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2018
11月07日

米中間選挙「ねじれ議会」の影響

米中間選挙「ねじれ議会」の影響

2018年11月7日(水)

こんにちは。
(株)ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、所長の高衣紗彩です。

今日は、米国で中間選挙がありました。
上院はトランプ大統領率いる共和党、下院は野党の民主党が制覇しました。
このため、「ねじれ」と言われる状況になったことになります。
この影響は、大きく分けて3つあります。

一つは、大統領が仕事をしにくくなること。
議会には、予算編成や法律制定の権限があるため、両方が共和党ならトランプ大統領はやりたいことをスムーズに進められますが、下院が野党になってしまうと、追加減税など政策の議会通過や予算審議が難しくなり、大統領にとってハードルが一つ上がります。
これは、米国経済(の成長)にとってはマイナスとなります。

二つめは、財政規律という観点から見ると、民主党が財政悪化を避けるため、財政政策を通さなかったり、減税規模の縮小を求める可能性があること。トランプ大統領の経済政策が骨抜きにされる可能性があります。
これは、景気に対する即効性という意味ではネガティブ(そしてそれは株式市場にとってもネガティブ)ですが、長い目でみたら、国の借金が膨らむことを防ぐということなので、ポジティブとなります。
ただし、インフラ投資に関しては、民主党も前向きなので、インフラ投資政策に対しては、滞りなく進みそうです。

三つめは、民主党がカバノー連邦最高裁判事の弾劾やトランプ大統領の弾劾に注力する可能性があること。そうなった場合、株式市場にとってはネガティブとなり、ボラティリティが高まる相場展開が予想されます。

これらのことから、総体的に、市場は今後の成長に対して「弱気」に反応しました。すなわち、株安(リスク資産の株式は売られるから)、金利低下(リスクフリー資産、別名安全資産の債券が買われるから)、ドル安です。
ですが、これは予想されていたメインシナリオであったため、サプライズはなく(市場はサプライズが大きいほど反応するのでしたね)、反応は小幅となりました。

目次

 

さて、ここから市場はどうなっていくでしょうか。懸案事項だった大統領選をメインシナリオで通過したことで、不透明要因の一つ、足枷の一つがなくなりました。
2日に発表された雇用統計では、失業率が3.7% と低水準をキープ、長らく2%台真ん中あたりで上昇しなかった実質賃金も、3.1%上昇と、上昇の兆しが見えてきました。

実質賃金が上がると、インフレ率が上がります。インフレ率が上がる見込みがあれば、FRBは躊躇なく利上げを敢行することができます。なので、12月の利上げはほぼ確実視されています。

利上げ確率の市場のコンセンサス予想(アナリストやエコノミストの予想の平均)は、80%です。
これで、今年は3ヶ月に25bps(0.25%  のこと)ずつ利上げをするペースが維持されました。そして、それは2019年も続くと見られています。

そして、それは市場に織り込まれているため、足元ではサプライズの可能性がない(懸念がない)見通しのよい相場展開が予想されます。
そのような相場環境のときには、市場の焦点はマクロ要因ではなく、企業業績にあたります。そして、企業業績は、日米ともに良好です。
となると、目下の主たる懸念材料は、貿易戦争の行方。こちらも先日トランプ大統領が中国に対して合意への草案作成を指示したとして、世界経済そして市場にとってポジティブな方向に向かっています。

つまり、市場を覆っていた二大懸念が後退したことになり、益々、業績の良い(今後良くなると見込まれる)企業が素直に買われていく、という展開が見込まれます。

実際、日経平均は先週 1 週間で5%上昇しましたが、2018年4ー9月期の決算発表があるなか、上昇をけん引したのは、通期業績予想の上方修正があった銘柄です。

 

そして、なかには、業績予想を上方修正できる企業も、先行き不透明感から見通しを据え置いている企業が多く見られます。
ということは、今後、実績が明らかになった際にポジティブ・サプライズになる可能性が高い状況である、ということができます。

ただし、トランプ大統領が今後中国や日本に対する貿易政策を再び強固なものに転換する可能性など、今は沈静化されている要因は引き続き警戒する必要があります。

こうした、数値として見えていない水面下の底の方の動きも見ていくようにすると、相場見通しが立てやすくなります。
なにより、経済状況をもモニタリングするのが、楽しくなります。
ぜひ、そんな視点からも、日々のニュースを見てみてくださいね。

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