こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。
このブログを読んでいる皆さんの中にも、「もしチャンスがあれば独立起業してみたい」「自分のビジネスを立ち上げたい」と思い描いたり、既に具体的に準備を始めているという方もいらっしゃると思います。
私は現在、生命保険会社の営業所長をさせていただいていますが、チームの中には中小企業診断士や、会計事務所出身のファイナンシャルプランナーも所属しており、起業を計画している人や、独立開業したばかりの起業家の資金戦略をサポートしています。
独立を考えた時、「何で起業しようか?」「どんなビジネスモデルを構築しようか?」を最初に考えると思います。すると、ほぼ同時に「お金ってどれくらい必要なのだろうか?」と考え始めます。ここから実際に起業する人と、しない人に分かれるのですが、最終的には明確な根拠はなく、感情的な側面に左右されていると感じています。
商品やサービスに、とても自信や思い入れがあって、事業計画はそこそこ(本人は万全と思っている)でスタートを切って苦労するパターンと、いつまでたっても事業内容や資金計画が決まらず、成功イメージが持てない不安に苛まれ、行動を起こせないパターンです。
それは資産形成で投資をする人と、しない人に似ています。リターンだけを見て許容範囲以上のリスクをとってギャンブルになってしまう人と、投資はやってみたいが怖いものだから一歩踏み出せず、取れるリスクも取らない人です。
実は金融資産への投資と同じように、リスクをコントロールして、自分に合った手法でリターンを得ていく事は、ビジネスの世界でも可能です。起業するために必要な開業資金の作り方やその調達方法についての記事やセミナーはたくさんありますので、ここでは、他ではあまり語られていない、起業のための資金計画について、シンプルだけど重要なポイントをお伝えします。
どれくらいの売り上げがあれば成功で、いくら以下であれば失敗か、あなたは明確に答えられますか?
もちろん見込みとしては算出しているでしょう。事業計画書の作成にあたってトップライン(売上高)は最も精査するポイントです。しかし肌感覚でリアリティを持てるでしょうか?現実的な感覚を持てなければ、その売上予測は夢物語になっているかも知れません。
売上高=客単価×客数です。しかし新規で事業を立ち上げる場合には、客単価はおおよそ察しをつけたとしても、客数はかなり不確定な要素でしょう。ですからまず最低必要な売上高を明確に導き出しましょう。
なぜなら、売上がわかると必要な客数がわかるからです。客数=売上高÷客単価となり、必要な客数を獲得するための集客数を、成約率から逆算します。それが実現可能なビジネスモデルになっているかは、実績を出している集客の専門家や、マーケティングコンサルタントに、一度は相談する事をオススメします。
明確な答えを導き出すには、損益分岐点の額を算出する事が必要です。どれだけの売上を上げれば採算が取れるかを示すラインです。売上-費用=利益という考え方が当たり前ですが、これは結果論的な見方です。予定売上-目標利益=許容費用という考え方をすることが、事業を継続的に経営する上では重要です。
どこかで似たような考え方を聞いたことがありませんか? 家計の貯蓄計画を立てる際に、収入-支出=貯蓄ではなく、収入-貯蓄=支出にしなければいけないという話です。この考え方は、企業経営の管理手法を、家計改善に応用したものだったのです。
スタートアップ時に用意した開業資金の借り入れと、起業家が出した自己資金を、いつまでに回収するかという考え方は大事です。その期間は事業規模や種類により様々ですが、平均的な企業は5~7年を目途にしていると言われます。個人事業主であれば3年以内に回収したいところです。
目標利益を考える際には、会社員だった場合とのリスク差も加味します。平均モデルの会社員と個人事業主を同じ年収で比べた場合、社会保険や税金の負担増、将来の年金収入減少により3000万円以上、生涯の手取りは変わります。
もちろん、定年退職がない起業家の方が、長く働いて収入を得る事が出来ます。しかし病気や怪我などの不慮の事態に対する保障も、大幅に手薄になる事を考えると、その分手取り額がアップしていないと独立開業した方がマイナスと言えます。
費用=変動費+固定費です。費用については、シンプルにこの2つだけ理解しましょう。会計の原則は無視してお伝えしますが、変動費とは、売上を直接形成するためにかかる費用です。原価や販売管理費など、売上の増加に比例して発生するものです。
固定費はそれ以外全部です。直接売上には寄与しない、家賃や水道光熱費など、なにもしなくても発生する費用です。例えば同じ交通費という項目でも、オフィスに通勤するなら固定費ですが、お客様との商談に出かけるなら売上を生み出す変動費です。
なぜこの概念が必要なのかというと、利益を出す為に損益分岐点を下げるには、固定費を削減する事が第1優先だからです。適切な変動費を削減してしまうと、売上も下がりかねません。そして人件費という固定費は安易に下げられません。自分の収入を下げるという事ですから。
自分の収入を自分で決められることが、独立起業家の醍醐味です。これを案外ざっくりと決めてしまっている人がほとんどです。法人なりをしていない個人事業主では、余った金額を収入と考えている人も多いです。
本日の最大のポイントは、「自分の取り分は根拠を持ってしっかりと決める」という事です。経営者と言えども、家庭に帰れば普通の生活者です。自分自身や家族の生活があり、将来の夢や希望もあるでしょう。プライベートはどのように生きていくのかも、ビジネスと同じように大切に計画しましょう。
事業計画の人生版とも言える、家庭のライフプランニングを行い、生涯支出を算出します。そこから逆算すれば、プラン実現のために必要な収入額が導き出され、最低限の人件費が明確化します。その際に、キャリアプランと資産形成のプランを加味するのが、当研究所でお伝えしている人生デザインです。
生活レベルを維持しながら、家計を改善できれば、さらに人件費を削減できることになり、必要な売上目標のハードルも下がります。その為のポイントはまた別の機会にお伝えしましょう。
起業家の資金戦略で大事な事は必要な売上を導き出すこと。そのために利益と費用を計画する事をお伝えしました。そして当たり前のことなのにあまり伝えられていない、まずはどんな人生を送りたいか、個人の生活者として計画を立てる事で、人件費を決めるという事をおすすめしました。
何故なら独立起業家の陥る典型的な罠は、目先の事に追われ長期展望が見えなくなるという事だからです。中長期的な計画に落とし込んだ資金戦略と、具体的な対策があれば、ビジネスもプライベートも、最高の価値観を発揮して、自分らしく生きる為の大きな力となるはずです。