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2016
11月22日

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は本当に最強の資産形成なのか?【その2】

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は本当に最強の資産形成なのか?【その2】

こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。
前回の記事では、今話題の個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」について、多くのメディアで取り上げられている、メリット・デメリットの前に制度全体の背景をお伝えしました。
http://missionmikke.com/detail/sai011/
当制度の最大の弱点と言われていたのが、ポータビリティの問題です。
確定拠出年金に加入していた人が、企業年金(確定給付年金や厚生年金基金)の制度を利用している会社に転職したり、公務員や専業主婦(3号被保険者)となった場合、加入資格を失います。
その後は追加入金する事も、引き出す事も出来ず、運用指図のみ可能となります。それでも口座管理手数料はかかり続けていました。
今回の制度改正により、ほぼ全ての国民が個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入できるようになり、唯一最大の弱点が解決され「知らきゃ損する、最強の資産形成手段」と言われるようになったのです。
最大のメリットとして一般的に訴求されているのが、『節税しながら老後の資産を貯められる』という税制上の優遇です。今回も引き続き、皆さんにとって個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を『賢者の資産形成』にする為の方法を、お伝えしていきます。

1.拠出時:拠出した掛金が、全額所得控除となる。

掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象として全額が所得控除の対象となります。つまり「掛金額×税率=払わなくてよい税額」です。例えば、毎月1万円づつ掛金を拠出した場合で税率が20%の人は年間24,000円の所得税の圧縮効果が得られます。
所得が高い人ほど税率も高く、税率によって掛金の約15%~60%に相当する税金を軽減することができ、この時点では節税効果が大きいと言えます。
日本では給与所得者の場合、源泉徴収されるので確定申告をする必要がない方が多いです。その為、いったいどんな仕組みによって自分の税金が計算され、いくら払っているのか関心が薄い事も、今までこの制度が普及しなかった理由の一つです。ぜひこの機会に、ご自身の税率と拠出限度額を調べて、節税効果を確かめて下さい。
しかし全ての方が、この恩恵を受けられるわけではありません。専業主婦で所得税・住民税の負担がない範囲の収入の方は、所得が控除されても、戻ってくる税金はないので、節税効果はありません。
また住宅ローン控除の適用を受けている方は、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入して納税額が減ると、控除適用額が減る可能性もあります。この関係は住宅ローンの残高で税額控除される額と、掛金の所得控除の条件で変わってきます。また繰り上げ返済した場合の、利息の軽減まで加味する必要があります。年収から個別に割り出す必要があり、注意するポイントです。
生命保険会社が販売する、個人年金にも所得控除がありますが、1年間に所得税で最大4万円+住民税で最大2.8万円の所得控除しかありません。予定利率が低い商品に加入している方は、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」への乗換えは一考の価値があります。
【追記】生命保険会社の定額商品は、契約時の利率を、保険期間が終わるまで約束している事が大きな特徴です。契約年齢によっては、その期間は数十年にもわたる契約もあります。現在の低金利下で史上最低の予定利率が、長年にわたり約束されてしまう個人年金に加入する事は最悪ですので、選択肢から外してください。

2.運用時:運用益が非課税

通常、預金の利息や投資信託の運用益には20.315%の税金がかかります。これらが非課税になる事は、長期の資産運用で重要な、複利の効果を最大限活かすことができます。
NISAと比較されるのはこの部分ですが、年間120万円まで利用でき、期間が5年間なので、累計600万円がNISAの上限となります。またNISAの場合、売却益が非課税になるチャンスは1度限りです。短期~中期の投資目的ならNISA。長期の老後資金作りなら、何度売買しても非課税の個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」が有利と心得ましょう。
【追記】2018年1月からはスタートする予定の積立NISAは、年間40万円×20年間で投資総額800万円まで非課税枠があります。特筆すべきは金融庁が発表している、厳しい制約基準の中に合致する投資信託のみが、対象商品になる予定です。世の中的には不人気となるでしょうが、正しいアセットアロケーションを最初に学ぶには、最適な口座になると私は思います。
そして口座を開設したら、リスクを取る運用をする金融商品を選択する事が大事です。ある運営管理機関に取材したところ、あらかじめ設定された金融商品を、自動購入される加入者が70%にのぼると嘆いていました。自動で購入される金融商品は、ほとんどの場合、リスクを取らない元本確保型の運用商品です。
最新の確定拠出年金実態調査結果でも全体の約6割は、定期預金や保険商品などの元本確保型を選択しているという事が、明らかになっています。リターンをほとんど生まない形で、積立金を放っておくことは、運用益非課税のメリットを放棄していることになります。
確定拠出年金と一般口座を合わせた資産全体で、戦略的にポートフォリオを構築するには、期待リターンが高い資産クラスを優先的に個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に割り当てた方がメリットを享受できるでしょう。何故なら市販されている、同じ資産クラスの投資信託より、信託報酬が低めに設定されている事が多いからです。
また、財形貯蓄も利息に対する税金が非課税となりますが、拠出額に対する所得控除はありません。定年まで引き出さないのなら、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を優先すべきです。

3.給付時:退職所得控除、公的年金等控除が適用される

将来受け取る際にも節税のメリットがあると、どこにでも書いてあります。しかしこの制度の、最大の落とし穴となる可能性が、ここにあると言えるでしょう。将来「こんなに税金がかかるとは思わなかった」と言う方が、続出すると思っています。それが以下の課税の仕組みです。

一時金受け取り時:一時金に対し「退職所得」に係る税負担

退職所得控除が適用になるものの、他の退職金とともに受け取った場合には退職所得に伴う税負担が発生する可能性があります。

年金受け取り時:年金に対し「雑所得」に係る税負担

公的年金等控除が適用になるものの、他の公的年金とともに受け取った場合には雑所得に伴う税負担が発生する可能性があります。
退職金税制は、勤続年数によって納税者にとても大きな優遇を与えています。しかし退職所得控除は、会社からの退職金と、確定拠出年金と別々に使えるわけではありません。退職金で控除枠を使い切ってしまった場合は、加入年数=勤続年数と読みかえてくれる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」のメリットも、ゼロになりかねません。
また退職金と確定拠出年金を受取る時期が同時なのか、どちらかが先なのかによっても、税額に影響があります。多くの個人事業主や会社経営者の方が、加入している小規模企業共済とも確定拠出年金は合算となり、こちらも受取る順番がとても重要なポイントとなります。
一方、年金として受け取る場合は、厚生年金や基礎年金と合算となるため、雑所得も多くなります。このため税金に加えて、健康保険や介護保険の負担が増すデメリットも考えられます。
退職所得なら分離課税な上、所得も半分で計算してもらえるため、年金としてではなく一時金で受けとる方が、有利な場合が多いようです。実際には勤続年数や、確定拠出年年金の加入期間、受給額で変わるため、一概に何が有利とは言えず、慎重な計算が必要となります。
このように受給時の税制は複雑で、ハードルが高いと感じられたかも知れませんが、細かいルールがあると、知っていただけるだけでも良いと思います。
結論は、拠出時に享受した税金の優遇は、本当は節税ではなく、受給時までの課税の繰延という意識を持つということです。あとで払うかもしれない税金が還付されていると思えば、簡単に使ってしまうのではなく、効率良く運用に回すかもしれません。その意識を持つことが、税制優遇を最大限活かすコツかもしれませんね。

まとめ

iDeCoの3つの税制面での優遇措置
・毎月の掛金は全額所得控除
・運用益は非課税
・給付時にも使える所得控除がある
国が後押しする制度だけあって、とても強力なメリットです。しかし全ての人が、全てのメリット活用できるわけではありません。メディアによって期待ばかり膨らませないよう注意してくださいね。特に税負担の軽減効果は、拠出時と受取時の両方をみたトータルで考えていく事が重要と言えます。
現在長期の資産形成を考える際に、最優先で検討する価値がある事は間違いありません。特に退職金がない自営業者や、あっても少ない中小企業のサラリーマンにとっては、強烈なメリットがあります。自分に合った活用の仕方を研究していきたいものですね。
次回はシリーズ最終回、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」のデメリットから資産形成の本質に迫ります。お楽しみに!
http://missionmikke.com/detail/sai013/

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