はたして「iDeCo」は最強の資産形成になるのか?【その2】

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こんにちは!ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の斉藤です。

前回の記事では、今話題の個人型確定拠出年金「iDeCo」について、多くのメディアで取り上げられている、メリット・デメリットの前に、企業型も含めた制度全体の背景を、お伝えしました。

当制度の最大の弱点と言われていたのが、ポータビリティの問題です。確定拠出年金に加入していた人が、企業年金(確定給付年金や厚生年金基金)の制度を利用している会社に転職したり、公務員や専業主婦(3号被保険者)となった場合、加入資格を失っていました。その後は追加入金する事も、引き出す事も出来ず、運用指図のみ可能となります。もちろん口座管理手数料はかかり続けます。

今回の制度改正により、ほぼ全ての国民が加入できるようになり、唯一最大の弱点が解決され「知らきゃ損する、最強の資産形成手段」と言われるようになったのです。

最大のメリットとして一般的に訴求されているのが、『節税しながら老後の資産を貯められる』という税制上の優遇です。今回も引き続き、皆さんにとってiDeCoを『賢者の資産形成』にする為の方法を、お伝えしていきます。

1.拠出時:拠出した掛金が、全額所得控除となる。

「掛金額×税率=払わなくてよい税額」となります。税率によって掛金の約15%~60%に相当する税金を軽減することができ、所得が高い人ほど税率も高く、この時点では節税効果が大きいと言えます。

日本では給与所得者の場合、源泉徴収されるので確定申告をする必要がない方が多いです。その為、いったいどんな仕組みによって自分の税金が計算され、いくら払っているのか関心が薄い事が、今までこの制度が普及しなかった理由の一つです。ぜひこの機会に、ご自身の税率と拠出限度額を調べて、節税効果を確かめて下さい。

しかし全ての方が、この恩恵を受けられるわけではありません。専業主婦で所得税・住民税の負担がない範囲の収入の方は、所得が控除されても、戻ってくる税金はないので、節税効果はありません。

また住宅ローン控除の適用を受けている方は、iDeCoに加入して納税額が減ると、控除適用額が減る可能性もあります。この関係は年収や住宅ローンの残高および金利と、iDeCoの掛金などの条件で変わってきます。また繰り上げ返済した場合の、利息の軽減まで加味する必要があり、注意するポイントです。

生命保険会社が販売する、個人年金にも所得控除がありますが、1年間に所得税で最大4万円+住民税で最大2.8万円の所得控除しかありません。予定利率が低い商品に加入している方は、iDeCoへの乗換えは一考の価値があると言えるでしょう。

2.運用時:運用益が非課税

通常、預金の利息や投資信託解約時の利益には20%の税金がかかります。これらが非課税になる事は、長期の資産運用で重要な、複利の効果を最大限活かすことができます。

NISAと比較されるのはこの部分ですが、年間120万円まで利用でき、期間が5年間なので、累計600万円がNISAの上限となります。またNISAの場合、売却益が非課税になるチャンスは1度限りです。短期~中期の投資目的ならNISA。長期の老後資金作りなら、何度売買しても非課税のiDeCoが有利と心得ましょう。

そして口座を開設したら、確実に運用する金融商品を選択する事が大事です。ある運営管理機関に取材したところ、あらかじめ設定された金融商品が自動購入され、そのままになっている加入者が70%にのぼるそうです。自動で購入される金融商品は、ほとんどの場合、元本確保型の定期預金です。

リターンをほとんど生まない形で、積立金を放っておくことは、運用益非課税のメリットを放棄していることになります。

確定拠出年金と一般口座を合わせた資産全体で、戦略的にポートフォリオを構築するには、期待リターンが高い資産クラスを優先的にiDeCoに割り当てた方がメリットを享受できるでしょう。

また、財形貯蓄も利息に対する税金が非課税となりますが、拠出額に対する所得控除はありません。定年まで引き出さないのならiDeCoを優先すべきです。

3.給付時:退職所得控除、公的年金等控除が適用される

確かに上記2つの所得控除をみると、受け取る際の節税のメリットです。しかしこの制度の、最大の落とし穴となる可能性が、ここにあると言えるでしょう。将来「こんなに税金がかかるとは思わなかった」と言う方が、続出すると思っています。

課税の仕組みは、一時金で受け取るなら「退職所得」として退職所得控除の適用、年金として受け取るなら「雑所得」として公的年金等控除の適用を受けます。

退職金税制は、勤続年数によって納税者にとても大きな優遇を与えています。しかし退職所得控除は、会社からの退職金と、確定拠出年金と別々に使えるわけではありません。退職金で控除枠を使い切ってしまった場合は、加入年数=勤続年数と読みかえてくれるiDeCoのメリットも、ゼロになりかねません。

また退職金と確定拠出年金を受取る時期が同時なのか、どちらかが先なのかによっても、税額に影響があります。多くの個人事業主や会社経営者の方が、加入している小規模企業共済とも確定拠出年金は合算となり、こちらも受取る順番がとても重要なポイントとなります。

一方、年金として受け取る場合は、厚生年金や基礎年金と合算となるため、雑所得も多くなります。このため税金に加えて、健康保険や介護保険の負担が増すデメリットも考えられます。 退職所得なら分離課税な上、所得も半分で計算してもらえるため一時金で受けとる方が、有利な場合が多いようです。

実際には勤続年数や、確定拠出年年金の加入期間、受給額で変わるため、一概に何が有利とは言えず、慎重な計算が必要となります。このように受給時の税制は複雑で、ハードルが高いと感じられたかも知れませんが、細かいルールがあると、知っていただけるだけでも良いと思います。

結論は、拠出時に享受した税金の優遇は、本当は節税ではなく、受給時までの課税の繰延という意識を持つということです。あとで払うかもしれない税金が還付されていると思えば、簡単に使ってしまうのではなく、効率良く運用に回すかもしれません。その意識を持つことが、税制優遇を最大限活かすコツかもしれませんね。

まとめ

iDeCoの3つの税制面での優遇措置
・毎月の掛金は全額所得控除
・運用益は非課税
・給付時にも使える所得控除がある

国が後押しする制度だけあって、とても強力なメリットです。しかし全ての人が、全てのメリット活用できるわけではありません。メディアによって期待ばかり膨らませないよう注意してください。

しかし現在長期の資産形成を考える際に、最優先で検討する価値がある事は間違いありません。特に退職金がない自営業者や、あっても少ない中小企業のサラリーマンにとっては、強烈なメリットがあります。自分に合った活用の仕方を研究していきたいものですね。

次回はシリーズ最終回、iDeCoのデメリットから資産形成の本質に迫ります。お楽しみに!

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