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2017
06月22日

相続税 その対策でホントに大丈夫ですか?

相続税 その対策でホントに大丈夫ですか?

こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。
国税庁が発表したデータによると、平成18年~平成26年の相続税の納税が必要な申告割合は平均4.2%でした。ご存知の方も多いと思いますが、平成27年1月1日以降から相続税の法改正が適用されています。
法改正後の平成27年度には約2倍の8%まで申告割合は上昇しました。都市部などの土地の価格の高い地域では、その割合は10%を超えており、非常に大きな増税効果をもたらす改正となりました。他の税金と同じように、浅く広く徴税するように課税対象者を拡大したのです。
相続税がかかる人が2倍になり、一部の大金持ちだけが心配する税金だったものが、いわゆる普通の人も「自分の家庭でも相続税がかかるのではないか?」と心配するようになりました。私は当初その事がきっかけで、税金の情報を多くの人が真剣に集めるようなれば、良い事だとな思っていました。
しかし、実際には、少し違った状況になっている感があり、危機感を感じるようになりました。相続税の増税については、多くの雑誌やマスコミに取り上げられていますが、その情報は非常に断片的なため、多くの人の誤解を招き、必要以上に不安を煽られている事を実感しています。
断片的で不確実な情報に煽られ、過剰に反応した結果、明らかに不必要な対策に走る人もいます。そのような状況に我慢できなくなり、今回はこれだけは知っておいて欲しいという、相続についての知識をお伝えしようと思います。

相続税を必要以上に恐れるな!

法改正の最大の焦点は基礎控除の縮小です。基礎控除とは、相続財産から差し引いてくれる金額の事ですが、相続税がかかるか、かからないかのボーダーラインを示しています。
この基礎控除が4割も縮小される影響は確かに大きいと思います。
基礎控除の計算式
改正前:5,000万円+1,000万円×法定相続人数
改正後:3,000万円+600万円×法定相続人数
法定相続人が最少の一人とすると、これまでは6,000万円以上の相続財産がなければかからなかった相続税が、3,600万円以上からかかるようになります。これぐらいの遺産なら、ごく普通の家庭でも対象になってくるでしょう
「都心に家を持っていて退職金が入った人」は、全員対象になる覚悟をした方が良いなどと、雑誌には書かれています。
これに合わせて、相続税の最高税率が、55%に引き上げられた事が強調されています。
「相続税とは税金の中で一番高い率で課税されるもの。3代相続が繰り返されると、全部国に持っていかれる。老舗の経営者が、莫大な相続税を苦に自殺をした。」
などという話を聞いた事があるかもしれません。
過去には最高税率90%の時代もあり、バブル期の地価高騰などで、相続税をめぐる悲劇も確かに数多くありました。そうした記憶からか、3600万円以上の遺産があったら、その半分以上が相続税として取られてしまうという、感覚になってしまう方も多いのかも知れません。
しかし、今回の増税で新たに課税対象になるような人の場合では、相続税がかかっても大した額ではありません。遺産が3,600万円~5,000万円くらいの場合、実際には、相続税はかからない事も多く、かかったとしてもおよそ2~3%でしょう。
もし遺産総額が1億円だったとしても、相続人が子2人のみで、配偶者はいない前提だとすると、実行税率は7.7%で税額770万円です。億万長者と言われる人でも、消費税の8%よりも少ない実行税率だという事です。
相続税の計算は複雑なため、詳細は省きますが、このようになる理由は、超過累進税率である事と、様々な控除制度があることによります。
中でも「配偶者の税額軽減」は知っておくべき制度です。この制度は配偶者の遺産相続が「法定相続分」もしくは「1億6000万円」のどちらか大きい額まで相続税はかからないというものです。
配偶者の「法定相続分」とは、遺産の半分の事です。資産は夫婦で協力して築くものなので、「半分は配偶者のもので、無税だよ」という国のメッセージは好きだなと感じています。

一番多く目にする節税対策

「賃貸アパートを建てれば、相続税の節税対策になる」という記事は雑誌や新聞などで、本当によく目にします。現場でも一番多く相談される案件ですが、これが今回の記事を投稿するきっかけとなった理由です。
では、賃貸アパートのどこが相続税の節税になるのでしょうか? ポイントは大きく2つあります。
まず賃貸アパートを建てる土地に関しては、相続税の対象となる評価額が自宅などの土地よりも大幅に減額されるということです。さらに、建物も購入価格よりも低く評価されます。
もう一つはローンを組んでアパートなどを建てると、その借金は相続財産から差し引かれるという事です。
しかし、不動産経営に関する諸費用や金利、物件自体の資産価値の目減りを考えた場合、トータルコストが相続税の節税額以上にかかっているケースが実に多いのです。それを考慮せずに、多くの人が、不動産販売会社の提案を鵜呑みにして、大きな落とし穴にはまっています。
対策を何も取らずに、素直に税金を納めた方が、多くの遺産を残せたという事にもなってしまうのです。1億円の土地を買って、その上にアパートを建てると1,000万円程度の諸経費はすぐかかります。相続税対策を考える上で、最も重要なポイントは相続財産の評価額を減らすことです。本当に資産が減っては本末転倒です。
さらに本末転倒なのは、このような節税対策をする人は莫大な資産家というより、資産が1億円前後の人が多いのが特徴です。前述のように、かかる税金は1,000万円以下です。不動産の評価減により税金をゼロにできたとしても、不動産投資として経費を上回る利益を出すか、物件の市場価値が上昇しないと、全く意味がないという事です。
私は東京郊外の神奈川との県境に住んでいるのですが、家からほど近い場所に、かつて都心の有名大学がキャンパスを移転した時期がありました。周辺には学生向けのアパートやワンルームマンションがこぞって建ちました。
年金代わりにと、退職金をつぎ込むリタイヤ組みに、銀行も喜んで最大限融資していました。この時に『相続対策にも最適』などという広告も良く目にしたものです。しかし、せっかく都心の有名大学に通えると思って地方から出てきたのに、実家より田舎っぽい場所にあるキャンパスは不人気だったのか、今ではキャンパスは都心回帰しています。
その結果、入居者は激減し、現在の家賃は非常に安くなっています。地価も下がり、売るにも売れません。ローンの債務はまだ残っていて、相続対策どころか自己破産を心配しなくてはいけないくらいです。
バブルの頃と違い、不動産を活用した相続対策は、立地条件などを良く考え慎重に行う必要があります。不動産投資のノウハウは必須である事を覚えておいてください。

相続税は金額が大きいから、人は本質にいれなくなってしまうのか?

世の中に価値を提供した対価として築いたはずの財産を、人生を締めくくった後になって失う人もいます。何を血迷ったか、現金ならバレないだろうと床下に隠したりして、脱税という禁じ手に出てしまうのです。国税局のマルサが動いたら、簡単に摘発されてしまうのはドラマや映画ではなく本当です。
人生デザイン構築学校で学んだ資産形成戦略を実践している卒業生は次々と、相続税の基礎控除額を超える資産を確実に築いていきます。しかし、将来、相続税の対策で慌てたり、不安から無意味な行動をしてしまう人はいないでしょう。
カリキュラムで税金の事を学んだわけではありません。それは資産形成の目的を老後の不安を解消する為ではなく、最終ゴールを自分にとって正しい、最高の価値観に沿った「ビジョン」に設定しているからです。
そして投資を学ぶ講座では、行動経済学もカバーしています。相続税がかかる事を異常に嫌がる(怖れる)事と、投資でマイナスの値動きを嫌がる事は非常に似ていると思います。保有効果や現状維持バイアスによって、合理的ではない損失回避の判断をしてしまいます。
(保有効果とは所有しているものに高い価値を感じ、手放すことに抵抗を感じる心理効果)
(現状維持バイアスとは、変化や未知なるものを避け、現状を維持したくなる心理効果)
人間のこのような行動特性も知っておき、「相続税がかかるかも」という損失を被ることを恐れる心理状態につけ込んだ断片的な情報や、広告などのマーケティングに引っかからないようにくれぐれも気を付けて下さい。
どんな税金も受け取る以上に、払う事はありません。最初から損などないのです。

まとめ

・相続税はたくさんの控除があり、実行税率は思ったほど高くない。
・相続対策に不動産活用は、それほど効率の良いものではない可能性が高い。
・合理的ではない判断をしてしまう前に、何の為に資産を築くのか明確にする。
以上のことを押さえれば、おのずと自分がこの世を去る時に、どうしたいかの答えは出ます。その意志を尊重し、実行援助をしてくれる専門家に相談すれば良いのです。最後まで自分の最高の価値観に従い、愛と感謝に包まれる人生にしたいですね!

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