株価急落局面で支えとなる二つのD

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2018年2月6日(火)

こんにちは!
ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、所長の高衣紗彩です。

株式市場が動揺していますね。皆さん、どんな気持ちで相場の動きを見ておられるでしょうか。
はっきり言って、今回の下落は、全くの『想定内』です。

昨年から、ミッション・ミッケ人生デザイン研究所では、米国株式は非常に割高いつクラッシュ(相場急落)が来てもおかしくないので、それに備えたポートフォリオ(自分のポジション)を組んでおくよう、学校の生徒さんや、「金融リテラシー向上ゼミ」の受講生さんには、お伝えしてきました。

なので、皆さん「株式」という枠内においては、米国株式の比率をすでに低め、「海外株式」という枠内においても、魅力度が高い
欧州株式への比率を高めていたことで、米国株と日本株急落の影響を受けることにはならず、下落を抑えられています。

さらには、国際分散ポートフォリオを作成していますから、債券にも一定割合投資をしています。債券市場は、この二日間も底堅い動きになっており、その上昇の恩恵を受け、ポートフォリオ全体の下落は、今のところ、想定内に収まっています。

一方で、「分散させてしまっては、一つの市場の上昇が、反対の動きをする市場の下落に相殺され、上昇を全部享受できないので、分散はおすすめしない」という論理の元、分散を行っていない方は、この局面で、一つの市場の急落の影響をもろに受けているかと思います。

上記の論理でバランスファンドを避ける方もいらっしゃいますが、これは投資の基本理論をわかっていない理屈です。バランスファンドがよくないとすれば、信託報酬が高くなりがちという別の理由であり、同じポートフォリオを自分で作れば、その問題はなくなります。

また、複数の資産クラスに投資をして「分散させています」という方もよくいらっしゃいます。が、それは分散になっていません。特に、上がりそうな資産クラスや銘柄ばかり複数買っていた人は、今回、投資している全ての資産クラスが軒並み急落し相当のマイナスになっているはずです。

そして、そういった投資をしている方は、ご自分のリスク許容度などは考えていないと思われるので、下落幅も想定を超えて下落しているはずです。それ以前に、もともと、「想定下落幅」というものを認識していたかどうかも疑問です。

売るべきか、どうすべきか、相場の動揺と同様に、心も動揺しているのではないでしょうか。

本当の意味での分散を効かせ、自分のリスク許容度をしっかり数値で把握し、その範囲内で投資をしている方は、この局面における下落幅も、想定内に収まっています。

それ以前に、相場の動向をしっかりウオッチしていたら、この急落が来るのは時間の問題であったことがわかっていたので、先に上げたようにポートフォリオ内で資産を動かす(リバランス)する際に、それを念頭において動かしていますので、下落は相当抑えられています。

普段は、その効用がわからなくても、こういった局面では、しっかり分散をし、リスクをコントロールしているか、はたまた、リターンだけ見て「上がりそう」な資産クラスばかりに投資をしているかで、投資成績がくっきり分かれてしまいます。

そして、こういった下げ局面でどれだけ下落幅を抑えられるかが、長期に渡り着実に資産を積み上げていけるか、ギッコンバッタンを繰り返した挙句に、10年経っても資産総額が変わらない、といった結果になるのか、の鍵を握ります。

ちなみに、米国株式は、今回の下落を経てもなお、割高な水準にあります。これが弱気相場の始まりなのではないかとの見方もありますが、過去に本格的な弱気相場に入った局面では、景気の後退懸念を背景とする、株価の評価の低下と企業業績の低下の両方が観察されています。

今回の急落は、米国の1月の雇用統計、特に賃金上昇率が想定していたより急激に上昇したことでインフレ懸念が高まり、長期金利(10年物国債)が上昇したことが背景にあります。そして、強気に触れ過ぎていた市場心理が、トランプ大統領の一般教書演説などを受け、今後の雲行きが怪しいと感じ始め、やや戻していたことも、原因として上げられます。また、プロの投資家の中には、ある一定の割合の下落を受けると、自動的に売り注文を出すというプログラムに基づいて運用を行っている人たちもいますので、それが売りを加速したという側面もあります。

翻って、米国経済の堅調さや企業業績の成長度合いは、景気サイクルの後期にはあるものの、依然として堅調で、早晩景気が後退する懸念が出てきているわけではありません。実体経済の動向を示すPMIなどの指標は好調ですし、企業業績は、2018年も二桁台の前半を維持するとの見方がコンセンサス予想(予想するプロの平均)となっています。

このようなことから、今回の急落は、行き過ぎた市場が健全な状態に戻るための健全な調整と見ることができると考えます。このようなことから、ドルコスト平均法で毎月一定の金額を投入している方は、年末に米国株式への配分を低めていることを前提に、粛々と自ら決めた投資規律を守り、一定金額の投入を続けることが大切です。

「なぜ落ちたのか」を掴めていないと、怖くなったり、どうしたら良いかわからなくなってしまい、さっさと全てのポジションを手仕舞ってしまい(売ってしまい)、自分で決めた投資規律も守れなくなってしまいます。投資規律とは、自分がどのような時も守る、と自分と約束する投資ルールです。投資規律は、このような有事の時に守るために作成するものです。平時は守っていて、有事は守れない、というのが、失敗する投資家の典型例です。

投資の目的を、しっかり確認する

ここで、質問です。皆さんは、何を目的に投資をしているのでしょうか。

高いリターンを得るのが目的ですか?

みなさんは、お客様から資金を預かるポートフォリオマネージャーではないと思います。投資の最終目的は、ご自身の経済的自立(資産収入が労働収入を上回る)、だったり、将来に備えて、だったり、だと思います。

それが最終ゴールなのであれば、投資の目的は、『高いリターンを狙う』のではなく、未来に向けて、『資産を着実に増やしていく』ことになるはずです。

高いリターンを求める投資と、将来に向けて資産を着実に増やしていくための投資は、投資手法がまるで異なります。

経済的自立を目指すことが目的なのに、
高いリターンを求める投資になっているー。

そのようになっていないでしょうか。その一貫性のなさが、投資の失敗を呼びます。

そして、「投資の失敗」を経験し、恐怖学習をしてしまうと、「投資はギャンブルだ」「もう二度と株には手を出さない」的な発想に陥ってしまい、ますます投資の成功からは遠のいてしまいます。これが、日本で貯蓄から投資への流れがなかなか盛り上がらない原因だと私は思っています。

ギャンブル的な投資手法を選択していたのは、紛れもない、自分なのです。個人投資家さん、特にある程度、投資経歴があり、うまくいっている期間を経験している経験者の方、に多いのが、

”ギャンブル投資になっていることを知らずに、ギャンブル投資をしていること。”

これは、本当に多いです。

自分がしている投資はどれだけリスクを取っているのか、それを知らないと、知らない間に相当なリスクをとってしまい、知らない間に、意図しないギャンブル投資になってしまいます。

経済的自立を目的とする投資に必要な二つのD

経済的自立を目的とした投資に、必要なことの中に、二つのDというものがあります。

二つのDとは、

Defensive(ディフェンシブ、守り)と
Descipline(投資規律)

です。

一つめのD:ディフェンシブ(守り)

ディフェンシブとは、文字通り、守り、です。バスケットやサッカー、ラグビーなどチームプレイのスポーツには、必ず攻める人と守る人がいます。ディフェンスの役割を持たないチームは、勝てるでしょうか?

2016年中頃から2017年全般にかけて、株式市場はイケイケどんどん、大きな下落もなく、一本調子で上昇してきました。そんな期間であれば、ディフェンスは必要ないでしょう。ボールは常にフォワードにあり、相手ゴール近くでボールを回している状態です。

ですが、一度ボールがカットされ、コートの反対側に飛ばされたらどうでしょうか。そこにディフェンスがいなかったら、たちまち点を上げられてしまいます。ディフェンスが必要ない時期が長かったからと言って、ディフェンスが全員引き上げてしまっては、結局は負けてしまうのです。

ディフェンシブ銘柄やセクターにお金を入れていたばかりに、上昇を100%享受できなかった、と嘆きたくなるのもわかります。ですが、そのような期間の方がまれなのです。

長いこと投資をしていたら、「相場の荒れは周期的にやってくる」ものだということがわかります。その荒れた時に、いかに荒波に飲み込まれずに(下げ幅を最小にとどめて)、着実な資産総額の増加ペースを保つか。それが、長期に渡って、着実に資産総額を積み上げられるかどうかの分かれ目になります。 マイナスのリターンを最小に止めることで、複利の恩恵を最大限に享受できることになるからです。どんなに高いリターンを上げていても、マイナスのリターンに見舞われたら、複利の恩恵はチャラになってしまいます。この点については、弊研究所の井上研究員の記事を参照ください。

 

高いリターンを狙うポートフォリオを組むことは、実は簡単で、誰でもできます。ですが、高いリターンを上げ続けるポートフォリオを組み続けることは、とても難しいです。ある5年間に成績が上位20%に入るファンドマネージャーたちが、次の5年にどのような成績を収めたかという調査結果があります。ある5年間にトップ20%に入ったファンドマネージャーたちの次の5年の成績は、下位20%から上位20%までの5分位に、ほぼ均等にばらけるのです。いかに長期に渡り高いリターンを上げ続けるかが難しいかがわかります。

ですが、安心してください。一般的な個人投資家のみなさんの投資の目的は、高いリターンを上げることではなく資産を増やすことです。高いリターンを着実に上げ続けることは難しくても、資産を着実に(足踏みすることはあっても)増やし続けることは可能です。そして、それは、誰でもできることなのです。誰でもできることなのですが、あまりそれをしたがる人はいません。見た目が地味だからか(笑)、なぜか、みなさん、高いリターンを取りに行ってしまいます。

ふたつめのD:ディシプリン(投資規律を守る)

このような相場の動揺時には、市場参加者の感情が高ぶっています。感情の高まりとボラティリティの上昇は一致します。そのような時に、どれだけ、感情的にならずに乗り切れるか。それも、長期に渡り資産を増やし続けていくために、欠かせない要素です。

ですが、「感情的にならない」と決めて感情的にならないですむのなら、誰も悩みませんね。

では、どうしたらよいでしょうか。答えは簡単です。「感情的にならないような仕組み」を作り「感情的にならないようなポートフォリオ」を作っておけば、感情的にはなり得ません。単純な話です。

では、感情的にならないようなポートフォリオは、どうしたら作れるのでしょうか。

それも、簡単です。自分のリスク許容度内にとるリスクを抑えること。それだけです。ですが、そのためには、

1)自分のリスク許容度が数値できちんと把握できていること、そして、
2)今のポートフォリオのリスクがいくらになっているか、を数値で把握していること

が必要なのです。

ここで、注意いただきたいことがあります。「リスク許容度が重要です」までは良いのですが、「だいたい、こんな感じでリバランスしましょう。」という人がいます。

投資マネジメントに「こんな感じ」はありません。全て、数値でコントロールします。この局面で、自分のリスク許容度を数値で把握していて、その範囲内にリスクを納めたポートフォリオを作成している人は、自分が今とっているリスクも数値で把握しているはずです。そのような投資を行っている方は、今回の市場の動揺を横目で見て、あわてず騒がず、”反応していつもと違った投資行動に出ることなく”、しっかり本業にいそしんでいることと思います。

有事に相場に反応して投資行動をとる。これが、感情的になる、ということです。有事にも相場に反応せず、いつもと同じ投資行動を取り続ける、それが、感情的にならずに、自分の決めた投資規律を守り続ける、ということであり、成功する資産形成への不可欠な要素なのです。

投資規律を守ることは、経済的自立を目指した資産育成には、とても重要な要素です。ですが、こちらも、最初のD同様、個人投資家の方で守っている人にお会いしたことは、ほとんどありません。それ以前に、投資規律を作っている人も、とても稀です。

投資規律を作るために、必要なものが作られていないためです。投資規律を作るために必要なものー、それは、「投資哲学」です。「投資哲学」とは、「私はこのような考えから、このような投資手法を取り、このような投資規律を持ち、このような投資を行って行きます。」という宣言書、いわば、ミッション・ステートメントの投資バージョンです。きちんと言語化した投資哲学と投資規律を持っていれば、有事にもなにも考えずに、それに従えばよいので、動揺に負けて冷静さを欠いた投資判断をせずに済むのです。

まとめ

みなさんの投資の目的は、ほとんどの方が、経済的自立かと思います。

そのためには、高いリターンを得ることを狙うのではなく、資産を着実に積み上げていくことを狙い、二つのDと投資哲学を持ったポートフォリオを作成しておくことがとても重要です。

今回の暴落を機会に、ぜひそれを確認して、二つのDを備えた感情的にならないポートフォリオを作る投資に、切り替えていただければと思います。

最後にウォーレン・バフェットの名言を送ります。

・投資で重要なルール1
損をしないこと

・投資で重要なルール2
ルール1を守ること

・近視眼的な投資では理性を失い、結果としてお金と時間を失う

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