「ワン・シング〜一点集中がもたらす驚きの効果〜【書評】

現代の私たちは、一度に複数の処理を並行して行うマルチタスクができることが効率的とされ、求められています。

なるべく効率的に、なるべく多くのタスクをこなすことを目指し、沢山のことがこなせたら良しとされ、こなせなかったら、今日は何もできなかったと自分にがっかりする。そんな人が増えてきているように感じます。

そして、そのような仕事の仕方をしている結果、生産性が上がるどころか、逆に疲弊し行き詰まりを感じていると言う方も多いのではないかと思います。

本書は、私たちの中で当たり前になっている仕事の仕方に疑問を提示し、さらに生き方の概念を見直すことを考えさせてくれる一冊になっています。

著者について

著者のゲアリー・ケラー(Gary Keller)は、不動産会社の共同設立者であり会長です。テキサス州オースティンの一室で立ち上げた同社を、一代で全米最大の不動産にまで育て上げてきました。

事業を拡大していく中で、壁にぶち当たり、人生に混乱していた時に、この方法に出会って窮地を脱しました。それがワンシングとしてまとめられています。

現在は不動産以外にもビジネス・コーチとしても活躍しています。権威あるアーンスト・アンド・ヤングの「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれており、「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラーを獲得した著者「The Millionaire Real Estate」シリーズは、累計で130万部超を売り上げています。

ワン・シングには、もう一人、共同執筆者がいます。ジェイ・パパザン(Jay Papasan)がその人で、米国大手出版社ハーパーコリンズを経て、ケラー・ウィリアムズ社出版部門の統括責任者となりました。ケラーの多くの著書に共同執筆者として関わっています。

”ワン・シング〜一点集中がもたらす驚きの効果〜”3つのポイント

①時間をかけて一つに集中することで、大きな夢も不可能ではなくなる。

本書では、始めに、ドミノの例が出ています。

”立っているドミノは、それぞれが少量の位置エネルギーを持っている。ドミノが増えれば、それだけ位置エネルギーも貯蓄される。十分な数が並べば、軽く弾いただけで驚くべきパワーに満ちた連鎖反応が起きる。

適切な一つのものを動かすと、多くのものを倒すことができる。そして、それだけではない。どみのたおしは多くのものを倒すのではなく、より大きなものを倒すことができるのだ。”

以下の図のように

5cmから始まったドミノを1.5倍づつ大きくしていくと、

10番目には2m

18番目にはピサの斜塔

23番目にはエッフェル塔

31番目にはエヴェレストよりも900m以上高く

57番目には月まで届いてしまいます。

ワン・シング P18-19より

この例は、小さなひとつでも正しい方向に動いていけば、大きなひとつにたどり着くということを物語っています。日本でも「千里の道も一歩から」「塵も積もれば山となる」と、似たようなことわざがあります。小さな一歩を着実に歩んでゆくことで、自分では超えられないと思っていることも越えていけるということです。

ただ、ここには、落とし穴があります。それは、闇雲にコツコツ進んでも、行きたい場所には到着しない、と言うことです。

方向や目的なしに漫然と何かをしていても、必ずどこかにはたどり着く。しかし、何か目的があってどこかへ行こうとするなら、”行かなければならない”ところに連れていってくれるはずの”すべき”ことが常に存在する。” P158

確かに、方向性が行きたい場所と異なれば、一つのことに集中し、千里の道を来たけれど、着いてみたら何もなかった、なんてことになってしまいます。

そんな事態を回避するために、どうしたら良いのでしょうか。次で紹介していきます。

②目的に即した方法で「一つのこと」に取り組む

自分が人生で成し遂げたいことを、恐れず、人生の目的とする。本書では「大きいことを恐れない」と題した章で、紹介されています。

自分の可能性を決めるのは自分です。ここでは、できるできないではなく、将来やりたい、なりたい一つのことを明確にします。

ちょっと目を閉じ、あなたの人生ができるだけ大きく広がったところを想像してほしい。どれほど(大きな)ものが見えようと、あなたにはそこに向かう能力がある。思い描くことができれば、その大きな人生を送ることができるのだ” P.208

人は、想像できることは実現可能と言われています。どんなに大きなことでも、目的を定め、逆算して今できることを導き出して行くことで、ドミノのように、大きなことも成し遂げることができると、著者は伝えています。

目的を定めたあとは、目標を作ります。目標を作る理由は、

人生の重要な時に適切に行動できるようにするため

です。

例として、次の問いが立てられています。

『今日の100ドルか1年後の300ドル、あなたはどちらを選びますか? 』

回答は、目標によって変わる、です。どちらがいい悪いではなく、目標によってとる手段は変わる、選択にあたり決まった基準を置いていることが大事なのだと、私は受けとりました。

③嘘にまどわされない。マルチタスクが効率的は嘘。

私たちは、仕事や生活の中で、同時に複数のことをすることがあります。仕事をしながら電話に出たり、音楽を聴きながら歩いたりします。なので、マルチタスクは可能と思われています。

ですが、それらは集中しない状態でしている行動です。

人は同時に二つのことに集中はできない。二つ同時にできるのは、それぞれを分け、脳みその違う部分で別々のデータとして処理しているからであって、それぞれに集中しているのではなく、むしろ、分散している。 P.54

と書かれています。

実際に、仕事をしている時に、大事な話をしている時を思い返すと、

聞く作業

書き取る作業

この二つを同時にやっているようで、集中している時はどちらかになっていることに気づきます。書くことに集中して、聞き逃してしまうなんてこともあります。

二つでもこの状態なので、さらに多くのことをしようとすると、さらに注意が散漫になります。多くのことをこなそうとすることで、結局何もできないということになってしまうのです。

そのときそのときで重要なことを見極め、一つに集中することで、逆に多くをこなすことができるのです。

日常で意識するといいこと

上記の②でご紹介した通り、自分が人生で成し遂げたいことを、恐れず、人生の目的としたら、日常生活を送る上で、下記の問いを自分に投げかけます。

『それをすることで、他のすべてがもっと容易になるか不要になるような、私ができる「一つのこと」は何か』

この質問は、大きなことを明確に方向を決めたあと、小さなことを積み重ねていくときに的を絞り込むための質問になっています。

質問が「私ができる一つのことは何か」と、「したい」ではなく「できる」であることがポイントになっています。

大きな目的を決める時には、できるできないではなく、やりたいかなりたいかで決めますが、一旦、目的を決めたら、日々の行動ステップを決める時には、やりたいかやりたくないかではなく、できるかどうかで決めます。

目的に向かって、自分が今日できる一つのことーワンシングーを毎日明確にし、進むことで、大きなことの達成に近づくのです。

弊研究所でのワン・シング体験

弊研究所が主催している人生デザイン構築学校®︎では、最高の価値観から各自が人生の方向性となるミッションを明確にします。これが「ワン・シング」で言う、目的になります。

そして、目的に向かって、毎日行う細い行動ステップを作成します。今日自分ができる一つのことです。

私は、基本めんどくさがりで、これまで続けられることが少ない人生でした。やろうと意気込んだことほど、続かない。そんな日々を送っていました。

ですが、人生デザイン構築学校®︎でこの考えを学び、実践してから、少しづつではあるものの、着実に歩みを進められています。

まとめ

現代は、情報化社会と言われ、たくさんの情報が溢れています。入ってきた情報に惑わされあれも、これも、となってしまいがちです。その結果、あれもこれもと手を出す結果、意識が散漫になり、どれも中途半端になってしまい、結局何にもならない。そんなことが起こりやすいのだと思います。

だからこそ、自分の中の「ひとつのこと」を明確にし、その目的に向かい、適切な「小さな行動」を積み重ねていくことが大事なのだと思います。

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About 緑川聖子

ミッションミッケデザイン研究所 研究員 人生デザインアカデミー協会認定コーチ

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