仕事仲間で話をしていたら、話が盛り上がって、イベントをすることが決まった。
計画を立てて、楽しく進めていたけれど、いろいろ調整をすすめていくうちに
「このイベントの目的って、これでよかったのだろうか」
「なんだか最初考えていたものと違うかもしれない」
そう感じるようになった。
そんな経験をしたことはありませんか?
あなたが参加者の一人ならば、「都合が悪くなったので」などの理由をつけて離脱すればいいことかもしれません。
でもリーダーとして話をまとめる立場だったらどうでしょう。
会場も予約済み。チラシのデザインも決定している――この段階で企画を見直そうと言いだしたら、協力してくれた仲間との関係性が悪化するかもしれません。そうは言っても違和感を抱いたまま計画を進めてもいいのでしょうか。
進む方向を見直す必要性を感じた時、前に進むか、退くか。
それは、何を基準に決断すればいいのでしょう。
今回はそんな話をしてみたいと思います。
プロジェクトに違和感を覚えた時、
・自分の思いとは離れるけれど、計画通りすすめる
・仲間には迷惑をかけるけれど、方向を見直す
どちらの道を選ぶかは、ケースバイケースです。
どちらの道にもそれぞれメリットとデメリットがあります。
このときのポイントは、
「デメリットを考慮した上で、自分の価値観に沿った方向を選択する」です。
進もうとする方向にメリットが見えると、心がワクワクして、行動するエネルギーが湧いてきます。ですから、ワクワクを感じた方向にすぐに進みたくなるのですが、このような時にはメリットしか見えていないことが多いのです。
物事には必ずデメリットもあるので、メリットしか見ずに選択した場合は、デメリットが見えてきた時に落ち込んでしまい、前に進む力が削がれてしまうのです。
自身の価値観に沿った方向を選択していれば、デメリット、何らかのトラブルに出会ったとしても、そのむこう側に目指す価値観があるとわかっているので、トラブルを乗り越えることに幸せを感じます。デメリットからも受け取るものがあると、実感することができるのです。
メリットもデメリットもよく考えて、価値観に沿ったものにするためには変更が必要だと気づいたとしても、「今さら方向転換するのは、今まで協力してくれた人たちの努力を無駄にしてしまう。仲間に申し訳ないし、リーダーとしてもカッコ悪い」
そう思ってしまうのではないでしょうか。
仲間からの反発もあるかもしれません。
どうすればいいのでしょう?
ここでスティーブ・ジョブズのiPhone開発時の話を例に上げましょう。
iPhoneの開発者スティーブ・ジョブズが製品のデザインに強いこだわりを持っていた話は有名です。
キーボードがなく、シンプルなデザイン――角の丸い四角形――にすべての機能を集約した携帯電話の登場は、その後の世界を変えました。
特に彼がこだわったのがスクリーンです。
当時、携帯電話のスクリーンはプラスチック製でしたが、ジョブズは、iPhone用に強化ガラスのスクリーンを開発しました。ガラスの持つエレガントさが、新しい製品の中心となるスクリーンには必要だと考えたのです。
そして製品設計が進み、iPhone初代モデルが完成間近となった時、彼はチーム員を集めて、デザインの再検討を宣言しました。
その時のデザインはアルミケースの中にスクリーンがはめ込まれたもので、今のデザインのように枠いっぱいのスクリーンを細いステンレスの枠で支える形ではありませんでした。
デザインを変更すれば、基板やアンテナ、プロセッサーまですべての位置を変更し、設計し直さなければなりません。
ジョブズは「これから全員夜も週末も働かなきゃいけなくなった。希望者には我々を撃ち殺す銃を配布する」と言いました。ですが、誰も文句をいう人はいませんでした。
今までにない、世界を変える画期的な製品を世に送り出す。そのためにはデザインの再考がどうしても必要だというジョブズの思いが全員に伝わったのです。
デザイン変更によってiPhoneは爆発的な売れ行きとなり、「スマートフォン」という概念を世の中に根付かせました。
この変更がうまくいったのは、ジョブズの価値観がチーム員に浸透していて、そして、その価値観を達成するにはこの変更が必要だということを、彼がきちんと説明したからです。
このように、組織のトップに立つ人は価値観を明確にして、それをメンバーと共有しておく必要があります。
会社の場合は経営方針として明文化する場合が多いと思いますが、外部からの借り物ではなく、リーダーの本当の価値観を明文化することが大切です。
価値観をきちんと言葉に、文章にしておくと、メンバーに伝わりやすくなります。
メンバーが価値観を共有していて、変更が価値観に沿ったものだと理解できれば、シビアな変更でもメンバーは納得してくれるでしょう。
ですが、価値観が不明確である場合、リーダーが思いつきで方針変更していると思われた場合は、メンバーは振り回されていると感じます。
思いつきの朝令暮改を繰り返していると、現場で働いている人たちとリーダーの心の溝は深まってしまいます。
誰も未来を完全に予測することはできないので、リーダー、特に経営者には世の中の変化を素早く読み取り、躊躇なく必要な変更を決断する能力が必要です。どんなにメンバーの反発が予想されても、リーダーには全員を安全な場所に導く責任があるからです。
メンバーに変更の必要性を合理的に説明する――変更が価値観に沿ったものであることを理解してもらう――ことができたならば、その後の各人の動きがスムーズになります。そして、方針変更によるトラブルを一致団結して乗り越えることで、メンバーとの信頼関係はさらに深まるのです。
参考資料「スティーブ・ジョブズII」(講談社)
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