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2014
09月30日

怖れとは…? 怖れを亡くすシナリオ分析

怖れとは…? 怖れを亡くすシナリオ分析

怖れとは…? 

怖れを亡くすシナリオ分析

「失敗を怖れない」と良く言いますが、怖れないようにしようとすると、余計怖れが増大してしまい、怖れていたことが本当に起こってしまうこと、よくありませんか?

失敗を怖れないようにすることは、逆効果なんです。

◯◯を怖れないようにしよう、と思った瞬間、頭の中で何が起こっているかというと、◯◯が一旦頭の中で創造され、それからそれを打ち消すということをしています。一旦頭の中で創り出されてしまったものは、「思考は現実化する」ゴールデンルールに従い、外の世界にそれを顕現させてしまうのです。

でも、失敗を怖れていると、冷静な判断ができなくなることがあります。
では、怖れを克服するには、どうしたら良いのでしょう。

あなたが「失敗」とみなしているコトが起こるリスク、これを失敗リスクと呼びましょう。これを想定してそれに対して万全の準備をして臨む、これは行っても良いことで、むしろ、おすすめの方法です。ここで重要なことは、同じ状況を思い描くのであっても、「失敗」とみなして怖れという感情を伴って思い描くことと、単なるシナリオの一つとして思い描くことは、引き寄せる結果が多いに異なる、ということを理解することです。

ベストシナリオ、メインシナリオ、ワーストシナリオ、と起こり得るシナリオを想定し、それぞれどのような状況・結果かを書き出し、それに対する対応策を検討する、シナリオ分析という手法は、広く使われています。これは、極めて左脳的作業で、通常はここに「感情」は介入させません。感情を介入させないための一つの方法と言えます。

例えば、自分の資産運用の決断のために、先に行われたスコットランド独立のための住民投票のシナリオ分析を行うとします。独立となれば、世界や市場はどう反応し、自分の資産運用にどう影響が出るか、独立否決となればどうなるか。それを想定して、影響が出易い資産から撤退するといった準備をします。

これがもし、当事者である場合、例えば、あなたが英国のキャメロン首相だったら、どうでしょうか。

住民投票前夜に、スコットランド入りして、反対に投票するよう呼びかけるか、否か。
この判断をする場合、想定し得るシナリオとしては、
1)演説が功を奏し、反対票が伸び、独立は否決される。
2)演説は共感を得られず、賛成票が伸び、独立が可決される。

更に、考えられるシナリオとしては、次のようなものがあります。
1)→スコットランドへの権限委譲を進める必要に迫られる。
2)→独立のための諸処取り決めに忙しくなる。→英国の統治が疎かになることが想定される。

これらのシナリオに対し、今、しておくべきことは? と考え、準備をします。
1) 権限委譲プロジェクトに入れる人選のための情報集めを指示しておく。
2) 英国の統治を委任できる人物を選出し、目下の課題の申し送りなど、その体制ですぐに走れるよう準備しておく。

また、以下のような第3のシナリオも、考えられます。
3)演説は投票結果に影響を与えず、殆ど材料視されずに、賛成/反対が決定された。

これらのシナリオがもたらす更なるシナリオとしては、以下が考えられます。
1)自分のリーダーとしての評価が世界的に上がる。
2)自分のリーダーとしての評価が下がり、英国内の求心力も失い、今後首相としての仕事がやりにくくなる。
3)自分のリーダーとしての評価が下がるどころか、影響力が低下し、世界に対する発言力も低下する。

ここで出てくるのが、あなたの感情、です。
もしかしたら、あなたは、2)と3)に「怖れ」を抱いたかもしれません。
もしそうなら、あなたは、これらを「失敗」と見なしている、ことがわかります。
もし、怖れが大きいなら、あなたは、その失敗を「人生で取り返しのつかない失敗」と見なしていることがわかります。

”あなたの中で、何がどうなったら、失敗なのでしょうか?”

「評価が下がる」は、「失敗」ですか?

それは、本当に、真実ですか?

それとも、あなたの「みなし」でしょうか?

それは、本当に、「取り返しのつかない失敗」ですか?

それとも、「取り返しがつかない」とあなたが思っているだけでしょうか。

そもそも、「反対演説をした」 ⇔ 「賛成派が勝利した。」
この二つに因果関係があるのでしょうか。

200年にも及ぶ「がまん」が独立賛成の勢いを形成しているとしたら、誰がどんなに素晴らしい演説をしても、その流れは食い止められなかったものかもしれません。

仮に、メディアが「演説効果なし。独立可決」と報道したとしても、それは真実でしょうか。
真実は、常に、どんな時も、ひとつです。

「あなたが反対演説をした」 「賛成派が勝利した」
それだけが真実です。

反対演説をした のに 賛成派が勝利した。 の、「のに」は、あなたがそこに付け加えた「意味」と、あなたが想像した二つの事実の「繋がり」です。

どのシナリオも、シナリオそのものに、ポジティブもネガティブも、失敗も成功もありません。

一つのシナリオを「成功」とみなし、別のシナリオを「失敗」とみなしているのは、あなたの「思考」です。 そして、「失敗」と見なしたものに、想像を膨らませて「怖れ」を抱いているのは、あなたの「感情」です。

思考と感情は、過去のデーターベースを元に形成されます。

あなたの経験が、何を成功とみなし、何を失敗とみなすか、を決めているのです。

更には、あなたの「思い」がシナリオの作成力に影響を与えています。

あなたが志が高く、信念が強い首相であれば、

1)自分のした演説のどこか一言に、感銘を受けて賛成から反対に転じた1票があり、その一票が反対派に勝利をもたらした。

というシナリオを思いつくでしょう。

「ほんの少しでもその可能性があるなら、自分はそれにかける」という思いが強ければ、2)や3)を例え想定したとしても、自分の評価など下がってもいいと思うでしょう。例え「だめな演説だった」と言われても、その後の自分の仕事にはなんら問題はない。と「みなす」でしょう。そこには、シナリオ2、3を「失敗」とみなす気持ちはなく、「怖れる」気持ちも生まれることはありません。

怖れとは

怖れとは、危険や脅威を感知した時に生まれる、同様や不安や懸念の感情です。危険や脅威自体は、現実的なものである場合と、想像上のものである場合があります。

怖れに脅かされている場合、自分を無防備に感じており、大事な決断をする際に、自分の感情や肉体、地位、名声、ポジションといったものが傷つけられる悪い結果をもたらすのではないかという迷いが生まれ、思考が濁り、判断が鈍ります。

しかも、怖れは更なる怖れを呼びます。怖れは脳を刺激し、現実の状況を空想上の脅威が現れる架空の状況に作り替えてしまいます。しかも、それを本物、真実だと信じてしまい、現実の脅威にプラスして、想像上の脅威によっても、自分の怖れを増大させてしまいます。

怖れに必ずついてくるのが心配です。これに取り付かれると、その心配な状況を想定して、そこから無傷で逃れようとするのです。そして、逃れようとすればするほど、それに取り付かれます。
これは、自分があるがままで振る舞う妨げとなり、自分の本質を発揮できない要因となります。
想像上の怖れは怖れていた現実を引き起こす、とは、思考は現実化するというゴールデンルールにプラスして、自分を発揮できないことも要因となって起こります。

では、怖れが沸き起こって来たら、どう対応したら良いのでしょうか。

怖れを克服する3ステップ:
1.自分は「怖れている」ことに気づくこと
2.何を怖れているかに気づくこと
3.本当は、何を怖れているのかに気づくこと

怖れの典型的なものとしては、
・他者から否定的な反応を貰う怖れ
があります。

先の例の、2、3の、評価が下がる、も、これに当たります。
これは、存在自体を脅かす、人間が持つ基本的な怖れで、これには以下のような派生の怖れがあります。

・理解してもらえない怖れ
・拒否される怖れ
・軽蔑される怖れ
・愛して貰えない怖れ

社内で失敗する怖れとは、「あいつはだめだ」とレッテルを貼られる怖れ、つまり、拒否され軽蔑され理解されず愛されない、従って会社における存在が危うくなる怖れです。

日本の企業は減点法なので、一度失敗したら人間性まで否定され、そこからの復活が不可能という認識を社員に与えているため、怖れが蔓延する要因となっています。(その点、外資の文化は、ー一概に言えませんが、少なくともアングロサクソン系の企業文化はー、加点法であり、失敗を教訓に次頑張れ、という風土があるため、怖れは日本企業におけるものほど大きくありません。)

そのため、絶対に失敗はできない、と、失敗を怖れる気持ちが増幅され、その怖れが自分の本質をあるがままで表現する怖れを引き起こし、怖れに支配される為、気持ちとは裏腹に才能や実力を発揮できないという、願っていない結果を引き起こす要因となっているのです。

話がそれました。

怖れを克服するための、第一歩は、
自分は怖れているのだと気づくこと、
そして、本当は何を怖れているのかに気づくこと、です。

そして、怖れについて分析します。 怖れを直視するのです。

先のキャメロン首相の例のように、深く自分の怖れを分析してみると、怖れの一部は、現実的でない脅威、根拠がない結びつけによる想像上の脅威に対してのものであることがわかります。少なくとも、自分が想像しているのは、想定されるシナリオの中でも現実には起こる確率の少ないものであったり、思ったほどの脅威ではないことがわかります。

反対演説をした のに、賛成派が勝った、場合、

本当に、自分のリーダーとしての評価が下がり、英国内の求心力も失い、今後首相としての仕事がやりにくくなる、のでしょうか。

もしかしたら、2、3のシナリオだったとしても、現実には、ベルリン崩壊のように、何をもってしても止められない勢いがついて賛成派の圧倒的勝利となり、自分の演説のことなど、世間は気にも止めない結果になるかもしれません。

自分の「怖れ」が物語を膨らませ、怖れを膨らませていることがわかるでしょう。

ここまで見えて来たら、怖れは大方消えているはずです。

それでも消えない場合、さらに奥を見ます。
3ステップの3番目です。

怖れの更に奥を見る

自分が怖れているのは、演説の失敗なのでしょうか?

自分が本当に怖れているのは? と自問をすると、
演説に失敗して、「首相としての地位が脅かされること」だということが見えて来ます。

演説に失敗することと、地位が脅かされることを、想像力豊かに結びつけていることに気づきます。

第3者としてこれを見た場合、根拠がなく、幻想であることが容易にわかると思います。ですが、当事者になると、私たちは、こういった「想像力豊かな根拠のない結びつけ」を頻繁に行っています。

本当の怖れが見つかったら、一つの想定シナリオをそこに強引に結びつけてしまっていないか、もしそうなら、それは自分の「想像」「幻想」であり、「真実」ではない、ことを、自分自身にしっかり認識させてください。

真実だけを見るのです。

それは、別の言い方をすれば、「そのシナリオが起こっても(A)、自分の地位は脅かされない(B)」ことを知ること、です。

Aには、自分が失敗とみなしている具体的なシナリオを持って来ます。

先の例でみると、「演説をする+賛成派が勝つ」です。

Bには、自分が本当に怖れていることを持って来ます。先の例であれば、「演説が功を奏さない」ではなく、「首相の地位が脅かされる」を持って来ます。

「演説をして賛成派が勝っても、首相としての地位は脅かされない」

これが真実です。

怖れは亡くなりましたか。

怖れを克服するためには、「怖れないようにしようと努める」のをやめ、むしろ、それにどっぶり浸かるようにします。

浸かって正体を見破り、怖れ自体を消滅させるのです。
お岩さんは、ぱっと見えると妖怪かと思い、とても怖いですが、良ーく見ると、顔が焼けてしまった人間だとわかり、怖さがなくなります。
ちょっと例えが古かったでしょうか。

いずれにしても、この、怖れを亡くすシナリオ分析、とても有効なので、是非取り入れてみてください。

追伸:

時間がない場合、一足飛びに、怖れを介入させない決断をする方法があります。

自分の怖れに気づいたら、
「その怖れが全くないとしたら、どのように決断するだろうか」と聞きます。

先の例ですと、「演説をして賛成派が勝っても、首相としての地位は脅かされない、としたら、どのように決断するだろうか」という問いになります。

お気づきですか。
怖れを亡くすシナリオ分析で到達した最後の文と同じですね。

怖れは、あなた自身が創ったお化け屋敷。
現実ではありません。 真
実ではありません。

お化け屋敷の中で、怖さを感じないように、勇敢になるように努力しながら生きるのではなく、
お化け屋敷から出て、怖れフリーの状態になって、毎日の決断や選択をしてください。

怖れにあなたの人生をコントロールさせるのではなく、
あなたが、あなたの人生をコントロールする、人生を送りましょう。

今週も、目一杯、輝いて生きましょう!

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