最近、相場の乱高下が激しいですね。
相場やニュースをチェックしている方は、その理由を理解しようと色々と見ておられるかと思います。
最近の株価の動きを説明する際に、金利が上がったから、金利が下がったから、という説明が出てきます。これを受けて、なぜ金利が株価の動きに影響を与えるのか? を疑問に思っている方もいらっしゃると思います。
今日は、金利と株価の関係について、お届けしたいと思います。
金利とは、「お金の値段」と考えてください。モノの値段とは、基本的には、需給のバランスで決まります。需要が供給よりも多ければ、値段は上がりますし、逆であれば、値段は下がります。
金利も、お金に対する需要が供給より多ければ、上がりますし、需要が減少すれば、下がります。
ここまでは良いですよね。
では、お金に対する需要が供給より多い、とは、どういう現象でしょうか。市場に出回っているお金の量が一定であれば、人々がより多くを需要すれば、金利は上がります。これが良い金利の上昇と呼ばれている現象です。
人々がより多くのお金を需要するとは、皆が買い物を沢山したい状態です。財布の紐が緩んで、商品・サービスがどんどん売れている状態です。金利の上下に良い悪いもないのですが、景気が良い時に起こる金利上昇なので、良い経済状態を現していますよということで、良い金利上昇と呼ばれているのです。
それでは、悪い金利上昇とは、どんな状況でしょうか。それは、モノの値段が上がっている時に起こる金利上昇です。モノの値段が上がるということは、同じモノを買うのにも、多くのお金が必要になるということです。ということは、お金への需要が上がるということなので、上記と同じ理由で、金利は上昇します。
モノの値段が上がるということは、インフレになっているということですね。なので、インフレ率が高まるとき、金利は上昇します。金利とは、もう少し専門的な説明をすると、お金が1年間に生み出すお金の量です。利息と言ったらわかりやすいでしょうか。
100円に10%の利息が付いたら、110円になります。100円を借りた場合、1年後の返済金額は110円です。これをモノの値段にすると、今年100円のものが1年後には110円になるということです。インフレですね。
インフレが進行している時には、金利は上がります。これは、覚えておいてください。
そして、金融市場の参加者は常に予測をして動いています。これからインフレになる(モノの値段が上がっていく)と思ったら、それはこれから金利が上がっていくということだと考えます。すると、今の金利でお金を借りたいと思う人が増えます。なので、お金の需要が上がります。その結果、金利が上昇します。
なので、実際にインフレ率として現れていなくても、インフレ期待が高まっているとき、すなわち、これからモノの値段が上がっていくという見通しがある時にも、金利は上昇します。その意味で、金利は将来のインフレ期待を含んでいるのです。
ここまで、良いでしょうか。
では、そのように動く金利が、なぜ株価を動かすのでしょうか。
金利が上昇するということは、企業が銀行から借入をする際に払う利息が増えるということなので、経済活動にはマイナスです。金利が上昇したら、企業はより多くの利息を払わないとお金を借りられないので、銀行からの借入を減らし、設備投資などを減らして経済活動を穏やかなものにしていきます。
逆に、金利が低下したら、企業は低い利息でお金を借りることができるので、銀行からの借入を増やし、設備投資などをしたり人材育成をしたりして経済活動を活発化させます。
一国の経済状況は、企業の経済活動の総和ですから、企業が活動を活発化すれば、景気が良くなり経済は成長します。
なので、金利上昇ー経済に良くないね!ー株価下落、金利低下ー経済にいいね!ー株価上昇という連想が働き、株が売られたり買われたりし、実際に株価下落、株価上昇となって現れます。
最後に、金利を動かす要因がもう一つあることをお伝えしておきます。
先週、英国が減税等を発表して、金利が上がりました。これは、お金の需給のバランスではない、もう一つの要因を考える必要があります。
金利とは、お金の値段と言いましたが、もう一つ、その国の政府の信用度を表している、という側面があります。
なので、一般的に
危険ー金利が高い
安全ー金利は低い
という関係が成り立っています。
これは、投資家の観点からの話になりますが、金利とは、意味としてはお金の値段なのですが、実際には、国債の値段で決まります。
国債とは、政府が発行する債券です。何年後にいくらを償還(返す)と決まっているのが債券です。3年後の満期が来たら投資してくれた人に1000円返すと決まっている債券なら、3年物国債、と呼ばれます。10年後なら10年物国債です。
その国債が今、900円で取引されていたら、満期までの利率はいくらになるでしょうか。(1000-900)=100円が利息としてつきました。100円は元金900円の何%でしょうか。
100 ➗ 900 = 0.11、つまり、11% です。
では、800円で取引されていたら、利率はいくらでしょうか。
1000-800 = 200
200 ➗ 800 = 0.25、25%です。
900円のとき、11%
800円のとき、25%
債券価格が下がると利率は上がりますね。この利率のことを金利と呼ぶのです。なので、
債券価格が下がると金利は上がる。
逆も然りで、
債券価格が上がると金利は下がる。
となります。
この債券価格というのは、満期にもらえる価格ではなく、その時の市場の需給で決まる、流通価格です。
そして、この金利というのは、先ほどお伝えしたように、その国の危険度を示します。
いわゆる、カントリーリスクというものですね。
カントリーリスクとは、政府の信用度と思っていただいて良いです。
政府の信用力が高ければ、投資家は少ない利率でも投資をしていいよ(お金を貸してあげるよ)と思うので、その国の国債を買う人が増え、価格が上がります。上記で示した通り、債券価格が上がったら、金利は低くなります。逆も然りです。なので、
国の信用力が高いー金利低い
国の信用力が低いー金利高い
という現象になります。トルコやアルゼンチンなどの国債の金利が高いのは、過去にデフォルトなどを起こしており、信用力が低いためです。そんなに危険なところには高い金利じゃないと投資しないよ、という人が多くなるので、需給のバランスで債券の流通価格が決まり、その結果、金利が決まります。
英国政府が減税を発表して、金利が上がったのは、減税によって政府の財政状況が悪化するので、カントリーリスクが高まりますから、それを反映して金利が上がったのです。
そして、金利が上がったら、先に説明したカラクリ(金利上昇ー経済に良くないね!ー株価下落)で、株価が下落しました。
今は、先進国の経済はお互いにリンクしていて、特に金融市場はある市場とある市場で違いがあるとその差を利用して稼ごうとする人たちがいるので、同じような価格に収斂しやすい状況にあります。
ましてや、大英帝国のピンチとあっては、世界経済にも影響があるということで、世界経済、特に金融市場の長である米国の金融市場をも影響を受けたのです。
・・・と、ざっと、このような説明になります。
減税するなら、経済に良い影響があるはずなのに、なんで株価が下落するのだろう?
と思っていた方も多かったと思いますが、このようなカラクリで株価が下落しました。
そして、株価下落を受けて、英国政府は、なんと、減税撤回!を発表したので、上記と逆の動きが起こって、株価が反発したということになります。
極めてわかりやすいですね。
このことから言えるのは、今の株価は企業の実力(ファンダメンタルズ)を反映しているのではなく、このような政府や中央銀行の動き(FRBの金融政策)に大きく揺さぶられる状況にあるということです。
なので、株価が乱高下します。なぜなら、政府や中央銀行の動きや政策などは、市場参加者には読めないためです。読めても、今回のように、いきなりサプライズを発表するということも少なくありません。
一方、企業の業績にフォーカスが当たっている時には、企業業績はすぐには良くなったり悪くなったりしませんから、そして、企業は四半期ごとに経営状況を投資家に公開しているので、予測が立てやすいのです。
業績にフォーカスしている業績相場と違って、マクロ要因に動かされる相場は変動性(ボラティリティ)が高いのは、このためです。
しばらく、マクロ要因に動かされる相場が続くと思われますので、この後もボラティリティが高い状況が続くと見られます。
そして、政府や中央銀行の状況はどうなのか? なかなか諸手を挙げて、最高です!とは言い難いかと思います。
慎重にウオッチすることが必要ですね。
今日のこの内容が、皆さんの金融リテラシー向上に少しでも役に立ったら嬉しいです。
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