4月から仕事を始めた人は、半年がすぎました。
就職活動で面接を重ねて、やっと入った会社。最初は夢を抱いていたけれど、毎日の仕事は少し違うような気がする……そんなことを感じる時期かもしれません。
思っていたような仕事をさせてもらえない。
仕事を続けていても、成長している実感がない。
このままここで働き続けても、頭打ちではないか。
そんなことを思ったとき、踏ん張ってこの場で働き続けた方がいいのか。それとも別の道を探した方がいいのか。
今回はそんなとき、後で後悔しない選択をするための指標についてお伝えします。
今の仕事を続けるか、辞めるか。悩んだときにあなたはどんな行動を取るでしょうか。身近な人に相談してみる人も多いでしょう。ですが、相談したときにあなたが受けるアドバイスは、まさにあなたの悩みそのもの——続けた方がいい、と、辞めた方がいい、の二つに分かれると思います。
「今の職場で踏ん張った方がいい」
そのアドバイスは「石の上にも三年」の言葉があるように、日本に古くからある精神論に由来するものです。年配者や親に相談した場合は「弱音を吐かずにもっと頑張りなさい」と言われることが多いと思われます。
一方、最近、書籍などで多く見られるアドバイスは「辛いならさっさと逃げろ」です。
これは、逃げずに頑張り続けたことで自ら命を立ってしまうケースが増えていることが影響しています。「命を絶つまでしなくても、別の仕事に変わればよかっただけじゃないか。そんなに辛いのならば頑張らなくていい」という意見には大変説得力があります。
また、成長曲線の話を教えてくれる人もいるでしょう。
人の能力は、努力に比例して直線的に上昇するものではなく、頑張っていても長く停滞が続いている時期があり、ある日を境に、急にジャンプして水準が上がる、という話です。
目に見えた成長はないかもしれないが、今は水面下で根を張りつつある状態ではないか。だとすれば今撤退するのはもったいない。そんなアドバイスを受けることもあるでしょう。
そう言われて非常に辛くても頑張り続けてしまい、精神的に参ってしまい、出社できなくなったという話も耳にします。軽い鬱だと診断を受けることもありますが、病気というよりは、頑張りすぎたことで一時的にエネルギーが枯渇してしまった状態です。
結局、人のアドバイスをいくら聞いても、決断するのは自分です。
頑張りすぎて倒れた後で撤退を決断するのではなく、そうなる前に撤退する、あるいはそこで頑張るならば、そうならずに仕事が続けられる状態にする。そのためにはどうしたらいいでしょうか。
頑張るか、撤退するか。このとき考えていただきたい指標は以下の2点です。
1番目は「今後この仕事を続けた時、自分の強みが発揮できるか」です。
新人が仕事を3年5年と続けていくと、徐々に仕事の内容が変わってくると思います。現在担当している仕事では才能を発揮できなくても、その先にある仕事で強みや得意を発揮できるかを考えます。
たとえばフランス料理のシェフを目指してレストランで働いている場合、1年目は皿洗い、3年目までは下ごしらえと仕事の内容が決まっているとします。皿洗いでは強みを発揮するという次元ではありませんが、3年、5年と修業を続けてシェフになれたときに、そこで自分の強みや得意が発揮できるか。それがひとつの指標です。
2番目は到達した先の仕事が、さらに拡大する可能性があるかです。シェフになるのであれば、その後独立して自分の店を持つ可能性があるでしょう。また、最初は地元で小さなレストランを始めたとしても、その後二軒、三軒と事業を拡大していくなど、仕事の領域をさらに拡大する目標が持てるかどうかということです。
シェフになれば強みが発揮されるし、それが当初の目標だった。でも今は毎日先輩に怒られてばかりで皿洗いが辛い。
そう感じているのであれば、それは今の仕事に忙殺されて、将来の目標、初心を忘れてしまっている状態です。
その場合は、最初抱いていたシェフへの憧れ、自分の夢を思い出すとよいでしょう。すると今は辛くても、先を目指して頑張ろうと思うエネルギーが湧いてくると思います。
例外もあります。
それはパワハラを受けている場合です。仕事の内容が辛いのではなく、パワハラを受けて辛い場合は我慢せず、その職場からは撤退しましょう。他のレストランで働くなど場所を変えれば、元々の目標であるシェフへの夢は持ち続けることが可能です。
シェフには憧れているけれど、実際にシェフとして働いたことがないので、そこで強みが発揮できるかどうかわからない。
そのように目指す職業でやっていける確信が持てないときの判断基準は「今の仕事や目標が自分の価値観に合っているかどうか」です。
自分の価値観に合っているならば、その先の仕事で強みが発揮できる可能性は高くなります。
では自分の価値観に合っているかどうかを判断するための3つのポイントをお伝えします。
一つめは、その領域のことに関して、なんとなくこうしたらいいのではないかということがわかる、アイデアが閃くかどうかです。
たとえばシェフを目指す人であれば、自宅で料理を作っていて味が物足りないと感じた時、何を入れたらいいか閃く。そしてそれですごく美味しくなったという経験があるならば、料理が自身の価値観にあっている可能性が高いでしょう。
二つめは、指示されなくても自分から進んでどんどんやっているものかどうか、です。たとえば暇な時にスマホを覗いていると、気がついたら料理の情報を探しているとか、ネットで話題のレストランや新しい食材に関する記事が見つかるとつい読んでしまうといった経験です。このように、つい自分が探してしまう分野はあなたの価値観に合っているものです。
三つめは、人と話している時、その分野の話になるとつい熱がこもって、話が止まらないような場合です。調味料や食材の話、料理の話はいくらでも話していられるという状況は、料理があなたの価値観に非常に合っていることを示しています。
・なんとなくアイデアが閃く
・自分からどんどん進んでやってしまう
・その話題についてはいつまでも話していられる
この三つが当てはまる職業は、自分の価値観にあっていると判断できます。その場合、今は皿洗いが辛くても、何年後かにシェフになることを目指して踏ん張りましょう。
今の状況を乗り越えればシェフになれる。その時には自分の強みと能力を発揮して、お客様にオリジナルの料理を楽しんでもらおう。毎日の生活に疲れている人を食で癒そう。お客様に「今日は美味しいものを食べて幸せだった、明日からまた頑張ろう」と思ってもらえる料理を作ろう。
そんな未来を思い浮かべましょう。すると、今辛くても頑張ろう、というエネルギーが湧いてきます。そして実際にシェフになったとき、あの時あきらめずがんばって良かった! と思えるようになるのです。
自分の価値観に合った仕事では、強みや才能が発揮されていきます。ですから今の仕事が価値観に合っているならば、今は辛くても踏ん張りましょう。仕事が価値観に合っていない場合、その職業は他人の価値観に沿って選んだ可能性があります。その場合はその場から撤退して、自分の価値観に合った領域に移動すればいいのです。
踏ん張るか、撤退するか。
決断の際には自身の価値観を基準にしていただきたいと思います。
今回のチェックで、今の仕事が自分の価値観に合っているかどうか、大体は確認できると思います。ですが、さらに自身の価値観を明確にすれば、目指す目標のポイントを絞り込み、それに向かうパワーを引き出すことができます。人生デザイン構築学校(JDS)では価値観を明確にするワークを提供していますので、ご活用ください。
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