こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。
先週は現在のようなマイナス金利下で、賢い住宅ローンの返済方法についてお伝えしました。親の時代からの常識が、通用しなくなっている部分も多く、知っている人と知らない人では大きく生涯収支が変わってきます。
私は、モデルルームなどの住宅販売現場からの依頼で、住宅の購入を検討しているお客様の個別相談を数多く行って来ました。その中で何年も前から「今は史上最低の金利です。」と何度言ったかわかりません。
これ以上低い金利はないだろうと思ってコンサルティングをしてきましたが、まさかマイナス金利や、イールドカーブコントロールなどの金融政策が実行されるとは、思いもよりませんでした。
本日は先週に引き続き、このような状況で今までの常識をくつがえす、究極の住宅ローン返済方法をお伝えしていきたいと思います。
住宅ローンに限らず、ローンを組む場合はなるべく頭金を多く入れて、借入額を少なくする。借入期間もなるべく短くする。これが金利負担を、少しでも減らすための大前提です。このようなローンの組み方によって購入予算を決め、「人生で最も高額な買い物」と言われる住宅は選択されてきました。
一般的には定年まで、つまり収入を得られる期間で、返済を終わらせることが理想的だと言われます。その理由は、年金だけの収入になったとき「将来の年金はどうなるか不安」というニュースが多い中、老後に住宅ローンの支払いが残っている事は、不安が大きすぎるからです。
実際に定年時に、退職金などでローンを一括返済して、シニアライフプランを提案するファイナンシャルプランナーも多く、それが今までの常識でした。しかし今は返済可能な範囲で、できるだけ長く、多く、借りる事が賢いと私は考えています。
仮に3000万円借りたとします。親世代の金利5%だった場合、35年返済と25年返済で、負担する金利差は約1100万円です。しかし現在のような低金利時代に1%で借入れた場合、その差は約160万円です。
また35年返済で、3000万円の借入れと、頭金を500万円入れて2500万円借入れの場合、負担する金利差は、金利5%の場合560万円ですが、1%の場合は93万円です。
早く借金を返そうと、期間を短くして月々の支払いを目一杯上げたり、がんばって頭金を貯めて借入額を減らしても、金利軽減効果は以前とは比べものにならないほど、格段に薄れているのです。
日本人は借金が嫌いです。親の教えの影響もあり、なるべく借金を減らしたいとがんばります。まとまったお金が貯まったら、通常の毎月の返済とは別に、ローンの元金返済分を前倒しで返済する「繰り上げ返済」をするのです。ローン元金の残りが多い、少しでも早い時期に実行するほど効果が高いと言われ、特に「期間短縮型」の利息軽減効果は高いです。
なかにはローンの残存期間の短縮効果に魅了されてしまう方もいます。返済貧乏といわれる手持ち資金不足となり、金利の高い教育ローンを組むはめになっては本末転倒です。(金利が高くても、借入額が少なく期間も短いので、住宅ローンよりも得と勘違いしている方も結構います。)
また住宅ローンには、団体信用生命保険という保障とセットになっているケースが多く、繰り上げ返済をすると、元金の減少とともに保障が減るというデメリットもあります。万が一の際、住宅ローンは保険によりなくなりますが、手元資金も少なくなっているという事です。
そして一番の新常識は、固定金利を選択した場合は、繰り上げ返済はしないという事です。通常は変動金利よりも高い金利を選択したのだから、なるべく繰り上げ返済をして利息を軽減しましょうと言われます。
実は逆で、固定金利は変動金利よりも高いコストを払って、金融機関に金利上昇のリスクを取ってもらったのです。それをわざわざ手持ちの資金を減らして、その回避したリスクを減少させては、喜ぶのはあなたより金融機関です。金利が上昇していく局面が来たら、涼しい顔をして見ていればよいのです。
変動金利の場合の金利上昇リスクは借りている側にありますので、先週お伝えしたように、浮いた分を使わずにとっておくことが重要です。
一方良くある質問に、住宅ローン減税を受けている場合、繰り上げ返済をするべきか否かと言うことがあります。「減税が適用される10年間は繰り上げ返済しないほうが良い」と、FPが本やネットにも書いています。
しかし、これは一概には言えず、きちんと計算する必要があります。繰り上げ返済の利息軽減効果と、それにより受けられなくなる税額控除額を比べるのですが、借入条件や繰り上げ返済の金額で有利な選択は変わります。
住宅ローンを早く完済する目的を考えてみましょう。
それは将来お金で困らないよう安心するためです。住宅ローンを早く終わらせて、その後の手元に残るお金を多くしようということです。昔の常識通りに行動すると、住宅ローンは早く終わりますが、その時、手元にはあまりお金が残っていませんという状態になります。
要は上記の1、2のように、住宅ローンをなるべく長く、たくさん借りて、繰り上げ返済しないという事は、手元の資金をなるべく減らさないという事です。究極の住宅ローン返済方法は、この住宅ローンに回さなかった資金を投資して、住宅ローンの金利よりも高い金利で運用するのです。
住宅ローンの返済は、リスクなしで借入金利と同じ金利で、お金を運用するようなものだと言われます。厳密には違いはありますが、確かにほぼ同じ効果を得ることができ、何よりも手堅い投資とも言われます。
しかし長期間にわたる資産運用で、借入金利より少しでも高いリターンを得られた場合、金利軽減効果を加味しても早期完済してから運用を始めるより、最初から投資した方が運用益は多くなります。
はたしてそんなことが出来るのでしょうか?
人生デザイン構築学校で学び続けている、長期安定投資家のための『段階的国際分散投資メソッド』に取り組むことが、私にとっては、この究極の住宅ローン返済方法の強力なサポートになっています。
詳しくは青木研究員のまとめ記事からもチェックしてみて下さい。
http://missionmikke.com/detail/mat024/
1.返済可能な範囲であれば、なるべく長く多く借りて住宅ローンを組む
2.繰り上げ返済は、住宅ローン単体でみればやった方が良いが、総合的にはやらない方が良い。
3.手元に残った資金を、長期安定投資で住宅ローン金利より高い金利で運用する。
住宅ローンは頭金を入れたり、繰り上げ返済したり、一度払ってしまったお金は戻って来ません。流動性の高い資産で運用し、手元にあるという事が本来の目的である、将来お金に困らないという安心感を生むのです。