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2017
01月10日

共働き世帯が、時代の波の先を行くために話し合っておきたい大切な事

共働き世帯が、時代の波の先を行くために話し合っておきたい大切な事

こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。
毎年末に与党が決定する「税制改正大綱」というものがあります。翌年度の税制改正の大枠が決められ、これに基づいて法案が国会で審議された後、改正法が成立します。
ファイナンシャルプランナーとしては、私たちの生活にどう影響が出るか、毎年注目している情報です。平成29年度税制改正大綱は、課題となっていた個人所得税改革に着手したのをはじめ、働き方改革や経済再生を税取面から支える内容という事です。
ビール系飲料の3段階の格差を解消する酒税の見直し、エコカー減税の2年間延長、少額投資非課税制度(NISA)に積立・分散投資を促進するための枠組みを新設、賃上げをした企業の法人税を減税する制度の拡充などがあります。
タワーマンションの固定資産税の見直しや、パナマ文書の流出などをきっかけに国際課税の強化、外国居住者の相続・贈与税などの富裕層の課税逃れに対応する税制も改正されます。その中でいちばん私たちの暮らしに影響があり、関心も高い項目に「配偶者控除の見直し」があります。
制度自体が複雑な上、議論も紆余曲折あり内容が二転三転したため、ニュースでご覧になった方も、非常にわかりづらかったと思いますが、これを機会に共働き世帯のご夫婦は、ぜひ今後の働き方について話し合う題材になると思います。

そもそも配偶者控除って?

皆さんも目にしたかもしれませんが、当初は配偶者控除を廃止する方向で議論は進んでいました。その後廃止はせず、配偶者控除の対象となる配偶者を拡大することが決定しました。
配偶者控除とは所得税の計算における所得控除のひとつで、一定の基準を満たす配偶者がいる場合、配偶者控除として所得の金額から38万円を引くことができるという制度で、結果的に税負担が少なくなります。
一定の基準とはいくつかありますが、大きな要件は給与収入が103万円以下というものです。いわゆる「103万円の壁」と言われ、パートタイマーの皆さんは、年末にかけて働く時間を調整してこの壁を超えないようにする方が非常に多いと思います。
仮に妻がパートタイマーで働いていたとして、103万円を超えると「夫の所得税が高くなる」「妻自身の税負担が生じる」「夫の勤務先の家族手当の支給要件から外れる可能性大」と世帯収入でみると、配偶者控除があるかないかで家計への影響が大きい問題です。
今回の税制大綱では、配偶者控除を受けられる給与収入の上限を、103万円から150万円に引き上げることが大きな改正ポイントです。

150万円の前に別の壁が・・・

実は、ここが話のややこしくなるポイントなのですが、今までの話は税法上の配偶者控除についてでした。配偶者控除にはこれとは別に、社会保険法における配偶者控除もあります。
夫が会社員で、妻の年収が基準未満なら、夫の社会保険の被扶養者として、厚生年金保険や健康保険の保険料の支払いが免除され、自己負担なしで各種保障が受けられます。その基準は年収130万円(週30時間未満勤務)です。
そして2016年10月からは法改正により、大手企業(従業員501人以上)での勤務なら年収106万円という新たな壁が出来ました。(*対象となる要件全てにあてはまる人が対象)
150万円の税金の壁の前に、130万円及び106万円という、このような別の種類の壁があるのですが、税金に比べてこの社会保険の負担の方が格段に大きいといった問題があります。
一例を挙げると、パート収入が月収11万円、年収132万円とすると、税金は所得税・住民税合わせて5万円弱です。社会保険は健康保険と厚生年金合わせて20万近くが自己負担となり、給与天引きされることになります。
現実に、がんばって働いても世帯所得が増えないゾーンが存在し、総務省の就業構造基本調査では、パート勤務の共働き世帯の配偶者の収入は「50万円~100万円未満」が最も高いという結果が出ています。

細かい事を気にするより・・・

このような背景から、私が最も良く相談される質問は、「年収をいくらで抑えた方が良いでしょうか?」「壁を越えてしまったら、いくら以上稼がないと損ですか?」というものです。
専門家として、知りたいと言われた数字の損得だけで答えると、「社会保険の負担のない129万円以下が一つのおすすめライン。配偶者が税金や社会保険を負担しても、世帯年収が増えるラインは165万円からです。」とお答えします。
また今の社会保険料の負担は一見もったいないと思いがちですが、病気やけがの際の保障が手厚くなったり、老齢・遺族・障害などの各種年金が多く受け取れるというメリットもお伝えします。
しかし・・・
ファイナンシャルプランナーとして、書くかどうか逡巡しましたが、「そんな事を気にして働き方を選択するのはもう止めましょう。」と提案します。仕事をしたいのであれば、思う存分やってください。何かのせいにして我慢するなんて、一番後悔します。
確かに働き方や雇用環境によって、税金・社会保険の負担額は変わりますので、制度を知る事は大事です。しかし「これ以上は働きすぎ」と仕事をセーブする理由が、法律に左右されるという事は、いつまで経っても次々と変わる制度に振り回される人生です。
あなたや配偶者の方が発揮する可能性は、そんなもので制限されるものではないはずです。どのような働き方が幸せかを、夫婦で話し合うことがとても大切です。今すぐの事だけでなく、将来の目標や計画を立てると、実現に向けて支え合う事が出来ます。
ハッキリ言って、一人一人の価値観や時代の流れに、日本の雇用環境や法律などの制度は追いついていません。男性が正社員として長時間労働を求められ、それを可能にするために女性が家庭で家事を一手に引き受けるという働き方は、過去の常識かもしれません。世間が作り出す偏見や先入観に惑わされ、チャンスを逃さないようにしてください。

まとめ

・所得税の配偶者控除は103万円の壁から150万円の壁に変わろうとしている。
・その前に立ちはだかる106万円と130万円の社会保険の壁がある
・仕事は自分を表現する手段です。迷走している制度にとらわれるのは止めましょう。
男性が家事や育児を分担する時間をつくり、女性も社会の中心で活躍できるようにする事が、経済や社会の活性化の為には必要です。そういう社会になるのを待つのではなく、それぞれの環境や事情の中で困難に立ち向かい、人生を自らの手でデザインしていく人が一人でも増える事を願っています。

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