですが、受け入れ拒否をするにしても、冷静に過去の例や自国の経済構造等を分析し、
「このやり方だと逆に経済が失速し財政再建までの道のりはむしろ遠くなる。
それよりこうすれば、再建はもっと早く達成できる」と、
『根拠を示しての拒否と根拠を示しての提案』であれば、案項目ごとの交渉なども可能だったのです。
この案は、最終案でも正式な案でもなかったのですから。
ですが、根拠を示さず、怒りの感情に任せて全面拒否をしてしまいました。そこに、リーダーとしての資質の欠如が見て取れます。

彼に欠如しているリーダーの資質とは、以下の3つです。

1. 感情にコントロールされない冷静な判断
2. 先を見通す力
2′ シナリオ分析の知識と決断する際にそれを行う習慣
3. ステークホルダーの協力を得る力(ここでは、債権者と國民の双方)
2′ シナリオ分析の知識と習慣とは、文字通り、何かを決断する際に、シナリオ分析を活用できるかどうか、です。
元々先を見通す力が備わっている人もいます。その人たちは、二つ以上に分かれた道のどれかを選択する際、頭の中でシナリオ分析をちゃちゃっとやってしまっているのです。
よく、会議などでいつも鋭い質問を投げる人がいますが、その人たちは、その頭でちゃちゃっとやる、暗算シナリオ分析に必要な情報ピースを集めていて、それに欠けている情報があると、質問してそれを集めにかかるのです。
そういった人は、先を越して先手を打った行動ができるので、通常「仕事ができる」人と見られています。
先を見通す力がない場合、シナリオ分析を習得することで、
あたかも先を見通す力があるような、最良の選択をすることができるようになります。
凡人の私たちは、ぜひ習得したいスキルです。

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この3つは、どのレベルのリーダーであっても、非常に重要な資質だと思っています。
たとえ、部下が一人しかいなかったとしても。
たとえ、部下が一人もいなかったとしても。

そうです、この3つは、持っていると、自分自身をマネージし、最高の自分をプロデュースする際に、威力を発揮してくれます。
そして、この3つに
5. 仕事に必要な専門性
が加われば、必然的にリーダーシップが発揮され、たちまちリーダーになれてしまいます。

自分の市場価値を上げる手段の一つ:
命じられるより先に実質リーダーになってしまう

実質リーダーになっていれば、会社はあなたを放っておかず、必ずリーダーに抜擢します。
この3つの他にも、リーダーに必要とされる資質は沢山あるので、自分に求められているリーダーの基準を超える資質を持つように努め、それを発揮して行くと、常に会社や顧客に求められている以上の貢献をすることができるようになります。
気がつくと、その組織でなくてはならない存在になり、外からもヘッドハントの声がかかるようになります。
再び、気がつくと、自分の市場価値が上がっています。
そのルートに入るための第一歩を踏み出す時に、持っていたい基本的な資質が、上記の3つだと、私は考えています。

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話をチプラス首相に戻して・・・。

冷静に考えれば、拒否はあり得ない選択肢です。ギリシャは現在、借金でにっちもさっちも行かなくなっていて、その借金の返済でさえも支援金で賄っている状況です。
それを鑑みれば、支援者、債権者から支援を受け続けるためには、彼らからの改革案を受け入れざるを得ないというのは、誰の目にも明らかです。
改革案を受け入れ、行って借金を返済し、国の財政を立て直すために、国民にもある程度我慢して貰う必要があります。
それに国民が納得してくれないのであれば、国民に対し「5年間は大変だけれども皆で頑張って財政を立て直そう」と呼びかけるという選択肢も、リーダーとしてあったはずです。
ですが、実際には、チプラス首相は、その選択肢は取らず、提示された改革案を拒否し、国民投票実施を選びました。
なぜ、この選択を行ったのか。一国のトップが下す国の命運をかけての決断なのだから、合理的判断をするはず。との前提で彼を見てしまうと、到底理解できません。
そもそも、今回の交渉は、支援延期についての交渉、しかも、6月30日に期限が到来する支援プログラムの延長に関するものでした。債権団からの提案は正式な最終案ではないので、内容について交渉の余地は十分にあったのです。
そして、国民投票が実施されるのは7月5日です。IMFへの支払い期限は6月30日です。EUからの支援打ち切り期日も6月30日です。支援延期を了解して貰わなければ、支援は打ち切られます。そうなるとIMFへの支払いができず、事実上デフォルトになってしまうのです。

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国民投票で、仮に賛成という結果(EUの改革案を受け入れる)という結果になったとしても、彼が望む通り、反対という結果(EUの改革案を受け入れない)になったとしても、どちらにしても、その時にはすでに支援は打ち切られています。

一度打ち切られた支援を再び復活させることは不可能です。
支援策の延期をして貰わない限り、国民投票をしたところで、デフォルトするのです。
にもかかわらず、延期をお願いする交渉のテーブルを自ら離れたのです。お金を借りたい人が席を立つ、というのは、もう貸してくれなくて結構、と言っているのと同じこと、荒唐無稽にすら見えます。そして、国民投票を決めました。
支援を打ち切られた後に国民投票を行うことに、合理的な意味は微塵も見出せません。
「改革案を受け入れなければ支援延期はしないよ」と言われたので、カッとなって、「だったら国民に聞いてみる、国民だって反対なはずだ!」と、感情的に、短絡的に、国民投票を決めた、と見ることができます。
決定したのも突然で、側近も知らなかったという事実が、それを裏付けています。
”関係者によると、EU側がギリシャが国民投票に踏み出すことを知ったのは、チプラス首相からの連絡ではなく、ツイッターで流れたニュースだった。しかも交渉の最前線にいたギリシャ政府の事務スタッフは政府方針を知らなかった。
債権団とギリシャ側の担当者が合意に向けた資料を作成している最中にニュースに気づき、事務レベルはEUもギリシャ側も仰天したという。”(日経新聞)
しかも、国民投票までの約1週間、銀行は営業停止となります。金融システムの崩壊を守るためです。ATMからの現金の引き出し上限額は一日につき60ユーロ(8000円程度)となり、資本規制がされるため、外国への資金送金も制約がかかります。
金融システム(銀行)を守るために、国民が犠牲になるのです。
チプラス首相は、預金者のお金は守る、年金も守るから心配無用、と国民に言ったといいますが、全ての預金引き出し要求、国外送金要求に応えた場合、銀行が破綻します。営業停止にして国民に無理を強いて銀行を守るか、国民に蜜を与えて銀行を破綻させるか、どちらかに一つなのです。銀行を破綻させることは一大事なので、やはり国民にある程度犠牲になってもらうしかありません。
EUの改革案を受け入れても、拒否しても、どちらにしても、犠牲を強いられるという意味では、同じことです。
そんな状況を強いられるなかで、国民は、反対票を入れるでしょうか。
手元に現金はなく、ATMからは1日8千円しか下ろせないのです。クレジットカードもどこも受け付けてくれません。
年金は多少カットされてもゼロよりマシです。増税されても何も買えないよりマシです。改革案を受け入れ、緊縮的な生活をする方を選択すると考える方が自然です。
じゃあ改革案受け入れるよ、と賛成が多数になったとします。そうなれば、チプラス首相は不信任案を突きつけられたも同然ですから、辞任するしか道は残されていません。
彼は、そのシナリオは、考えていなかったと見られます。
このように、感情にまかせた決断をしてしまうと、合理的な判断をするのは、難しくなります。
自らの決断の先、そしてその先に何が起こるか、
複数の可能性があるなら、それぞれが起こったその次には、どのようなシナリオが考えられるのか。
それが起こる可能性はどれくらいなのか。
その時、自分はどう動くのか。
・・・というシナリオを分析をしてみると、チプラス首相が自滅の道を歩んでいることがわかるのに、時間はかかりません。
リーダーとは孤独なものです。
そして、その責任の重さたるや、相当なものです。
判断を誤れば、そのマネジメント下にいる人間は勿論、その家族にまで影響が及び、その期間も、判断の種類によっては、一生ものかもしれません。
あなたが、部下が一人でもいるリーダーであるならば、あなたの決断がもたらす未来への影響を熟慮する必要があります。
シナリオ分析の手法は、その際に非常に役に立ちます。
そのほか、リーダーが兼ね備えていなければならない資質、持っていたい知識、経験には、様々なものがあるでしょう。
ですが、一番大切なのは、「在り方」です。
「リーダーとして、どうありたいか?」
理念とも言い換えることができます。
これが無ければ、シナリオを複数考えついたとしても、どの道を行くかの決断はできません。
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