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2017
05月11日

パッシブファンド 富の源泉を探る

パッシブファンド 富の源泉を探る

こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。
ゴールデンウィークはゆっくり英気を養う事ができましたか?私は天気に恵まれたこともあり、家族でバーベキューをしたり、犬と遊んだりしてくつろぎました。そしてまとまった時間を活用し、投資戦略に関して以前から気になっていたことを調べていました。
それは昨年の秋頃、当研究所の高衣所長による、金融リテラシー向上ゼミの『日経ヴェリタス解説』(2016.9.18号)での事でした。「従来以上に分散効果の高い運用が求められている。個別の資産を分解し、リスクとリターンの源泉まで明らかにして、分散効果を高める手法が出てきている。」というトピックでした。
例えば、肉と野菜(株と債券)をバランスよく食べていれば、栄養バランス(分散効果)が取れていると思っていたのに、栄養素レベル(リスクとリターンの源泉)で見ると実は偏っていた。食品(資産クラス)を、栄養素まで分解して偏りを防いでいくようなやり方。といった例えが紹介されています。
海外の先進的な年金基金などに広がりつつある手法だが、国内でも三菱東京UFJ信託銀行が、資産配分に偏りがないか要素レベルでチェックできるサービスを、年金基金向けに提供しているそうです。
現時点では個人投資家レベルでは、まだハードルが高い分析手法との事ですが、私たち長期安定投資家にも必要な考え方です。先日の石部研究員の記事にあるように、パッシブファンドは「特定の指数(インデックス)」に連動する運用を目指す投資方法ですが、せめて指数(インデックス)の中身をしっかりと理解しておくことが大事だと、ずっと気になっていたのです。
http://missionmikke.com/detail/isb031/
調べていると楽しくなってきて、様々な指数(インデックス)を頭にインプットしましたが、今回は日本(国内)株式クラスの代表的な指数を改めて紐解いていきましょう。

日経平均株価

日本の株価指数といったらまず思い浮かぶのは、『日経平均株価』ではないでしょうか?70年近くもの歴史があり、新聞やテレビのニュースで経済情報を伝える際に、必ず報道される指標なので、投資をしていなくても認知している人が大半です。
日本経済新聞社が算出しており、東京証券取引所第一部(東証1部)に上場されている約2000銘柄の株式のうち、独自の基準で選んだ225銘柄から構成されています。日本を代表するような優良企業で構成されており、比較的景気に敏感に反応する銘柄が多く含まれているのが特徴です。
株価平均型と呼ばれる指数算出方法を用いており、この特徴から株価が高い銘柄ほど、寄与度が大きく日経平均株価に高い影響力を持つという特徴があります。
ファーストリテイリング、ソフトバンク、ファナックといった値がさ株の3社で、構成比率の20%弱に達していることからも影響の大きさがうかがえます。逆に日本を代表する大手ゼネコン4社を合わせても1%にも届きません。オリンピック需要で建設業界が好調となっても、日経平均株価の上昇には微々たる影響という事です。
そしてこの225社は定期的に入れ替えが行われています。流動性の高い優良な銘柄で構成されていますので、業績不振などで陰りが見えてきた銘柄は除外されてしまうのです。これにより日経平均株価は数値として上昇しにくくなっているとの指摘もあります。
実際にバブル時の最高値38,957円から四半世紀以上経過しても、半値あたりをうろちょろしています。しかし企業の価値である時価総額は、すでにバブル期を追い抜いています。市場規模は拡大し経済は発展しているのに、見た目の数値が上がらず停滞感があるのはもったいないですね。

TOPIX(東証株価指数)

TOPIXは日経平均株価と並び、日本株式市場を代表する指数(インデックス)です。東京証券取引所第一部に上場されている全銘柄を対象として構成され、浮動株と呼ばれる市場で売買可能な株式から計算される、時価総額の加重平均型指数です。
時価総額とは「株価×発行済み株式数」の事で、この特徴からTOPIXは株式時価総額の大きい企業の株価に影響を受けます。トヨタや大手メガバンクなどが値動きを牽引しますが、銘柄数が多い事や、業種別構成比もバランスが良く配分されており、安定的な値動きと言われています。
日経平均株価とTOPIX、有名な2つの指数の、どちらをベンチマークにしたパッシブファンドの方が良いとは、一概に言えませんが、両者の違いは採用銘柄数とインデックス算出方法です。日経平均株価の225銘柄より、TOPIXの2000銘柄のほうがより分散効果があり、市場平均に投資をするという目的により忠実だと言えるでしょう。
また日経平均株価では、一握りの株価が大きい企業の値動きが、指数全体に反映されやすい事には注意が必要です。しかし6セクター36業種からなる、日本を代表する優良企業が選抜されている事が、多くの人に信頼され投資される指数となっている要因なのかもしれません。
「人気の日経平均」「実力のTOPIX」と言うエコノミストもいますが、日経平均を見て投資家のセンチメント(市場心理)を計り、TOPIXでマーケットの実体をつかむ。というように二つの指標の特徴を知り活用する事が必要です。

MSCIジャパンインデックス

日本人投資家にはあまりなじみがない指数(インデックス)ですが、海外投資家から見ると一番メジャーな日本株式指数です。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI inc)が公表している指数で、TOPIXと同じように時価総額加重平均方式により算出しています。
MSCIジャパンインデックスは318銘柄から構成されており、東証一部上場企業だけでなく、東証二部やマザーズなどの新興市場を含んでいる事が、日経平均株価やTOPIXとの違いです。日本市場全体の上位85%をカバーしており大型株、中型株、リートまで網羅しています。
各セクターはバランスよく配分されていて、一般消費財などディフェンシブ銘柄が構成比率の上位を占めており、TOPIXと類似しています。組入れ上位銘柄も酷似している事から、過去のパフォーマンスを見ても似た動きをしています。
現在この指数(インデックス)に投資をしたい場合は、海外のETFを利用するしかありません。信託報酬や売買手数料を考えると、我々日本人はTOPIXの方が良いでしょう。しかし海外の投資家が日本に投資する場合は、この指数(インデックス)を買っている事を覚えておきましょう。
ちなみにMSCI指数は、国別および地域別に加え業種別、セクター別指数などもあり常時、数千の指数が算出されています。世界中で広く機関投資家に利用され、投資信託や年金基金運用などのベンチマークとして採用されていることもあり、パッシブファンドを購入して、世界分散投資を行う人は、絶対におさえておかなくてはならない項目です。

まとめ

・日経平均株価は、日本経済新聞社が選んだ、日本の顔とも言える企業225銘柄の株価平均指数。株価が高い銘柄に左右されやすく、市場全体の動きが見えない弱点もある。
・TOPIXは東京証券取引所が公表している、東証一部全銘柄の時価総額加重平均指数。構成銘柄は約2,000からなり分散が効いているため長期分散投資に向いている。
・MSCIジャパンインデックスは、海外投資家がグローバル投資で日本を買う際に選択する指数(インデックス)。MSCIは全世界のプロが活用する指数。個人投資家も重要項目として必ずおさえる。
今回は日本株の代表的な指数(インデックス)を見て来ました。まずこの基本を覚えると、この先にあるスマートベータと呼ばれる、JPX日経インデックス400やTOPIXコア30、MSCI日本株最少分散インデックスなどなど、様々なリスクとリターンの源泉を理解する土台となります。
そして自分の投資哲学をポートフォリオに反映させる度合いを、どんどん広げていく事ができますので、みなさんもリスクとリターンの源泉まで明らかにして、個別の資産を分解してみて下さいね。

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