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2023
06月12日

心理的安全性の高い組織をつくるための方法は?

心理的安全性の高い組織をつくるための方法は?

寝坊した!目覚まし時計を止めて二度寝しちゃった!
ああ、今から用意しても会社の始業には間に合わない……。

そんなときには遅刻の理由を連絡しますよね。
あなたなら何と言って電話しますか?

「二度寝しちゃいました。昨日友人と夜遅くまで飲んでいたので」
そんなふうに、本当のことが言えるでしょうか。

「渋滞で車が遅れてしまいました」
「朝から腹痛がひどくて」
などと、嘘をついてしまうことはないでしょうか。

「大した嘘じゃないし、寝坊したっていうのはカッコ悪いから……」

その気持ち、よくわかります。

ですが、これは「うっかり寝坊することもある」本当の自分の姿を隠して、毎日朝きちんと起きることができる人のふりをすることです。それは、心の中に、本当の自分の姿は受け入れてもらえないかもしれないという不安があるからではないでしょうか。

その不安や、自分を隠そうとする努力——実は、これが、あなたの職場での活躍を妨げています。

自分が持つ力を存分に発揮して活躍するためには、寝坊する自分を認めて、それを会社でさらけだす必要があるのです。

長所と短所は表裏一体

日本社会は時間に厳格なので、1分であっても理由なく遅刻する人の評価は下がります。
ですが、世界では10分、20分の遅れは正確の範囲、2時間程度ならば問題視されない国もあるのです。

日本では「時間を正確に守る」は長所ですが、国が変われば「不必要な神経質さ」として疎んじられるかもしれません。「時間を守る/時間に無頓着」などの個人の特性が長所になるか、欠点になるかはその社会の文化次第です。

私たちは自分の暮らす社会の常識にあわせて、個人の「特性」に長所のレッテルを貼ったり、短所のレッテルを貼ったりしているのです。

「でも、日本では、時間を守る人の方がイメージいいから、それに合わせなきゃ」

そう考えて「時間に正確な人」の仮面を被ろうとしても、人の特性は隠せないものです。

無理に隠そうとしていても、友人との待ち合わせ、会議などにしばしば遅れる。

その度に「時間を守れないダメな人間じゃないんだけれど、今回は××があったから」などと言い訳を考える。

何度も遅刻を繰り返す自分に自信を無くし、見え透いた嘘をつくことで周囲からの信用も失っていると感じる。

自己肯定感が下がることで他の能力も発揮できなくなる……。

そんな負のスパイラルに陥ってしまいます。

長所と短所は表裏一体です。

「時間に無頓着」という特性を矯正すると、その裏側にある長所——明日の朝起きられないと思っても、深夜まで友人の話を親身になって聞きつづける優しさ、時間がないとわかっていても興味が湧いたことには首をつっこむ好奇心の旺盛さなど——は失われてしまいます。

個人の特性に、長所と短所があるわけではなく、それを捉える人によって長所と捉えられたり短所と捉えられたりしているだけに過ぎません。なので、短所を矯正しようとすると、長所も潰れてしまいます。自身の特性に短所のレッテルを貼って隠すのではなく、自分の特性として丸ごと受け入れる。これが、あなたが本来の力を発揮するための第一歩です。

チームが最大限の力を発揮するためには、心理的安全性が必要

今までは、自身の特性にかかわらず社会や組織の価値観に沿える人が評価され、そんな人が揃った組織が成果をあげる時代でした。

ですが、変化の激しいこれからの時代に成果をあげられるのは、メンバーそれぞれが自分の特性を存分に発揮し、その力を結集することができる集団です。

そのために、まずは、リーダーが短所を含んだ自分の特性を気兼ねなく発揮できるような場所——心理的安全性が確保された場所を作りだす必要があります。

メンバーの一人がイベント開始時刻になっても来ない。
寝坊して30分遅れるとの連絡が入った。
「そういうことは誰にでもあるね」と事実を受け入れて、その間イベントをうまく進めるにはどうしたらいいかを全員で考える。
××さんが寝坊したから尻拭いしなきゃいけないという発想を語る隙を作らない。
遅れてきた人はカバーしてくれたメンバーに「ありがとうございます」と感謝して、みんなでイベントが盛り上がったことを喜ぶ。
そして帰りには目覚まし時計をもう一個買いに行くことにする。

そんな場所ならば、安心して自分の欠点をさらけ出し、長所を発揮することができるでしょう。

安心安全の場を作るための第一歩はリーダーが踏み出す

メンバーが安心して短所もさらけだせるような場を、どうすれば作ることができるのでしょうか。

そのためには、まず場を作ろうとする人、つまりチームのリーダーが最初に自分の短所、弱いところをさらけ出すことです。

過去の失敗談を打ち明ける、自分が苦手なこと、困っていることを話す、眠くなった時には堂々と机に突っ伏して眠る、体調の悪い時には休む……。

「そんなことをしたらみんな自分のことをバカにするのでは? リーダーが尊敬されないとチームはまとまらないんじゃないか」

リーダーが弱点をさらけ出すと、メンバーの心が離れてしまうのではないか——これは行動のマイナス面だけに注目することで生まれる幻想です。

人の特性は長所でもあり短所でもあるように、人の行動にも、常にプラス面とマイナス面の両面が同時に存在しています。

長所だけを表に出すと、リーダーは尊敬されます。反面、そんな素晴らしいリーダーの前ではメンバーは身構えてしまいます。リーダーが遠い存在に感じられ、心を開いて自分の弱点(と思っている特性)をさらす気にはならないでしょう。

リーダーが弱点をさらけ出すと、リーダーは素晴らしい人だという、これまで抱いていた幻想が消えて、メンバーはがっかりするかもしれません。ですが「この人も自分と同じように欠点があるのだ」と気づくと緊張が緩み、そこに親近感が生まれます。リーダーとメンバーの心の距離は近づき、この人になら自分の欠点もさらけだしても大丈夫だと思うようになるのです。

リーダー自身が自分の弱点を受け入れてメンバーにさらけ出す。

メンバーも安心して自分の短所をさらけ出す。

短所の裏にある長所も見えてきて、メンバーそれぞれの特性が明らかになる。

メンバーの特性がよくわかるので、チームの中で各人のやることがはっきりする。

メンバー全員が躊躇なく行動を起こすことができる。

全員の行動がチームの成果となって表れる。

安心安全の場でそれぞれが自分の特性を存分に発揮することで、チームが思いもよらぬスピードで成果を上げる——ここに至るプロセスの第一歩が「リーダーが自分の弱点をさらけ出す」なのです。

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