投資は「いかに効率的にリターンを得るのかが成功のカギだ」と、思っている方は多いと思います。
投資に興味を持っている人の多くは将来の資産を築くことを目的としています。
そんな長期投資において、成功するために必要な要素はいかにリターンを取るかではなく、いかにリスクを抑えて自分のリスク許容度内で運用をするかです。
リスク=マイナス面だけに着目するなんてネガティブな印象を持つかもしれません。
ですが、5%のマイナスを出した場合、それをカバーする(元に戻す)には、5%のプラスでは不足します。5%以上のプラスが必要になるのです。
資産運用で資金を一時的にではなく継続的に増やしていきたいと思ったら、いかにプラスを取るのかではなく、いかにマイナスを抑えるのかという下方リスクに着目する方が重要で、そのマイナス幅を管理するためにもリスク許容度がとても重要になります。
特に、投資を始めたばかりの初期には、マイナス幅をいかに抑えるか、は非常に重要です。
目次
リスク許容度とは、自分が耐えられるだけのリスクのことを指します。
感覚的な話ではなく、運用におけるリスクは数値化でき客観的に測ることができものであり、管理もできます。
運用におけるリスクの定義とは、過去のリターンの平均からの、月々のリターンのばらつきを平均したものです。
統計学に明るい方は、1標準偏差と言った方がわかりやすいかもしれません。
このばらつき(=リスク)をどこまで(何%まで)許容できるのか、その度合いを表したものをリスク許容度と言います。
リスク許容度内で運用する重要性は、リスクとリターンの関係から来ています。
過去のリターンの平均からのばらつき=ブレ幅が大きな運用(リスクが大きい)は、上にブレた場合は大きなリターン「収益」を期待できますが、上にブレるのと同じ確率で下にブレる可能性もあり、その際の損失は大きくなります。
一方、ブレ幅が小さい(リスクが小さい)運用は、期待リターンからの上下のばらつきが小さいため、大きな損失となる可能性も低いですが、その分期待できるリターンも小さくなります。
高いリターンを得ようとすると、リスクも高まります。
その意味で、リスクとはリターンの源泉と言えます。
高いリスクを取ることなく、高いリターンを得られることはないのです。
リスク許容度が小さい=ブレ幅の耐性が小さい人が高いリターンを求める危険性はここにあります。
高いリターンを求める投資はリスクも高いため、自分のリスク許容度を超えた投資になります。
リスク許容度を超えて投資をしている多くの人は、精神的に不安になったり、合理的な判断ができず投資に失敗しています。
一方、リスク許容度が高い人の場合は、許容できるブレの幅が大きいため、一時的な大きな損失が出ても合理的な判断ができ、最終的に大きなリターンを得られるのです。
リスク許容度は、自分の投資ステージによって変わります。
というのも、投資ステージによって、リスク許容度を計算するときの要素がそれぞれ異なるからです。その要素は以下の通りです。
運用額が大きいほどリスク許容度は大きくなり、運用額が小さいほどリスク許容度は小さくなります。
運用経験が乏しい人や、短期で投資を捉えている人の多くは、下降相場時に自分の資産が目減りすることや、 保有している銘柄が買値より大幅に下落して評価損に陥ることに恐怖を感じ、運用を辞めてしまっています。
一方、運用経験が長い人は、上昇相場も下降相場も両方を経験します。
下降相場で一時的に資産が目減りしても、時間が経つと運用成績が上昇に転じることを何度も経験することで、一時的な下落への耐性が付きます。
下降相場の体験を繰り返すことで、より大きな下落に対する耐性が自然と身に付きます。これが、リスク許容度を大きくすることに寄与しています。
金融知識が増えると、何がどう動いているのか現状把握ができ、将来の予測も立てられるようになります。
特に長期シナリオを立てられるようになると、今後起こり得る大きな上昇も下降も、予想内に収められるようになります。
人が不安に駆られるのは、予想外の下落に陥った時です。それが、下落幅も予想内に収めておくと不安に駆られることがなくなり、常に安心して投資することができます。
よく若いうちは損失が出たとしても取り返しがつくのでリスクが高い投資をしても大丈夫だが、定年後など高齢になると損失を取り返しにくいのでリスクを抑える投資が良い、と言われますがそれは誤りです。
リスク許容度を決めるのに大切なのは、実年齢ではなく上記3つの要素です。
投資歴20年の60歳と、投資歴0年の60歳とではリスク許容度は当然異なるので、取れるリスク=運用する商品も異なります。
年齢とリスク許容度は、切り離して考えましょう。
運用経験を積み、投資の勉強をして金融知識を身に付けることで、自然とリスク許容度は高くなります。
投資を始めたばかりの多くの方は、リスク許容度を決める全ての要素がまだ小さい(ブレ幅への耐性が小さかったり、金融知識・運用経験が乏しい)ため、リスク許容度は小さいことがほとんどです。
そのためリスクを低く抑えようとしてリターンも低くなりますが、資産運用を続けることでリスク許容度を決める要素が成長し、自然とリターンからのブレ幅の耐性がつくため、リスク許容度が大きくなります。
自分のリスク許容度が大きくなったと実感できたら、それに合わせて運用しているポートフォリオのリスクを徐々に上げることができ、期待リターンも高められます。
よりリスクが高い商品を組み入れることでポートフォリオのリスクが高まり、それと同時に、期待できるリターンも高めることができます。
リスク許容度内に収める投資をするからと言って、得られるリターンを低く抑え続ける投資をする訳ではありません。
自分の投資ステージとリスク許容度の成長に合わせて、得られるリターンも徐々に高めることができるのです。
ただし、リスクを高めれば、必ずリターンが高まるわけではないので、その点には注意が必要です。
リスクとは、数値で表されるものであるのと同様に、リスク許容度とは、どこまでのリスク(主に下げ幅)に耐えられるかという感覚だけで決まるものではなく、様々な要素から数値化できるものです。
また、運用経験を積んだり、金融知識を深めることなどによって、自分で高めることができます。
やみくみにリターンだけを求める投資は、ほとんどの場合、自分のリスク許容度を超えた投資になってしまい、その想定外の変動幅に耐えられず不安に駆られ、投資に失敗する方がほとんどです。
成功する投資とは、その逆を行くもので、自分のリスク許容度内にリスクをおさえ、そのリスクの中で得られる最大限のリターンを得るにはどうしたら良いか、と考えることで、可能になります。
投資をし続けると、リスク許容度は高まっていきます。
最初から焦って高いリスク(高い期待リターン)を求めずとも、自分の投資ステージを上げることで許容できるリスクも高めることができる、つまり、得られるリターンも大きくなります。
常に自分のリスク許容度内で投資をすることが、一番安心しながら、賢くリターンを得ていくためのコツであり、ポイントです。
目先のリターンを追求していては、これは、できません。より賢く、より長く増やし続ける投資へ。そのためにも自分のリスク許容度がどの程度なのか、知ることが大切です。
ONは仕事、OFFは投資 ダブルで一生稼げる私になる 人生マネジメント塾主宰、人生デザインアカデミー協会認定講師。輸出入代行・海外展開コンサル事業コマビズ代表。
「今まで培ってきて知識を活かし、人々の経済的自立を支援する」というミッションのもと、東京と大阪の2都市を中心に活動している。
趣味はマラソンと登山。お酒も好きで大衆酒場からバーまで、どこでも馴染める。