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2017
01月05日

ゆとり世代vs中間管理職vol.4後編「もうちょっと自分で考えて行動してよ…」

こんにちは。ミッション・ミッケ人生デザイン研究所、研究員の井上翔太です。
前回の記事では、ゆとり世代・さとり世代の社員に「もっと自ら考えて行動できるようになってほしい」と思った時の対処方法について、フレームワークを使って考えるポイントを提供してあげることを提案しました。
今回はその続編として、更に一歩進んだ「考える」方法についてお話ししたいと思います(前回と話が繋がっていますので、出来れば前回の記事をご覧になってからお読みください)。

フレームワークを使った議論は大成功、その次は、、、

フレームワークを使うといろんな意見が出て、チームメンバー間の理解が共有されるともに情報がどんどん整理されていくので、非常に効果的でした。目指す結果とそれまでにやるべき事がクリアになり、心なしかメンバーの表情も明るくなり大成功でした。
しかし、中間管理職の私としては、ゆとり世代・さとり世代のメンバーの仕事の生産性をもっと上げたいと思っているので、もう一つ想像力を鍛える取り組みを行いました。
それは、思惑(おもわく)を話し合うということです。
これも私が行った具体例をもとに説明しますね。

ゆとり世代の考える力を鍛えるには「思惑」を話し合う

まず、会議に出席する80名をそれぞれの立場によって分類します。役職者、現場担当者、幹事、言い出しっぺ、今回の議事が通れば不利益を被る人、などなど。そして、それらの人たちが、どんな思惑を持ってこの会議に臨んでいるのかを想像し、意見を出し合います。
ただ、最初はなかなか出来ません。当時も最初はみんなポカーンとした感じで「翔太さん、何言ってるんですか?」的な雰囲気にその場が包まれました。それでも自信を持った姿勢を崩さずに、以下のような問いかけをして議論を進めました。


私:「例えば、Aさんはお客様側の幹事だけど、どういう経緯で幹事になった?」→「親会社からの指示でなったと聞いています」→私:「これまでの事前打ち合わせにて、どんな発言をしていた?」→「他社との会社規模のバランスを考えると、自分が纏められるか不安だと以前話していました」→私:「では、Aさんはどんな思惑で今回の会議で臨むかな?」


会議出席者の「思惑」は、実際にその人に聞いてみないとわからないですし、前提条件次第で簡単に変わってしまうため、正解はありません。この正解のないことを考えることがポイントです。頭の体操的なイメージですね。
ただ、この場を設けるうえで気を付けなければならないことが1つあります。それは、ゆとり世代の思考のクセを的確につかんだうえでファシリテーションをすることです。それを教えてくれたのが、ゆとり世代のメンバーから出たこんな一言でした。
「今の話をEXCELで纏めて、みんなで共有できるようにしましょうか?」

「最新ニュース」は最新ではない

今回のこの打ち合わせは非常に難航しました。「思惑」がメンバーから出てこないのです。それは単に想像力がないからだと思っていたのですが、この一言で「彼らは情報を収集・整理することに慣れているから、思惑も1情報として整理しようとしている」からだと気づきました。整理しようとすると正しい情報を出そうとして躊躇したり、整理してしまうとそこで作業が一旦止まってしまったりしますからね。
少し話がそれますが、以前読んだ本にて「最新ニュースは最新ではない」という今でも強く私の中に残っているフレーズがあります。ニュースキャスターが「最新情報をお届けします」とニュースを読み上げている最中にも状況は変わっているため、その瞬間には最新ではなくなってしまっているのですが、意外とみんなそれを分かっておらず、情報を全て鵜呑みにしてしまう、と著者は語っていました。
今回をこの考えに当てはめると、結果をEXCELという形でまとめてしまうとそれが最新ニュースとなり、その思惑は「Aさんは〇〇〇と思って会議に出席する」という1情報として他メンバーにも整理され、それ以上の広がりが出にくくなります。またEXCELという形として他者に共有されるのであれば正しい情報を出さないと、という心理的なバイアスもかかることが予想されますね。
今回は「考える」ことで想像力を鍛えることに意味を置いているので、出た意見は整理して最新ニュースにするのではなく、「会議でその思惑が通りそうになった時に、反対する人は誰?」「その思惑はどんな形でぶつけて(訴えて)来ると思う?」などと、あくまで未来を予想し、正解のないことを考える方向に議論をファシリテーションすることが大切になるかなと思いました。

まとめ

ゆとり世代・さとり世代のメンバーの「自分で考える」想像力を訓練するには、フレームワークを使って考えるのと同時に、プロジェクトメンバーやお客様の“思惑”を考えるということが有効な手段の1つになります。
ただ、ゆとり世代・さとり世代のメンバーは情報を整理することが非常に長けているため、「相手の思惑」という正解のないことを考える場合でもそのスキルが表出します。なので、中間管理職としては、その長所を認めつつ、議事を正解のない未来想像型の議論にファシリテーションすることが大切になります。これを繰り返し行うことで想像力が鍛えられ、素晴らしいチームが出来るのではないかと思っています。

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    投稿者井上 翔太

    サラリーマンとして会社の中でいかに生産性を上げて成果を出していくか、そして自分の人生をいかに輝けるものにするか、ということをリーダーシップという観点で研究し、多くの人に展開している。好きな映画はStarWars、MARVEL、007。3児のパパ。

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