マイナス金利の私たち国民への影響

2016年2月18日

日銀は16日、日本で初めてのマイナス金利政策を開始しました。マイナス金利は、金融機関が日銀に預けている当座預金の一部に0.1%のマイナス金利を課すもの。
日銀は2013年4月に量的・質的金融緩和を導入して以来、国債を買い入れて市場に出回るお金の量を増やしてきましたが、実際には市場に出回るお金の量は思ったほど増えませんでした。
これは、金融機関が増えたお金を融資や投資にお金を振り向けるのではなく、日銀の口座に預けっぱなしにしていたため。
それはなぜかというと、世の中の資金需要が不足していたため。そして、それはなぜかというと、デフレ期待があったためです。
明日はモノの値段が下がると思えば、消費者は購入を、企業は設備投資を先延ばしにします。
日銀は、金融機関が日銀に預けるお金の金利をマイナスにすれば、金融機関は「預けているとお金を取られる」のですから、引き出して融資や投資に回すと考えました。これが、マイナス金利の一義的な狙いです。
もちろん、以前に書いたとおり、それが株価や為替など金融市場を支えることも狙っていましたが。

金融市場への影響

さて、導入開始日の16日の市場では、金融機関同士が1日だけ資金を融通し合う翌日物取引市場で、前日の0%の金利が付きました。
投資資金も相対的に高い利回りを確保できる不動産市場に流入。東証REIT指数は16日、前日比2%高と2日連続で上昇しました。
一方で、国債利回りの急低下で、運用会社10社が短期国債などで運用するMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の購入受け付けを停止しました。
その他の金融市場への影響は今日はひとまず置いておいて、今日は、我々国民にとってのマイナス金利の影響を見てみましょう。

我々国民にとってネガティブな影響

定期預金金利の引き下げ
メガバンク各行は定期預金の金利を、預ける金額や期間にかかわらず一斉に年0.025%まで引き下げました。ゆうちょ銀行も定額貯金は一律年0.025%、定期貯金も4年以下を年0.025%、5年を0.030%と追随。
ただし、まだ対応していない銀行もあります。オリックス銀行は1000万円以上の定期預金(1〜5年もの)で年0.2%、あおぞら銀行インターネット支店は50万円以上の定期預金(1年・3年もの)で年0.3%。一桁違います。といってもわずかな差ではありますが、これらの銀行も今後追随してくると見られますので、駆け込んでおくという手もありますね。
普通預金金利の引き下げ
三井住友銀は16日から普通預金金利を0.02%から0.001%に変更。
りそな銀行は18日から0.001%に変更。
横浜銀行も17日から現行0.02%から0.001%に変更。
100万円を預けると年10円の利息が付くということです。これは、ただ、我々にとってネガティブな影響ですが、朗報もあります。

我々国民にとってポジティブな影響

住宅ローンの金利引き下げ
三井住友銀行がメガバンクの先陣を切って16日から住宅ローン金利を引き下げました。主力の10年固定型の住宅ローン(最優遇金利)を0.15%下げ、年0.9%に、5年物の金利を0.85%に引き下げました。他の年数の金利も引き下げています。
りそな銀行も、固定特約期間が2年、3年、5年、7年、10年の店頭表示金利について、それぞれ現行から0.15%引き下げました。他のメガバンクも追随し、変動金利は、3メガバンクで新規顧客向けが年0.625%と過去最低となりました。
他には、横浜銀行が、18日から固定金利型商品の期間3~10年のものについて、現行の水準からそれぞれ0.1%引き下げを、ソニー銀も3月から適用する10年固定金利を0.1%下げて0.915%に、変動金利を0.02%下げ、同行最低の0.519%にすると発表しました。
住宅ローン活用の注意点
ただし、金利低下のメリットを生かそうと変動金利でローンを組むと、将来の金利上昇で返済負担が膨らむリスクも抱えます。変動金利は、「政策金利に従って変動する」金利です。
この低金利が未来永劫に続くとは限りません。足元では、さらなる金利引き下げ(マイナス金利のマイナス幅拡大)は十分考えられますが、そもそもこの政策は、冒頭にも書いたとおり、世の中の経済活動を活発にして脱デフレ、インフレ期待を呼び起こそうとして導入したもの。
効果のほどには疑問が投げかけられているものの、そちらに誘導したいという政府の方向性は決まっていますし、確固たるものがあります。
なんにしろ、デフレを脱却しなければ経済の成長はないのです。インフレが高まれば、沈静化のため政策金利は上がります。
低金利の今こそ、変動金利よりも今は利率が高いけれども、将来の金利をずっと今の低金利に固定しておける、固定金利で借りるメリットが大きくなっています。
低金利だからと変動金利に飛びつくのではなく、日頃からしっかりと様々な見方を検討するようにしたいものです。

今後普通預金金利のマイナスはあるのか

金融庁によると、貸出金利や預金金利のマイナスを禁じる法規定はないそうで、「法的には可能」です。
ただ、現時点で国内銀行は「預金金利をマイナスにすると顧客離れを招きかねない」と否定的。さらに、銀行のシステムは金利がマイナスになることを想定しておらず、対応するにはシステムの全面刷新が必要です。
たとえば地方銀行1行当たり50億~100億円の費用がかかると言われています。金融庁は預金金利をマイナスにする可能性があるか銀行の意向を水面下で探っていると言われており、導入するとなれば、それなりの準備が必要とみられ、私たちの預金金利が、突然明日からマイナスに! となる可能性はかなり低いと考えてよいと思います。
一方で、逆の心配の方をする必要があります。つまり、普通預金に手数料が加算されるというもの。銀行の収益が圧迫されるので、その分どこかで収益源を確保しなければならないからです。
実際に、中央銀行がマイナス金利政策を採用する欧州では「口座維持手数料」の名目で、事実上の金利を取っている銀行があります。
日本でも、大手行で一部の大口顧客を対象に、口座維持手数料を導入する案が浮上しています。もっとも、新たに手数料を取るには規定の改定が必要で、規定の改定には、顧客に「手数料をとりますよ」という事前の周知徹底が必要なため、こちらも、いきなり預けているお金から金利を取られることはなさそうです。
いずれにしても、状況の注視が必要です。しっかり正しい情報を得て、しっかり咀嚼し、しっかり防衛しましょう。
注)各銀行の情報は2016年2月18日8時現在で確認できる情報です。全ての銀行の情報が網羅されているわけではありません。各銀行の金利情報はご自身で確認をお願いします。

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