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2015
12月01日

日経平均2万円台回復、今後の持続性は?

日経平均2万円台回復、今後の持続性は?

今日は、日経平均株価が2万円台を回復しましたね!
8月20日以来、ほぼ3カ月ぶりの2万円台回復です。
今日2万円台を回復した理由は、「財務省が朝方発表した2015年7~9月期の法人企業統計で設備投資の伸びが加速していたから、買い安心感が広がった。」
などといった説明がされていますが、それだけではないですね。というより、それ以外の理由の方が大きいです。
・・・ということで、今日は昨日のリーダーシップの続きをお伝えする予定でしたが、急遽予定を変更して、相場についてお伝えしたいと思います。
この所、日経平均は、8月11日に20,946円で底値をつけたあと、9月29日に16,901円で底入れ、その後反転上昇してきましたが、この所は2万円台を目前に、後退する展開が続いていました。私は、これを、勝手に「滑り台逆登り相場」と命名しています。
滑り台を逆から駆け上がって登ろうとすると、テッペンに登れそうでなかなか登れないから。ちなみに、これを言っても誰も理解できないので、そのおつもりで(笑)。
余談は置いておいて、それが本日、2万円台を回復しました。
高衣は、これには3つの背景があると考えています。
1) 9月からの戻り相場で株価が上がったことで、年金基金などの機関投資家が、(株式へのエクスポージャーが基準を超えて高まったことから)ポートフォリオのリバランスを実施したために株価は上値が抑えられていたが、その動きが一巡した。
2) 12月は、「師走相場」と言って、株価が上昇しやすい傾向があります。なぜかは説明できません。説明できないけど、そのような「傾向」があります。例えば、過去10年間、感謝祭後年末までに株価は100%上昇しています。
このように、なぜかは説明できないけど、よく当たるかもしれないとされる経験則のことを「アノマリー」と言います。これは、投資の専門用語ではなく、「ある法則や理論から見て異常(例外)、または説明できない事象」のことを指す一般用語です。
これを、相場の動きを語る場合、「はっきりとした理論的な根拠を持つわけではないが、その傾向通りに動く」相場の「癖」のようなものとして、使われています。
例えば、欧米では、「5月に売って、市場を去ろう(Sell in May and Go Away)」と言われています。これは、年初から5月にかけては相場は上がるけど、6月から10月にかけては下落する傾向があるので、5月に株を全て売ってしまおう、ということなのですが、これは、マクロ経済分析や、企業や株価のファンダメンタルズ分析、テクニカル分析などでは、説明がつきません。
ただ、過去にはそうなる傾向があったというだけで、今年も株価が同じ動きをするとは限りません。ですが、これが結構その通りになることが多く、そのアノマリーも有名になってきているので、それに沿って売買行動を決める参加者も多くなってきているため、余計にその通りになる確率が高くなっているということもあります。
背景説明が長くなりましたが、その12月アノマリーがあるため、それに先駆けて買いを入れようという動きが入りやすい状況にありました。
特に、今年は、3日に欧州中央銀行(ECB)理事会、4日に米雇用統計発表という重要イベントを控えています。そして、両方とも、株式市場には「ポジティブ」な内容になる公算が高まっています。つまり、ECBは追加緩和を決定し、米雇用統計は力強いものになる公算、です。
これらがポジティブとなれば、相場は上がりますから、それ以前に仕込んでおこうという動きがあった、と考えることができます。
更に、米雇用統計が良ければ、15、16日のFOMCで利上げが決定される公算が高くなります。米国で利上げが行われれば、日米金利差の関係で為替相場は円安に振れることが予想され、そうなると日本の輸出企業の収益にはプラスになります。
3) チャート分析の面で、11月30日に日経平均が日足で、25日移動平均線が200日移動平均線を下から上に突き抜けるゴールデンクロスを形成したことで、「チャーティスト」と呼ばれる投資家が買いを入れてきた、と読むことができます。(チャーティストの間では、ゴールデンクロスを形成したら買い、とされています。)
これらは、すべて、後付けの説明ではありますが、後付けでも背景は何かな、と調べたることは、将来の見通しを立てる上で非常に役にたちます。
例えば、日経平均株価の2万円台乗せは、一時的なものなのか、ここから更に上昇を加速させるのか。それが、この3つの背景を見ると、見えてきます。一つ目のリバランスを除いて、一時的なものではなさそうです。
ならば、この上昇の勢いは今後も続くのではないか、と見ることができます。
それをもう少し確認するために、今日の上昇のけん引役が、誰だったか、を見てみたいと思います。
日経平均株価を構成する36業種の上昇率ランキングのトップは、ガス(3.71%高)と電力(3.01%)でした。特段の買い材料は見当たりませんが、上昇したのは、これらの業種は、10月以降の戻り相場で大きく出遅れていたからです。出遅れ銘柄が上昇したということは、幅広い銘柄に買いが入ってきたということで、相場の底堅さを示しています。
一部の業種や銘柄が市場をけん引したのであれば、その業種がへたれば相場の勢いはなくなりますが、材料のない出遅れ銘柄が買われたということは、需給の締まり(旺盛な需要)を示唆しています。
ただし、外国人投資家の中には、アベノミクスに失望、なんていう意見も出始めています。これら様々な情報を楽しく集めて、自分なりに相場の展望を見ることも、投資の楽しみの一つです。
ただし、見通しを立てることは、見通しに沿って投資戦略を変えることが目的ではありません。あくまでも、投資戦略は、投資哲学に沿って予め定めてある長期的なもの、短期的な見通しで変えることはしません。
こういった情報を自分なりに活用し、見通しを立てることで、ポートフォリオを基本のアロケーション(配分)から、若干株式を多めにしたり(オーバーウェイトと言います)、債券を多めにしたり、と、
アセット・アロケーション(資産配分)戦略に活用することができます。
今日は、盛り沢山になってしまいましたが、読者の方には、少しずつ何回も読んで、こういう内容に馴染んで頂ければと思います。
それでは、明日も、輝く1日を!

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