こんにちは。ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の井上翔太です。
前回のブログでは、2016年11月9日に行われたアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選確実となったことを受けて動揺した金融市場でも資産を構築する方法は、相関を意識した資産クラスを組み入れたポートフォリオを持つことだとお伝えしました。
しかし蓋を開けてみると、相場が下がったのは11月9日のみで、その後の市場は国内外株式を中心に上昇傾向となり、リスクオンの気配となっています。そうなると、債券を組み入れたポートフォリオで地道に資産を増やしていくのではなく、このような上昇気配に乗りそうな“値上がり期待”の強い個別銘柄を探し当て、タイミングよく売買する方法の方が賢いようにも思えます。
今日はその部分の考察をしたいと思います。
下の図は11月8日から11日までの日経平均株価の値動きを表したものです。みなさんが保有している可能性の高い日本を代表する銘柄の多数は、これと同様の値動きをしているので、こちらを例に説明します。
結果論にはなりますが、今回の“トランプ相場”において、個別銘柄で儲けるためには以下のような売買が必要であったと思います。
1.今持っている株を開票速報が始まる前の9日10時頃に売却
2.トランプが当選確実となった9日15時頃に買付け
3.トランプの演説・政策が評価され株価が上昇した11日10時頃に売却
今回は特に値動きが早かったので、このポイントを少しでも外すと利益は出なかったのではと思います。
果たして、このコントロールを我々個人投資家が出来たのかどうか、そこがポイントです。
短期間で結果を出すことを求められているプロの投資家は、これを狙っています。しかし、なかなか出来ません。私たちよりも多くの情報と、洗練された知識、豊富な経験を持ち合わせているにも関わらずに、です。
では、このような「安く買って、高く売る」ということが出来ないのであれば、どうすればよいのでしょうか?
上図のグラフの形を眺めていると、何かに気づきませんか?
そうです。日経平均が下がっている時(②のタイミング)に値上がりする資産を他に持っていれば、グラフの線の形が上図のようにV字型ではなく右肩上がりになるので、株式の損失を軽減もしくは利益を出せる可能性が出てきます。「値上がりする資産を他に持っている」、これが前回のブログで説明した相関を意識したポートフォリオの構築を意味しています。
では今回の相場で「相関を意識したポートフォリオ」の成績はどうだったのでしょうか?
個人投資家のポートフォリオの良い参考となるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオを例にとりますと、今回の相場で売却も買付もせず以下の資産を保有し続けた場合、結果0.96%のプラスでした(100万円が100万9600円になったという意味です)。
GPIPポートフォリオ
プラスとなったのは、10日以降の国内外株式の上昇が大きな要因となったことは間違いないですが、このような波乱相場において、僅かであってもプラス(もしくは損失を最小限にする)になるということは、長期での資産の構築を目指している個人投資家としては、非常に大きい意味を持ちます。市場が好調の時はその波に乗って資産を増やし、波乱相場であっても大きく崩れない、これを繰り返していくことが資産を増やす最も有効な方法だと私は考えています。
通常相場でもそうですが、特に今回のような波乱相場においては、値上がり期待”の強い個別銘柄を探し当て、タイミングよく売買する方法は、個人投資家には難易度が高すぎて、結果失敗(損失を被る)となる可能性が高く、資産形成には繋がりません。
長期戦略に基づいた、国際分散の効いた「基本配分」
今日も輝く一日を!