こんにちは。ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の井上翔太です。
「ゆとり世代」という言葉が定着して久しいですが、そんな彼らも社会人になって働き始めています。しかし、中間管理職をはじめとする先輩社員から見ると彼らの言動は違和感を感じることが多く、その接し方に悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
そこで、今日は会社における「ゆとり世代」との接し方のポイントを私の実体験を参考例にお話ししたいと思います。
「ゆとり世代」とは一般的に1987年4月2日~2004年4月1日生まれで現在12~29歳ぐらいまでの人を指します。
この世代は2002年度から2003年度にかけて改訂された小・中・高等学校の学習指導要領が適用された世代です。指導要領の改訂が、現在の彼らの言動にどれほど強く影響を与えているかの因果関係は定かではないですが、そんな彼らが社会人として働く中では、以下のグラフの様な評価を周りの人から受けているようです。
出所:HR総合調査研究所
私は40歳目前の中間管理職で、多くのゆとり世代の社員と毎日接していますが、このグラフは本当に共感するところばかりです。。。
こんな彼らの仕事ぶりを見て「だからそうじゃなくってさ、、、」「〇〇って指示しなかった?」「何で▲▲しちゃったの?」と、こちらの意図が伝わっていなくて、やきもきした経験は無いでしょうか?
私も以前はそのような愚痴をこぼすと共にそれがストレスとなっていましたが、以下の図のような考え方を知ってからは一切それが無くなりました。
これは、あなたの思考がどのように相手に伝わるかを示したものです。「仕事の段取り」が最終的には「会議室の予約」に変化して伝わってしまっています。何故でしょうか?
まず、あなたが発した内容(≒言語)も正しくあなたの思考を純粋に表現しているとは限りません。他者が④の言葉を聞いても、仕事の段取りの勉強まで期待しているとは読み取れませんよね。
それは本来の意図に対して、あなたのこれまでの経験や周辺環境によって生まれた自分なりの定義を付加したり(②)、部長だから少々威圧的な表現をしなければならない、などという一般的慣習から表現を変えたりすること(③)をしているからです。そうなると、客観的に見ると少し異なる意味を持つ表現として出力されます(④)。
また受け取った側も、実は全部聞いているわけではなく、自分の気になるところであったり強調されている部分だけを拾って聞いています(⑤)。加えて、あなたと同じように、その情報に対してこれまで自身の経験によって生まれた思考・観念で自分なりに解釈しています(⑥)。
思考が相手に伝わるにはこのような多彩なプロセスを踏むことになるので、あなたの思考(仕事の段取りを学んでほしい)がそのまま伝わるのはほぼあり得なくて、程度の違いはあるにせよ変化した状態で伝わる方がむしろ自然という捉え方をした方が、実際に起きている事実に近いのではないか、と私は思っています。
では、ゆとり世代の社員に出来るだけ変化が少ない状態で、こちらの意思を伝えるためにはどうしたら良いのでしょうか?
ゆとり世代との接し方における最も重要なポイントは⑥の「相手の育った環境・観念・辞書(考え方)」です。これを確認してからコミュニケーションをとること、これが双方においてベストな結果に繋がると思っています。
その理由は、ゆとり世代はこの部分がそれより前の世代とても大きく異なるためです。
異なる原因となったのは、上記の学校教育方針転換やインターネット普及といった社会環境の変化などいくつか挙げられますが、これまで“ジェネレーションギャップ”という言葉で表現されていた世代間の違いと、質が異なっていることは明らかです。日々彼らと接していてそう感じます。
ちなみに、相手の観念・辞書(考え方)を確認してコミュニケーションを取るというのは、決して相手に迎合するということではありません。ビジネスで結果を出すための歴としたコミュニケーションスキルです。それは、こちらの伝えたい内容から話すのではなく、質問によってそれを引き出し確かめていくというプロセスから始めることを指しています。
これまでの世代と大きくことなる環境で育ったゆとり世代の社員と、上手にコミュニケーションを取る方法は、
・人とのコミュニケーションは上図のようなプロセスを踏んでいること
・ゆとり世代とは「育った環境・観念・辞書(考え方)」が大きく違うこと
それらを踏まえたうえで、相手の観念・辞書(考え方)を確認してから自分の考えを伝えていくことが重要になります。
今までは「何でわからないんだバカヤロー!」で済んでいた上司→部下のコミュニケーションを、このように変えなければならないと思うと、中間管理職としてはツライところですが、逆に言うとこれができる人が今後の時代をリードする人材になると思っています。
他にもゆとり世代vs中間管理職vol.2として、以下の事例も取り上げています。こちらもあわせてご覧になってくださいね。
http://missionmikke.com/detail/ino014/