2015年11月4日
日本郵政グループ3社が、今日11月4日、株式を同時上場しましたね。
日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命それぞれの初値は、以下の通りです。
日本郵政 1,631円(売出価格 1,400円)+16.5%
ゆうちょ銀行 1,680円(売出価格 1,450円)+15.8%
かんぽ生命 2,929円(売出価格 2,200円)+33.1%
ここで、少し構造を確認すると、日本郵政は、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社の持株会社です。今回は、政府が日本郵政の株式の11%を売却し(国から民間に株主が移動する民営化)、同時に日本郵政は、自分が保有する金融子会社のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式を市場に売却しました。なので、親子同時上場などと言われています(下図参照)。
2005年に郵政民営化法が成立してから、10年越しの上場実現となりました。
メディアでも早くから騒がれていて、ある証券会社では個人投資家の新規口座開設が2倍になったという報告もありこれを機に株式投資を始めることになった方も多いようです。
ここまで読んで、このブログの読者の方なら、すでに、お気づきかと思います(であって欲しいです)。
株式投資を初めて一番最初に買うのが個別銘柄、しかも3銘柄以下・・・。
かなりのリスクを取っています。
IPO(新規公開株)投資は、人生デザイン構築法無料オンラインセミナーでご紹介した「段階的分散ポートフォリオ構築法』に照らすと、個別銘柄投資とは『投資の階層』が異なり、個別銘柄投資をある程度行って来た方が、次にリスクを高める時に使う手法です。
無料オンラインセミナーをご覧頂いていない方のためにお伝えすると、「段階的分散ポートフォリオ構築法』とは、個別銘柄投資をする前に、国内債券から始まって4つの基本資産に、パッシブファンドを中心とするファンドへのエクスポージャーを持つことで、分散ポートフォリオをコツコツ段階的に構築する手法です。
それからすると、基本4資産クラスに投資をしていないのにIPOに投資をするということは、ボーゲンしかできないスキー初心者が、いきなりコースも整備されていない雪山の頂上に行くようなもの、怪我をせずにちゃんと帰ってこれるかどうか、かなり疑問です。
なので、公募価格を上回ったというニュースを聞いて、『あー、乗り遅れたなー、買っておけば良かったなー』と思っているとしたら、安心してください(笑)。
購入していたとしても、これからやることが山ほどあります。それは、購入前にしておかなければならなかったことです。
投資をするにあたって必要な準備
投資をするにあたって必要な準備は、以下のコラムでお伝えしていますが、
ここで、改めて、復習したいと思います。
これは、かなりの投資暦がある方でも、個人投資家の方で行っている方は少ないので、既に何年も投資をしている方もチェックしてみてください。
簡単におさらいをすると、投資を始める前の準備として、投資哲学、これをしっかり持っておくことが必要です。
そして、投資哲学を決めるために必要な情報は、以下の5つです。
1. 自分の最高の価値観
2. 投資にどのように自分の価値観を反映させたいか
3. 投資の目的
4, 目標額
5. 運用期間
投資への準備がきちんとなされているのであれば、
今回のIPOに参加した場合、以下の質問には答えられるはずです。
・どのような投資哲学の元で、買ったのか?
・購入の目的は?
・投資期間はどれくらいを想定しているか?
・この購入によって、自分のポートフォリオのリスク・リターン特性はどのように変化したか?
・変化した場合、目標リスク・リターン特性を維持するには何をすべきか?
・今回のIPO参加によって、自分の投資哲学と目的に基づいて決定した資産配分から、ポートフォリオはどう乖離したか?
・その場合、調整(いわゆるリバランス)はどのように行うべきか?
そして、次の二つの質問も・・・。
・今後の事業の見通しをどう見ているか?
つまり、増収増益率はどれ位を期待しているか?
事前準備がなされていないと・・・
短期的な値上がり益を期待して買われた方は、事前準備などせずに買われたかもしれません。
その場合、売却の判断は、どうしましょう?
何を基準に判断しますか?
IPOで一番難しいのは、出口戦略です。上記のような準備をせずに参加した場合、管理戦略も出口戦略も持っていないはず、雪山で路頭に迷うことは目に見えています。
個人投資家で、自らのポートフォリオを管理している人は、投資先進国のアメリカでも、1割と言われています。
お金は、ずさんな管理をされる所から、きちんと管理をしてくれる所に流れます。
そして、株を買うとは、その企業が未来に世の中に提供する価値を買うということ、企業の夢を一緒に追いかけるということです。
ただの紙切れの値上がり益を狙った投資は、「投機」であり、それはギャンブルです。投資はギャンブルである、株には手を出すな、という見方が日本に根強くあるのは、投資ではなく「投機」をしてしまって痛い目に合った人々が流布した「真実ではない格言」です。ギャンブルで資産形成をした人は、多分、いませんよね。株に投機をしている限り、きちんとした資産形成はできません。
事前準備がなされていないと、投資と思っていた自分の行動は、知らない間に「投機」「ギャンブル」になっていた。ということになりかねません。しっかりと、事前準備をして、投資哲学を持ち、目的、目標、期間をしっかりさせてから、投資に臨みましょう。
こういった、あなた個人に必要な準備は、ブログではお手伝いするのは難しいのですが、ここでは、事業見通しを見るためのヒントをお伝えしたいと思います。
まず、日本郵政の事業の見通しは、どうなのでしょうか。
郵便局は全国に2万4153局あり、コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブンを6000店上回ります。この規模の優位性は、当たり前ですが、群を抜いています。では、採算はどうでしょうか。
郵便業務では約8割の地域が赤字で、それを約2割の黒字地域の利益でまかなっています。不採算でも事業継続が義務付けられている一方で、これからは収益を上げることを考えていかなければなりません。巨大なネットワークをどう収益に結びつけるのか、難しい課題と向き合うことになります。
そして、日本郵政は、その収益の大半を子会社の金融2社に依存しています。2015年3月期の売上高(に相当する連結経常収益)及び純利益の大半はゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が稼ぎ出しています。この構造を今後どうしていくかも経営課題です。
では、今後の株価推移の見通しはどうでしょうか。
これまでの民営化に伴う大型IPO案件を振り返ると、NTTは上場直後こそ初値を上回って推移したものの、バブル崩壊後は水面下に沈んだ状態が続いています。上場後に中長期的に好調な株価水準を維持しているJTやJR東海は、積極的な海外企業の買収やリニア中央新幹線計画などの成長戦略が評価された結果です。
上場後も株価が安定して伸びていくためには、やはり、元国営企業の規模をもってしても、成長戦略が描けるかどうかにかかっています。
日本郵政グループも例外ではなく、既存事業の拡大が見込みにくいなか、その株の魅力度は今後、事業の成長シナリオを描けるかどうかにかかっていると言えそうです。
企業の収益見通しや割安度などのファンダメンタルズ分析、そして自分のポートフォリオの管理、これらをしっかり行って、投資によってコツコツ資産形成をしていきましょう。そして、それは、最終的には、あなたが人生で成し遂げたいこと、それに使われるためのものであること、それを忘れないようにしたいですね。
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