・仕事でミスをして上司にものすごく怒られた。
・会議のために、徹夜で資料を作って一生懸命プレゼンしたのに、自分の意見が採用されなかった。
思ったように物事が進まない。そんなとき、ああ、やっぱり自分はダメな人間だ、能力がないんだ—。そんなふうに落ち込んでしまうのではないでしょうか。
落ち込んだ気持ちのままでいつまでもクヨクヨしていると、その間パフォーマンスが下がって能力を発揮することができません。それでまた失敗してまた落ち込む—。これは負のスパイラルです。
望んでいた結果が得られないとき、すぐに立ち直って前を向く。そのためにはどうすればいいか。今回はその方法をお伝えします。
目次
仕事にミスがあった、意見が採用されなかった。これは事実ですが、「落ち込んでいる」状態は、あなたの認知と感情によるものです。
まず「どうして落ち込んでいるのか。」その原因を考えてみましょう。
・ミスのない報告書を仕上げることができるはずだった。
・皆が感嘆するプレゼンをして、自分の意見が採用されるはずだった。
これらは「物事を完璧にこなす理想の自分」と現実の自分を比較して、そのギャップに打ちのめされています。また、物事がうまくいかないときは、隣の芝生が青く見えるものです。
・Aさんはいつも完璧でミスがひとつもない報告書を作ると褒められている。
・Bさんの説明はロジカルで、質問にもすぐに対応できるから、皆Bさんの意見に賛同する。
自分が失敗したときには、それを上手にこなすことのできる誰かと自分を比べて自己卑下していることが多いのです。
「自分もAさんのようになりたい、Bさんには負けたくない。それなのにどうして自分は……」。この考えが落ち込みの原因です。
ですから、落ち込んだときに立ち直るためには、「××みたいではない、〇〇から程遠いという『比較』の世界」から抜け出せばいいのです。
私達は生まれた時には「絶対の世界」に生きています。
隣の赤ちゃん、大きくてうらやましい。自分はそれに比べて小さいからしょんぼりとか、隣の赤ちゃんみたいに大きくなりたいからミルクをたくさん飲もうなどとは考えません。お腹が空いた、眠いなど、自分自身の欲求に正直に動いています。
ですが、成長するにつれて、私達は他者と比較する人生を歩み始めます。頭の中にあこがれの他者や理想の自分を思い浮かべ、自分もそうなりたいと思います。
これは一見、向上心があっていいことのように思えますが、他者と比較する世界では、自分の負けは最初から決まっています。もし比較している誰かに勝つことがあったとしても、人間はすぐに次の比較対象を探し出します。他者と比較し続ける限り、いつまでも自己卑下の感情から抜け出すことはできないのです。
人間は決して自分以外の他者になることはできません。
比較の世界から脱して、もう一度生まれた時の「絶対の世界」に戻る。そして本来の自分の力に気づくことで、落ち込みから立ち直ることができるのです。
それでは「比較の世界」から「絶対の世界」に戻るための方法、4つのステップをお伝えします。
まず、自分が比較している理想の人の名前を書き出します。
「あの人にはいつもかなわない。あの人みたいにできればいいな」と思う人です。落ち込むことが多い人は、自分を常にその理想の人と比べていることが多いのです。
次に、その理想としている人のどこがすごいのかを書き出します。どのような能力がすごいのか、どんな行動をすごいと感じたのかなど、崇めている理由を具体的に書いてみます。
すると、自分が何を素晴らしいと思っているのか、どんな行動ができるようになりたいのかがわかります。そしてそれと比較している自分の現状が見えてきます。何かを改善する時には、自分自身のことをしっかり把握することが大切です。
そして書き出した理想や誰かと比較をしている「自分自身」を見つめます。
尊敬している人ではなく、あなた自身にどのような強み、得意分野があるのかにフォーカスします。そうすると、その人にはない「自分が輝く方法」が見つかります。
例えば、会議の場でいつも冷静にロジカルに相手を納得させている先輩を尊敬しているとします。あなたにはそれはできないけれど、あなたは人を笑わせることが得意だったとします。
そんな能力、飲み会では強みを発揮できるかもしれないけれど、会議では使えないと思っているかもしれません。ですが、意見が対立して険悪な空気が漂っている時、ちょっとした一言で誰かをクスッと笑わせることができたらどうでしょう。
その場の空気が変わります。頭に血が上って感情的になっていたことに参加者が気づいて議論の突破口が開けるかもしれません。それならば、この能力には会議を動かす力があり、仕事を進める上でのあなたの強みになるはずです。
先輩のように理論で会議を前に進めることはできなくても、あなたには出席者の気持ちをほぐして、会議を前に進める力があるのです。
私達はそれぞれ一人一人が異なる強みを持っています。ですから、他の誰かになろう、同じようにしようとせずに、自分の持ち味は何か、自分の持ち味をどうやって発揮するかを考えれば、誰かになろうとしていたときよりも遥かに良い結果を出すことができます。
次に、常に自分の強みを発揮できるような方法、仕組みを作ることについて考えます。
例えば、会議で意見をまとめたいけれど、自分にはその場で相手をロジカルに説得する能力はない場合を考えます。そのような時は、会議の前に、出席者がどのような意見を持っているのか、あらかじめ調べておく。そして意見をまとめる上での問題点は何か、それを解決するためにはどんな提案をすればいいか、会議のキーパーソンの意見を聞いておく。
いつも飲み会で笑いをとり、人から好感を持たれているあなたならば、会議の前にはそのような根回しができるのではないでしょうか。その方法を使えば、会議の席でロジカルに人を説得する力がなくても、会議をまとめて自分の意見を反映させることができます。
あるいは、書類のミスが多くて落ち込んでいるという場合を考えます。次にミスしないように気をつけます、という人が多いのですが、ミスをしやすいのはその人の特性です。ですから、その人は頑張ってもミスをするのです。
まずは自分がミスを多発する人間だということを認識します。報告書を書き上げた後、見直しをしても、その時にミスが発見できない特性なのです。
そんな人でもきちんとした書類を作るためにはどうしたらいいか。その仕組みを考えてみます。
例えば、完成した後もう一度見直ししてもミスが発見できない。それならば、書類はいつも締め切りの前日に仕上げ、一晩寝かせてフレッシュな目で再度確認するようにします。あるいは上司に提出する前に、一度同僚など他の人に確認してもらうのも良いでしょう。
これをするためには、自分が「ミスをしやすい」と認めることが必要です。認めることが難しければ、その事実を受け入れるだけでも良いです。受け入れることができないと、改善策は思いつきません。必ず「次はミスしないようにしよう」と意志の宣言だけに留まります。そして、その宣言通りにいくことはなく、どんどんと落ち込んでいってしまいます。
では、なぜ、受け入れられないのでしょうか。それは、受け入れてしまうとそれが事実として確定してしまう気がするからです。そんな自分は認めたくない、確定させたくないので「次はやれる」と思おうとするのです。確定の先延ばしです。
では、なぜ、確定させたくないのでしょうか。それは、実はただの「特性」を「短所」とみなしているためです。どんな特性にも、メリットデメリットがあります。ミスをする一方で、仕事は早かったり、人のミスに寛容だったりするのではないでしょうか。木を見ず森を見ていることで、大局の流れを掴めたりしているのではないでしょうか。
木を見ず森を見ている特性がミスをするという形で表れる場合、それが実質的に周りに迷惑をかけたり不利益をもたらすので、不利益サイドだけ見えていると、その特性は短所という認知になるのです。短所、長所という見方ではなく、どちらも色のない「特性」だと認知することができれば、それが確定しても何の問題もありません。それは私の特性です、と認めることができます。少なくとも、自分がその特性を持っているという事実を受け入れることができます。
受け入れることができたら、「次もそうなる自分」を想定して、施策が打てますね。そうやって、自分を知り、そのような特性の自分が、目の前のこの物事をうまく進めていくにはどうするか?を考えるようにすると「何回宣言してもまたミスをしてしまう」自分に打ちのめされることがなくなります。
生まれつき、手がない方が足で器用にご飯を食べたりするところを動画などで見たことがあると思います。手がないことを認めることで、足を使おうとの考えが浮かび、足が発達していきます。自分はミスをする、それをそのまま良い悪いのジャッジをせず、自分を叩かず、ただ認めることで、じゃあそんな自分がうまくやるにはどうしたら良いか、と考えることができ、施策が思い浮かび、結果としてミスを回避することができることになります。
そしてさらに、中庸思考のワークでもお伝えしていますが、仕事で結果を出せなかったこと、あるいはミスをしたことで、実はあなたが受け取っているメリットがあります。このメリットを探してみてください。
例えば、交渉がうまくいかなかったとしても、交渉がうまくいかなかったことで、次の案件に集中することができ、結果として次の案件の方が規模が大きくなり、会社の売上に貢献した、などです。
ミスをして、上司にものすごく怒られた時には、周りの人が心配して声をかけてくれたかもしれません。それまで一人で仕事をしているつもりだったけれども、実は皆が自分のことを気にかけてくれていた、職場の人たちに応援されていたことに気づいた。それは今後仕事をしていく上で、大きな力になります。これを支援と呼ばずして、なんと呼ぶことができるでしょうか。
このように、落ち込みの元になった事象から、私達は必ず恩恵を受け取っています。その恩恵に気づいていないから、マイナス面だけがクローズアップされて落ち込むのですが、恩恵サイドに気づくことができれば、ありがたいなーと感謝の気持ちが自然に湧いてきます。すると、落ち込みをもたらした事象に対しても、あれが起こってくれて良かったなと感謝の気持ちが湧いてきます。このとき、もうあなたは立ち直っています。
まとめると、落ち込みから抜け出す方法は、次の通りになります。
1.自分は誰のどんなところと比較して落ち込んでいるのかを考える。
2.比較していた人とは異なる、自分独自の特性にフォーカスする。
3.自分の特性を色を付けずに認め受け入れ、その上で打てる施策を考える。
4.落ち込みの原因となった事象から受け取っている恩恵について考える。
この手法は、人間行動学の権威、Dr.ディマティーニによって考案された、ディマティーニ・メソッドに基づいています。人には誰にでもその人だけが持つ強み、才能があります。落ち込んでいる時には、それらは発揮されません。また、自分の短所と思い込んでいる特性に心が奪われていても、それらは発揮されません。
相対の世界、これは短所、これは長所というジャッジの世界から抜け出し、絶対的な存在として自分を見つめ、特性を把握し、その特性ー裏を返せばそれは全てあなた独自の強みですーを仕事で存分に発揮するためにはどうしたら良いか?を考えてみてください。上記4つの質問をご自分にしていただいて、落ち込みのない人生に転換していっていただければと思います。
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