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2017
04月18日

不動産投資 なぜ失敗するサラリーマンになるのか?

不動産投資 なぜ失敗するサラリーマンになるのか?

こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。
マイナス金利政策導入から1年あまり過ぎました。マイナス金利導入後『頭金ゼロで始められるマイナス金利時代の不動産投資』といった広告がネットや雑誌に踊っています。「サラリーマン大家さん」向けの不動産投資セミナーは、都心部で多く開催されており、本当に活況を呈しているようです。
そんなこともあり、最近では普通のサラリーマン、特に若い方が不動産投資をはじめています。しかしこれは将来マズイ事になるなと、目に余るケースも散見されます。実際困ってからの相談も多くあります。
確かに不動産投資はとても魅力的です。不労所得の代表格だと多くの人に思われています。年金不安が叫ばれるなか、継続的な家賃収入で、将来の年金を補う、『自分年金』を創ろうという営業には説得力があるように感じます。
しかし日本では不動産投資で失敗すると、とてもダメージが大きく、経済的に回復するまでにとても時間がかかります。不動産投資のノウハウやメソッドは、他でも数多く紹介されているので、本日は失敗しない不動産投資のために、市場環境をマクロ経済の視点で見てみましょう。

マイナス金利下の不動産投資ブーム

昨年4~6月期から住宅投資が拡大しています。同期のGDPは横ばいでしたが、住宅投資の部分は前期比5.0%の高い伸びとなりました。これは東日本大震災直後の2011年7~9月期の住宅復興時の5.5%増にせまる増加率となっています。
日銀のマイナス金利導入後、新設住宅着工戸数が急速に伸びました。全体でも伸びましたが、主体となっているのはアパートなど貸し家の動きです。持ち家は前年比1~2%増でしたが、貸し家は10%以上増加しています。2016年は業界の盛況ぶりがうかがえた1年でした。
その理由は、マイナス金利により住宅ローン金利が低下し、利用しやすくなった事が原動力の一つとなっているからです。日本銀行によると、貸し家を建てる個人に、銀行が新たに融資した額は、2016年は前年比約21%増の3兆7860億円となりました。新規融資全体では約10%増なので、その勢いがわかります。
金融緩和の追い風や、住宅価格はしばらく下がらないという予測から、不動産取引が増加しています。外国人向け賃貸需要の拡大、民泊ブームも影響しており、東京オリンピックまでは続きそうです。
私も10年足らず不動産投資をしており、区分所有している都内のマンションの一部屋で、勉強のため民泊で収益が上がるか試してみました。結果、シェアリングエコノミーという概念のビジネスには、とても可能性を感じました。ただ管理会社や不動産業者は、トラブルに巻き込まれたくないのか、非常に消極的でした。
一方で住宅ローンの借りやすさは、賃貸マンション入居者の、分譲マンション購入意欲を高めることにも繋がります。めでたく購入できると賃貸していたマンションからは出ていくので、空室率の増加が表面化し、マイナス金利政策導入の逆効果現象とも言われています。

実需なき不動産投資のリスク

不動産経済研究所によれば、2016年の首都圏新築マンション販売戸数は約3万5500戸と前年比12%の減少でした。ピークだった2000年の約9万5500戸の40%以下の水準まで落ち込んでいます。平均価格も2015年11月の約6300万円をピークに下降基調で、2016年12月は約5000万円です。
新築マンション市場は、地価上昇に加え、資材や人件費の高騰に伴う建築コストを吸収しながら、価格上昇を続けてきました。その潮目が完全に変わったと業界ではみられており、私たちも販売現場で、住宅ローンの個別相談を行っていながら肌で実感しています。
一方中古マンション市場は好調です。2016年の首都圏中古マンション市場は成約数が、初めて新築マンションの契約戸数を上回りました。これまで価格上昇が、やや行き過ぎた新築マンションに比べて、相対的な割安感から中古が選好されたのでしょう。
こうした中古市場の流通が活性化する流れは、新築マンションとの価格差を縮めるように中古価格が徐々に上昇していく傾向として、しばらく続きそうです。不動産投資を始めたり、買い増しをする人が支えている相場とも言えそうです。
しかし、すでに東京都心部の不動産投資の利回り(キャップレート)は4%前後まで低下しており、マーケットリスクに対応できるリスクプレミアムは、極限まで縮小していると多くの業界関係者は語っています。
マイナス金利導入後、潤沢な資金が建設原資として流れ込み、一時は中国系外資の不動産投機も話題となりました。私のもとにも「中国人が買いたいと言っているので、売りませんか?」という営業の電話が何度もかかってきました。
国内では「実需なき不動産投資」のリスクが懸念されています。貸家市場におけるバブル的な、供給過多現象を懸念する向きもあります。特に、相続税対策でアパートを建てるという動きが、需要を無視している傾向にあり、一時、首都圏賃貸アパートの空室率が30%超というニュースがメディアを賑わし、関連業界に衝撃を与えました。

長期的には少子高齢化を意識する

不動産投資は、短期的には比較的安定して、市場規模の拡大が追い風となります。震災による復興事業や、東京五輪に向けた事業などに伴う需要拡大も期待されています。ただ長期的には、少子高齢化による人口減少が、不安要素として頭をもたげてきます。
賃貸の主要ターゲットは20~30代の持ち家がない層です。少子高齢化による人口減少の影響は無視できません。その層の住宅需要は急速に減っていき、学生向け物件の投資需要の先細りも確実です。先行き供給過剰になることは目に見えているので、出口戦略をしっかりと持つことが大切です。
もっとも東京都心部への人口流入は底堅く、直近での急激な価格下落は、それほど心配ありません。2017年は全体を通して価格は調整局面に入り、今まで以上に立地や資産性の高い物件との格差は広がってくるでしょう。
不動産投資の失敗の最大の原因は、過大な借入金の返済ができなくなり破綻する事です。その原因は様々ですが、将来への焦りや不安、自分の価値観からかけ離れた欲得、他人への嫉妬や羨む気持ちが根底にあると思います。
それは、本来の自分自身からかけ離れた心の状態なので、自分の都合の良い情報だけを取り入れ、ブームに乗りおくれてはいけないと、勉強もそこそこで始めてしまう事につながるのです。
不動産投資は金融資産への投資よりはるかにリスクが高く、専門的な知識を身につけ、自分にあった戦略を立てる必要があります。そうは言っても、購入金額や借入額が大きいと言うだけで、特別に難しいノウハウが必要なわけではありません。またどんどん増やす必要もありません。
要は、当たり前の事を当たり前に、実行し続ける事ができれば、リスクをコントロールできるという事は、金融資産への投資と同じです。まずは何が当たり前の事か知る事が大事なのです。

まとめ

現在、銀行などの金融機関は、数少ない貸出先として、明らかに不動産市場を過熱させています。長期的には、供給過多になる事を視野に入れ、投資の戦略を立てる。投資だけではなく自分が住むための家であっても、安易に購入する事は将来の負担になるかもしれません。
不動産投資に関しては、あのウォーレン・バフェットさんも、「まず自分が専門家ではない事を認め、正しい専門家と手を組むことが成功の秘訣」と言っています。どんな専門家から情報を仕入れ、学ぶか。これが最初で最大の課題です。ぜひ納得がいくまで時間をかけてからスタートすることが、失敗しない為の絶対条件です。

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